役員報酬とは?給与との違いから平均額、変更方法について解説

役員変更
投稿日:2020.09.07
役員報酬とは?給与との違いから平均額、変更方法、役員変更登記との違いについて解説します

会社の役員(取締役や監査役)はその役割や義務が法律で定められており、役員報酬に関しても金額の決め方や変更手続きなど、一定のルールがあります。特に今まで会社員だった方からすると、なじみのないルールや制限だと感じることも多いようです。

この役員報酬について、従業員への給与との違いや、金額の相場や決め方、変更方法、似たような手続きである役員変更との違いをまとめました。

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役員報酬(≒取締役の給料)とは

役員報酬(≒取締役の給料)とは、取締役や監査役など、主に会社の役員に支給される報酬のことを指します。報酬総額を月数で分割して支払われることが一般的なため、従業員に対する給与・給料と同じものと考えてしまいがちですが、法律や税務上は明確に取り扱いが異なるものです。
とはいえ、このことを知らない方も多く「取締役の給料はどうしたらいい?」という疑問を持たれてはじめて知るケースも多いようです。

役員報酬(≒取締役の給料)と給与の違い

役員報酬(≒取締役の給料)と給与の代表的な違いは以下の通りです

  • 役員報酬は社内でいつでも自由に変更できず、変更するための必要な手続きが定められている(短期的に利益が出たので、期中に役員報酬を増やしたり、役員への賞与として支給することはできない = 役員報酬を利用した意図的な利益操作はできない)
  • 役員報酬は損金に参入(費用として認められる)するためには、一定の条件がある。給与の場合は基本的に損金算入となる。


役員報酬(≒取締役の給料)の平均額

役員報酬(≒取締役の給料)の平均額を確認してみましょう。
国税庁の民間給与実態統計調査結果によると以下のようになっています。

役員報酬の平均額

       引用:国税庁 標本調査結果 民間給与実態統計調査結果



傾向としては資本金に応じて増えていきますが、中小企業が分布する資本金2,000万円以下で600万円前後となっているのは、社会保険料や税金(所得税、住民税、法人税)の個人と会社の負担額のバランスによるものと考えられています。

もちろん資本金による分類は目安のひとつです。他にも営業利益や社員数なども報酬が変わる要因になります。

役員報酬(≒取締役の給料)の決め方

役員報酬(≒取締役の給料)を決める上で考えるべきポイントは大きく分けて3つあります。

①同業種や同規模の会社と合わせる

法外な報酬にすることで税務署からの指摘が入り、最悪の場合役員報酬を損金参入できない(費用として認められない)可能性もあります。また、役員本人の納得感や、家計や転職時の給与水準など鑑みても妥当な決め方といえます。

また、親族である役員や社外役員に過大な報酬を設定するケースもありますが、税務署に指摘されたり、社員給与との乖離が大きくなりすぎて不満が生じたりする可能性があります。社員やステークホルダーに納得が得られる説明ができないような金額設定を避けるためにも、近い会社の金額を参考にするのはひとつの方法でしょう。

②簡単に金額を変更できない前提で設計する

役員報酬(≒取締役の給料)は、従業員の給与や賞与のように自由に変更ができません。損金算入都の関係上、事業年度の開始から3ヶ月以内の変更、又は業績悪化など特別な理由が必要であり、変更するためにも株主総会での決議が必要となる場合があります。

現在の業績が良いからと高くしすぎたり、後で上げればいいという考えで低めに設定すると、いざというときに変更ができなかったり、損金算入が認められなくなる可能性があります。会社の業績や外部環境の変化も想定した上で決定しましょう。

③社会保険料や税金とのバランスを考慮する

上述の報酬平均にもあるとおり、年収600万円前後が、社会保険料や税金の会社と個人負担のバランスが良いと言われています。800万円あたりを超えると、個人が負担する所得税、住民税、社会保険料が大きく上がります。これらを反映した、手取り報酬を多くできるラインを意識することもテクニック上は必要です。

役員報酬(≒取締役の給料)の金額を変更する方法

役員報酬(≒取締役の給料)を変更する場合、事業年度の開始から3ヶ月以内に株主総会等で決議し、議事録を作成する必要があります。たいていは、事業年度終了後の定時株主総会で決議することが多いです。

事業年度の開始から3ヶ月を過ぎての変更になる場合、変更した分の損金算入が認められなくなる可能性があるので注意しましょう。

また、役員報酬が損金と認められる条件「定期同額給与」では以下の場合に金額の変更が認められています。

  • 期首から3ヵ月以内における変更で、変更後から事業年度末まで同額であるもの
  • 役員の職制上の立場の変更(常務から専務になったなど)、役員の職務内容の重要な変更(会社が合併して役員の職務内容が大幅に変わったなど)などの、役員報酬を変更することについてやむを得ない事情があるもの
  • 経営状態が著しく悪化したことにより、役員報酬を引き下げるもの


このように役員報酬の変更には多くのルールや制限があります。自由な役員報酬の変更を認めてしまうと、期中に役員報酬を増減させることで利益操作や税金のコントロールができてしまいます。会社の利益は法人税額にも直結するため、税務署も厳しく取り扱っているのです。


役員報酬(≒取締役の給料)の変更では、役員変更の登記申請は不要

同じ役員に関する変更手続きに、役員変更があります。

役員報酬の変更は株主総会での決議や議事録作成が必要です。これは、新任、退任、重任、辞任といった役員変更の場合も同じ手続きとなります。

役員変更の場合は決定後、登記申請が必要になりますが、役員報酬のみを変更する場合は登記申請は不要です。会社の登記簿内には、役員名や就任・退任日などは記載がありますが、報酬については記載する必要がないからです。

もちろん、役員報酬の変更と同じタイミングで役員変更が発生する場合は忘れずに登記申請を行いましょう。登記申請は役員変更後2週間以内に行う必要があります。

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おわりに

役員報酬(≒取締役の給料)は、自分が役員になったり、起業するまでは接する頻度は少ないですが、経営においては重要な意思決定のひとつです。ルールを理解し、最適な運用を心がけましょう。

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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