有限会社の代表取締役の変更登記をする方法は?死亡、交代、辞任などケースごとに解説

役員変更
投稿日:2025.01.24
有限会社の代表取締役の変更登記をする方法は?死亡、交代、辞任などケースごとに解説

会社には株式会社や合同会社、合名会社などの持分会社など様々な種類があります。こうした会社の種類には有限会社という類型もあり、有限会社においても株式会社と同様に代表取締役という役職が存在します。では、有限会社の代表取締役が死亡、交代、辞任した場合に変更登記はどのようにすれば良いのでしょうか。本記事では、有限会社における代表取締役の変更登記について解説します。

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そもそも有限会社とは?

有限会社という名称は耳にした事のある方は多いでしょうが、法律上有限会社とはどのような存在なのか分らないという方は少なくないでしょう。有限会社は現在では新たに設立することができなくなっており、日本の会社法上、現在は株式会社と持分会社の2類型のみが設立可能となっています。

このうち、有限会社は、特例有限会社として株式会社の一類型として存在しています。以下では、特例有限会社のことを有限会社として解説します。

「代表取締役」がいない有限会社もある

有限会社においては登記上、代表取締役が存在しない有限会社もあります。というのも有限会社では原則として全ての取締役が会社を代表することになっており、代表権を有しない取締役が存在しないときは、代表取締役が登記されないようになっています。

なお、代表取締役が登記されている場合には、取締役としてしか登記されていない者は代表権を有していないことがわかります。このように代表権を有しない取締役の存在により代表取締役の登記の有無が決まります。

株式会社と有限会社の登記事項の違い

有限会社は株式会社の一類型であると冒頭で解説しましたが、株式会社と有限会社では登記事項はどのように違うのでしょうか。ここでは株式会社と有限会社の登記事項の違いについて解説します。

まず株式会社の場合、取締役は氏名のみが登記事項となりますが、代表取締役は氏名だけでなく、住所も登記事項となります。

これに対して有限会社の場合、取締役は氏名及び住所が登記事項となるのに対し、代表取締役は氏名のみが登記事項となります。また、代表取締役の登記がなされるのも代表権を有さない取締役がいる場合にのみに限定される点も株式会社と異なる点です。

以上をまとめると以下の図のようになります。

株式会社の場合

有限会社の場合

取締役の登記事項

氏名

1 氏名

2 住所

代表取締役の登記事項

1 氏名

2 住所

氏名

代表取締役の登記がなされる場合

常に登記される

会社を代表しない取締役がいる場合

代表取締役の交代が生じたら早めに登記手続きが必要です

前述の通り代表取締役は有限会社においても登記事項となることから、代表取締役に変更が生じた場合は登記手続きが必要となります。ここでは登記手続きが必要な背景などについて解説します。

代表取締役が交代となる背景

前提として株式会社の場合と異なり、有限会社の役員は定款で別段の定めを置いた場合を除き、役員任期というものはありません。そのため、任期満了による退任というのは、有限会社においては基本的にありません。

ただし、有限会社の制度を廃止した2006年の会社法制定から現在では既に20年近くが経過しており、代表取締役の高齢化や体調不良などが理由となり代表取締役の変更が生じるケースが少なくありません。

代表取締役の変更登記について

代表取締役の変更登記が行われるパターンとしては以下の様な場合があります。

代表取締役が一人になった場合
取締役が辞任などにより退任した結果、代表取締役が一人になった場合は、取締役の辞任の登記のほか、代表取締役の氏名を抹消する登記申請が必要になります。というのも前述の通り有限会社における代表取締役は複数人の取締役の存在が前提となっているため、代表取締役が一人になった場合には代表取締役の登記を抹消することになります。

取締役全員が代表権を有することになった場合
それまで代表権を有しない取締役がいた場合に、その取締役が代表権を有することになった結果、取締役全員が代表権を有することになった場合には代表取締役がいなくなるため、代表取締役の登記を抹消することになります。

代表取締役の交代が生じたら2週間以内に登記申請が必要

代表取締役の交代を生じる場合や、前述のような代表取締役を抹消する登記事由が生じた場合には、変更を生じた日から2週間以内に登記手続きを行う必要があります。この2週間を徒過した場合、最大100万円の過料が科される可能性があるため、必ず登記手続きを行うようにしましょう。

有限会社の代表取締役変更の登記申請の方法

では、代表取締役変更の登記申請はどのように行うのでしょうか。ここからは必要書類や登記申請の方法について解説します。

代表取締役が辞任した場合

代表取締役が取締役及び代表取締役の地位を辞任した場合にはその登記手続が必要になります。

必要書類
代表取締役が取締役及び代表取締役を辞任した場合の登記手続に必要な書類は、以下の通りです。

  • 変更登記申請書
  • 辞任届
  • 印鑑証明書(会社実印を登録している代表取締役が辞任する場合)
  • 委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)


登記申請書の記載例

登記申請書は特に決まったフォーマットはありませんが、法務局のHPにフォーマットがあるため基本的にはそれに従って記載するのが良いでしょう。
以下では辞任した場合の登記申請書の記載事項を記載します。

1. 会社法人等番号(分かる場合に記載)
2. 商号
3. 本店所在地
4. 登記の事由:「取締役及び代表取締役の変更」
5. 登記すべき事項
6. 登録免許税30,000円(資本金の額が1億円以下の場合は10,000円)
7. 添付書類:辞任届、印鑑証明書、委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)

辞任の場合の手続きの流れ

役員の辞任は以下の流れで手続きを進めていきましょう。

1. 辞任の意思を確認する
代表取締役を含む役員は辞任の意思表示をすることでいつでも辞任することが可能です。意思表示の方法は口頭のみでも可能ですが、登記手続のためにも辞任届という文書の形で明確にしておきましょう。

2. 登記申請手続きを行う
辞任の効力は代表取締役が意思表示が会社に到達することで効力を生じますが、代表取締役の氏名は登記事項のため、登記手続きを行う必要があります。
登記手続きには登記申請書や辞任届等の添付書類を作成し法務局へ提出することで行います。

代表取締役が交代した場合

代表取締役が交代した場合には既存の代表取締役の辞任と合わせて新たな代表取締役の就任の登記手続が必要となります。

必要書類

代表取締役が辞任し、新たな代表取締役を株主総会の決議で選定した場合の登記手続に必要な書類は、以下の通りです。

  • 変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 辞任届
  • 印鑑証明書
  • 委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)


登記申請書の記載例

前述の通り登記申請書は特に決まったフォーマットはありません。以下では法務局のHPのフォーマットに従い、前任者が辞任し、交代した場合の登記申請書の記載事項を記載します。

1. 会社法人等番号(分かる場合に記載)
2. 商号
3. 本店所在地
4. 登記の事由:「取締役及び代表取締役の変更」
5. 登記すべき事項
6. 登録免許税30,000円(資本金の額が1億円以下の場合は10,000円)
7. 添付書類:株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書、辞任届、印鑑証明書、委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)

交代の場合の手続きの流れ

交代の場合の手続きの流れは以下の通りです。

1. 辞任の意思を確認する
まずは辞任する役員の辞任の意思を確認し、辞任届を作成しましょう。

2. 株主総会の開催と議事録の作成
次に新たな代表取締役を選定するための株主総会を開催し、議事録を作成しましょう。また、併せて就任承諾書も作成しておきましょう。

3. 登記手続きを行う
株主総会で適法に決議し、議事録の作成が完了したら必要書類を添えて法務局へ登記申請手続きを行いましょう。

代表取締役が死亡した場合

代表取締役が死亡により交代する場合にも既存の代表取締役の辞任と合わせて新たな代表取締役の就任の登記手続が必要となります。

必要書類

代表取締役が死亡し、新たな代表取締役を株主総会の決議で選定した場合の登記手続に必要な書類は、以下の通りです。

  • 変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 死亡届、戸籍謄抄本または死亡診断書
  • 印鑑証明書
  • 委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)


登記申請書の記載例

以下では前任者が死亡し、新たな代表取締役が就任する場合の登記申請書の記載事項を記載します。

1. 会社法人等番号(分かる場合に記載)
2. 商号
3. 本店所在地
4. 登記の事由:「取締役及び代表取締役の変更」
5. 登記すべき事項
6. 登録免許税30,000円(資本金の額が1億円以下の場合は10,000円)
7. 添付書類:株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書、死亡届、印鑑証明書、委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)

死亡の場合の手続きの流れ

死亡により代表取締役に変更を生じた場合の手続きは以下の流れとなります。

1. 株主総会の開催と議事録の作成
新たな代表取締役を選定するための株主総会を開催し、議事録を作成しましょう。また、併せて就任承諾書も作成しておきましょう。

2. 登記手続きを行う 
株主総会で適法に決議し、議事録の作成が完了したら必要書類を添えて法務局へ登記申請手続きを行いましょう。

代表取締役を解任した場合

株主総会において代表取締役を解職し、新たな代表取締役を選定する場合にも、既存の代表取締役の解職と新たな代表取締役の就任を登記する必要があります。

必要書類

代表取締役を解職し、新たな代表取締役と交代となった場合の登記手続に必要な書類は、以下の通りです。なお、後述するように会社法上、取締役を解任するためには株主総会決議が必要となります。

  • 変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)


登記申請書の記載例

前任者を解任し、新たな代表取締役が就任する場合の登記申請書の記載事項は以下の通りです。

1. 会社法人等番号(分かる場合に記載)
2. 商号
3. 本店所在地
4. 登記の事由:「取締役及び代表取締役の変更」
5. 登記すべき事項
6. 登録免許税30,000円
7. 添付書類:株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書、印鑑証明書、委任状(司法書士などに代理で手続きを委任する場合)

解任の場合の手続きの流れ

解任により代表取締役に変更を生じた場合の手続きは以下の流れとなります。

1. 株主総会の開催と議事録の作成
(株主総会で選定した)代表取締役の解職には株主総会決議が必要となります。そのため、代表取締役の解任及び新たな代表取締役を選定するための株主総会を開催し、議事録を作成しましょう。また、併せて新たな代表取締役の就任承諾書も作成しておきましょう。

2. 登記手続きを行う
株主総会で適法に決議し、議事録の作成が完了したら必要書類を添えて法務局へ登記申請手続きを行いましょう。

必要書類

辞任の場合

・変更登記申請書

・辞任届

・(印鑑証明書)

・委任状(手続きを委任する場合)

交代の場合

・変更登記申請書

・株主総会議事録

・株主リスト

・就任承諾書

・辞任届

・印鑑証明書

・委任状(手続きを委任する場合)

死亡の場合

・変更登記申請書

・株主総会議事録

・株主リスト

・就任承諾書

・死亡届、戸籍謄本または死亡診断書

・印鑑証明書

・委任状(手続きを委任する場合)

解任の場合

・変更登記申請書

・株主総会議事録

・株主リスト

・就任承諾書

・印鑑証明書

・委任状(手続きを委任する場合)

代表取締役が地位を喪失する事由によって必要書類や手続きが異なる点に注意

代表取締役に変更を生じる場合と一口に言っても、前任の代表取締役が辞任するのか解任されるのか、それとも死亡によって退任することになるのか等によって必要書類や必要な手続きが異なる点には注意が必要です。
本記事を参考にスムーズに必要書類を作成し、登記手続きを速やかに行うようにしましょう。

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代表取締役が変更したら、速やかに代表取締役の変更登記をする必要があります。代表取締役が退くことが決定してから2週間以内に申請をする必要があるのと、後任の代表取締役の選任などある場合、別途株主総会の準備なども発生しますので、早めの準備が必要です。

特に、代表取締役の変更後のは手続きは、税務署、年金事務所、銀行、取引先など、様々な期間に届出を行う必要があり、登記以外にも多くの時間が取られてしまいます。

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・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
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・商号変更
・目的変更
・株式分割
・剰余金等の資本組入れ
・ストックオプション

ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます

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GVA 法人登記で作成できる変更登記書類

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 取締役会議事録
  • 取締役決定書
  • 登記申請書
  • 定款
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※手続き状況により、作成されない書類もございます。


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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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