どんなときに役員変更が発生する?株式会社における役員変更の種類と理由

役員変更
どんなときに役員変更が発生する?株式会社における役員変更の種類と理由

法人登記の中でも特に頻度が多いのが「役員変更」に関する登記です。新しく会社の役員になる人、役員を辞任する人、任期が終わって退任する人、何らかの理由で解任される人、などが該当します。正確には代表取締役の変更もそうですし、代表取締役の住所変更も広義の役員変更に含まれます。

変更内容はともかく、実は曲者なのがこの「役員」です。取締役?監査役?執行役員?とさまざまな役員ぽい立場を思い浮かべるかと思いますが、日本において株式会社の役員という場合、会社法上は「取締役」「会計参与」「監査役」がその対象になります。

監査役は知っている方も多いですが、会計参与って何?という方もいらっしゃるのではないでしょうか?逆によく耳にする執行役員は「実は役員じゃないんだ…」と感じられた方もいるかもしれません。

役員には「取締役」「会計参与」「監査役」が含まれるとわかりましたが、人数比でいえばほぼ、役員 = 取締役 になるかと思います。というわけで、本記事では株式会社における役員(取締役)変更について、どんなときに変更が生じるのか、何を目的として行われるのか紹介します。

役員変更の原因と理由

「役員変更」の種類は大きく分けて6つあり、それぞれ発生したときは登記が必要になります。

就任(新任)

今まで役員でなかった人が新たに役員に就任するというケースです。社内にいた人が取締役に昇進したり、社外から新たに社外取締役を招いたりする場合に該当します。役員変更の登記の中では一番も多いのではないでしょうか。

取締役新任の背景や理由

  • 今後の事業展開や新規事業を見据えた、役員のメンバー構成の刷新
  • 辞任や退任で減少した役員の補充
  • 定款変更して役員の定数が増えたことによる人数増加
  • 会社合併や買収による役員構成の変更




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辞任

任期中の取締役が自らの意思で役員から外れるケースです。役員自身の都合や会社の経営状況など背景や理由としては様々なものがあります。辞任の登記も役員変更の中では比較的多いといえます。

取締役辞任の背景や理由

  • 任務懈怠や業績不振の責任をとるために辞任した
  • 会社の注力事業や方針が変わり、役員構成を見直すことになった
  • 他の会社の役員に就任するにあたって、事業が競合することを理由に辞任することになった
  • 健康上の理由で取締役としての任が果たせない可能性がある
  • 当該取締役の過失により会社に損害を与えた。本来は解任に相当するが、本人の将来や外部への影響を鑑み辞任として扱うことにした

重任

取締役の任期満了後に再び就任するケースです。一般的には再任とも呼ばれます。取締役は通常2年、監査役は通常4年の任期(ともに非公開会社の場合は10年までの伸長が可能)と定められており、この期間が満了し再び就任する役員は重任の登記が必要になります。重任の登記は役員変更登記の中でも忘れてしまったりといった理由で登記されていないといった事象が発生しやすいものです。重任の場合でも登記懈怠による過料は発生しますので、該当する場合は必ず登記を行いましょう。

取締役重任の背景や理由

  • 経営状況や業績が安定しており、引き続き今の役員構成を維持したい
  • 任期を短縮したことにより、改めて就任し直す必要がある




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任期満了による退任

取締役の任期が満了したことによる退任です。取締役は通常2年、監査役は通常4年の任期(ともに非公開会社の場合は10年までの伸長が可能)と定められており、任期が満了し、再度選任されないと退任することになります。こちらも退任の登記をし忘れたまま放置してしまう場合がありますので注意しましょう。

※取締役の任期について

取締役と監査役の任期はそれぞれ以下のように定められています。

取締役

取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。(会社法332条1項)
さらに、公開会社ではない会社は、定款への記載により10年まで伸長が可能です。

監査役

監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。(会社法336条1項)
さらに、公開会社ではない会社は、定款への記載により10年まで伸長が可能です。

なお、特例有限会社や合同会社においては取締役・監査役・業務執行社員の任期の規定はありません。

死亡

存命していれば健康上の理由での辞任となりますが、任期中に死亡するケースも中にはあります。その場合は死亡による登記が必要となります。


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解任

取締役本人の意思でなく、会社の一方的な意思表示で解任というかたちをとる場合もあります。解任が決まってからの登記申請の内容は他の役員変更登記と大きな違いはないのですが、解任までのプロセスが重要になります。

取締役の解任は株主総会の普通決議(出席株主の過半数の賛成)が必要です。株主総会による解任はいつでもできますが、解任されるか正当な理由がなければ、そもそも株主からの賛成を得られるかわからないですし、当該取締役から損害賠償を請求される可能性もあります。

一般的には取締役解任の理由として認められるのは

  • 健康悪化により職務の執行に支障がある
  • 法令や定款に違反する不正な行為を行った
  • 職務の能力を欠き不適任であると判断された

などと言われています。

単純に「社長や他の役員と仲が悪いから」といった理由では、正当な理由と判断されず、場合によっては損害賠償が請求される場合もありますので、解任のプロセスには十分な注意が必要です。

以上、株式会社の役員変更、その中でも取締役の変更登記について、原因や理由・背景を紹介しました。新任や辞任以外にも原因がありますので、前もっての準備および登記懈怠が起こらないように管理を心がけましょう。

監修者:司法書士 小林 哲士(弁護士法人GVA法律事務所 / 東京司法書士会所属)

GVA法律事務所、司法書士。都内司法書士事務所において商業登記を含む企業法務に従事。現在は、コーポレート、ファイナンスを中心とした法務サービスをベンチャー企業に対して提供している。