取締役を解任する方法は?手続きや登記申請方法について解説

役員変更
投稿日:2022.11.14
取締役を解任する方法は?手続きや登記申請方法について解説

株式会社では、会社の役員に変更が生じることは、少なくないことでしょう。

では、たとえば「現在の取締役を解任して、別の人を取締役として会社に迎えたい」といった場合には、どのような手続きをとればよいのでしょうか?また、取締役の解任が行われたときの役員変更の登記申請は、どのような形で進める必要があるのでしょうか。

これから、「取締役の解任とは」、「取締役を解任する流れ」、「取締役を解任するときの注意点」、「取締役の解任に関する登記申請方法」について順番に解説していきますので参考にしてください。

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取締役の解任とは

取締役の解任とは、会社がさまざまな理由で取締役を任期の途中で辞めさせることをいいます。
「解任」のほかによく使われる似た言葉で「退任」、「辞任」があります。それぞれの意味や使い方を解説していきます。

取締役の解任

取締役の任期は、原則として、選任後2年以内の最終の事業年度に関する定時株主総会までとされます。
取締役の解任とは、取締役の任期の途中で、会社が取締役を辞めさせることをいいます。

取締役と会社は委任関係にあり、正当な理由がなくても、会社は取締役を解任することができます。もっとも、正当な理由がなければ、会社は、解任によって生じた損害について賠償する責任はあります。

取締役は、株主総会の普通決議で解任できるとされています(会社法339条1項。ただし、決議の要件は定款で加重できるので、定款の確認が必要です)。解任の理由に法律上の制限はありません。もっとも、「正当な理由」がないのに任期満了前に取締役を解任した場合は、解任によって生じた損害を賠償しなければなりません(会社法339条2項)

取締役の退任

原因にかかわらず、取締役の地位を退くことを「退任」と表現することもありますが、通常は取締役が任期満了にて、取締役の役目を終えることをいいます。任期満了した取締役は、自動的に取締役でなくなります。取締役の任期は、約2年と法律で定められています。この任期は定款や株主総会決議によって、短くすることは可能です。また、非公開会社の場合のみ、最長10年まで長くすることができます。

取締役の辞任

取締役が任期満了を待たず、任期の途中で取締役自らの意思で取締役を辞めることをいいます。

取締役を解任する流れ

取締役の解任は、原則として、株主総会の普通決議で行います。これから、取締役を解任する流れについて解説していきます。

取締役を解任する2つの方法

取締役を解任するには、2つの方法があります。

  1. 株主総会の普通決議によって解任する方法
  2. 解任の訴えを裁判所に提起する(株主)方法


一般的には1の株主総会決議による方法が用いられ、2の方法は、特殊な場合に使われる方法となります。解任の手続きとして、取締役解任のための株主総会決議は、次の要件を満たしている必要があります。

  • 株主総会決議に議決権を行使できる株主の過半数以上が出席していること
  • 出席した株主の過半数以上で決議していること


これらの要件を満たした株主総会決議により、取締役の解任について過半数の賛成が得られた場合に会社は取締役を解任することができます。

解任の普通決議では、選任時と同様に、定款によっても定足数を株主の議決権の3分の1未満にすることはできないとされています。

株主総会決議による解任はいつでもでき、特に解任に理由は必要ありません。
また、決議についても過半数以上とすることを定款で定めることはできますが、それを下回ることはできません。

取締役の解任の決議までの流れ(取締役会設置会社の場合)


  1. 取締役会を開き、臨時株主総会の招集を決議
  2. 臨時株主総会を招集
  3. 臨時株主総会を開き、取締役解任を決議


①取締役会を開き、臨時株主総会の招集を決議

取締役会において、取締役を解任するための株主総会を開くことを決定するには、議決に加わることのできる取締役の過半数の出席(代理人の出席は認められていない)が必要となります。出席した過半数からの賛成を得る必要があります。テレビ電話などでの参加は可能です。

また、【会社法369条3項】により、議事録を作成しておく必要があります。
出席した取締役及び監査役は、議事録に署名又は押印する必要がありますが、解任される取締役が署名・押印を拒否する可能性があります。そのような場合でも、他の出席取締役の過半数の署名・押印があれば、議事録としての効力には影響しないとされています。

②臨時株主総会を招集

【会社法299条1項及び2項】により、招集通知の書面は、代表取締役の名義で送ります。株主総会の招集通知の発送日と株主総会の開催日の間は、公開会社の場合は14日、公開会社ではない場合は7日以上空けないといけないこととなっています。

③臨時株主総会を開き、取締役解任を決議

【会社法339条1項、309条1項】により、取締役を解任する株主総会決議では、議決権の過半数を有する株主に出席してもらう必要があります。そして、出席した株主の議決権の過半数の賛成となれば取締役の解任が承認されます。

取締役を解任するときのリスクと回避策

まだ任期のある取締役を解任するときにはリスクが伴います。これからリスクとリスクの回避策を解説していきます。

損害賠償請求されるリスク

正当な理由なく解任した場合には、取締役から損害賠償請求をされるリスクの可能性があります。
損害賠償として請求されるのは、一般的に残りの任期期間の報酬とされています。

以下の【会社法339条2項】によります。
「2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。」

リスクの回避策

解任したい取締役に辞任を促してみることです。その取締役本人が辞任をすれば損害賠償請求などのリスクもなくなり、手続きも最低限のものとなります。また、取引先に対して与える印象を悪くしないなどのメリットもあります。取締役を解任した場合、登記上も役員を解任した旨が記載されてしまい、記録として残ってしまいます。そのため、解任したいと思っている取締役と話し合い、辞任してもらう方向へ回避していくことが良いといえます。

取締役の解任に関する登記申請方法

取締役の選任・解任が生じた場合には、登記事項に変更が生じるため、役員変更登記の申請が必要になります。これから、取締役の選任に関する登記申請について解説します。

取締役の解任に関する登記申請書

取締役の解任による役員変更の登記申請書には、次のような記載が必要になります。

「登記の事由 取締役の変更」
「登記すべき事項 令和〇年〇月〇日取締役△△解任」
「登録免許税 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社は1万円)」

取締役の解任登記の添付書面

取締役の解任登記には、「株主総会議事録」と「株主リスト」、代理人による申請の場合は「委任状」の添付が必要になります。株主総会議事録は、取締役が解任された事実を証明するために添付する必要があります。

取締役の解任は慎重に

これまで、「取締役の解任とは」、「取締役を解任する流れ」、「取締役を解任するときの注意点」、「取締役の解任に関する登記申請方法」についてお伝えしてきました。取締役を解任するには、法律のルールに従って粛々と行っていくことが重要です。取締役の解任は会社の今後の印象にも関わることとなりますので、慎重にすすめていくことが大切でしょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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