取締役の任期は何年?代表取締役との関係と変更手続きを解説

役員変更
投稿日:2026.06.11
取締役の任期は何年?代表取締役との関係と変更手続きを解説

「うちの役員の任期、そろそろ来るはずだけど…」と思いながらも、具体的な手続きを後回しにしていないでしょうか。取締役には法律で定められた任期があり、期間が過ぎても登記手続きを怠ると、罰則(過料)が科される可能性があります。

本記事では、取締役の任期の基本ルールから、代表取締役との関係、任期の変更方法まで、スタートアップ・中小企業の経営者が押さえておきたいポイントを解説します。

取締役・代表取締役には任期があります

取締役は「雇用」ではなく「委任」

取締役は、会社と「委任契約」を結ぶ関係にあります。従業員(雇用契約)とは異なり、会社法によって権利・義務が規定されており、「解任できない」「自動的に継続される」といったことは原則として起こりません。任期が定められているのも、株主が定期的に経営陣を評価・選任する機会を確保し、健全な会社経営を促すためです。

取締役の任期:原則2年、最長10年

会社法第332条により、株式会社における取締役の任期は原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと定められています。ただし、定款で定めることにより、この任期を最長10年まで伸長することが可能です。創業者が多数を占めるスタートアップや中小企業、中でも特に一人社長の場合などは、手続きの手間を省くために定款で10年と定めているケースが多く見られます。

なお、監査役の任期は原則4年(最長10年まで伸長可)と、取締役より長く設定されています。

有限会社・合同会社には取締役の任期がない

特例有限会社(旧有限会社)や合同会社(LLC)には、取締役(有限会社の場合は「取締役」、合同会社の場合は「業務執行社員」)に任期の定めがありません。これは会社法の規定上、株式会社にのみ任期に関する定めが置かれているためです。

任期の起算点と終了時期

任期は「選任された日」から起算するのではなく、「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時」が終了時点となります。たとえば、3月決算の会社で6月に定時株主総会を開く場合、2年以内に到来する定時株主総会の終結時点が任期満了となります。就任のタイミングによっては実質1年強で任期が来ることもあるため、注意が必要です。


取締役と代表取締役の任期の関係

代表取締役は「取締役」の中から選ばれる

代表取締役は、独立した役職ではありません。まず取締役に選任された上で、その中から代表取締役が選定されます。したがって、代表取締役の地位は「取締役としての地位」に依拠しており、取締役の任期が満了すれば代表取締役の地位も当然に失われます。

ただし、社外から招聘して「取締役と代表取締役を同時に就任させる」ケースも実務では見られます。この場合も、取締役としての任期がそのまま代表取締役としての在任期間の上限となります。

代表取締役に関する主なパターンと手続き

実務上、代表取締役の変動にはいくつかのパターンがあり、それぞれ手続きが異なります。

① 取締役が新たに代表取締役に就任する場合

既存の取締役の中から代表取締役を新たに選定するケースです。取締役会設置会社では取締役会の決議で、取締役会非設置会社では定款の定めまたは株主総会の決議によって選定します。新任の代表取締役の任期は、その者が取締役として残している残任期間と同じになります。就任後2週間以内に役員変更登記を申請する必要があります。

② 代表取締役が任期満了で退任する場合

取締役の任期が満了し、代表取締役も退任するケースです。定時株主総会で後任の取締役を選任し、新たに代表取締役を選定する手続きが必要です。多くの中小企業で見られる典型的なパターンは、「定時株主総会で前代表取締役が取締役を退任し、既存の取締役が代表取締役に就任する」というものです。後任の代表取締役が選任されない場合は、前任者が退任できずに留任する「権利義務取締役」として扱われる場合があるため注意が必要です。

③ 代表取締役が任期満了後も役員を続ける場合(重任)

同じ人物が再び取締役・代表取締役として選任されるケースです。登記上は「退任+再任」という扱いになり、「重任」として一つの登記申請にまとめることができます。「同じ人が続けるだけ」と油断して登記を怠る会社が多いですが、手続きを怠った場合は登記懈怠として過料の対象となります。

④ 代表取締役が任期中に辞任する場合

代表取締役は任期途中でも辞任が可能です。辞任の方法は「代表取締役のみ辞任して取締役は継続する」か「取締役ごと辞任する」かによって手続きが異なります。取締役を継続する場合は代表取締役辞任届のみで足りますが、取締役も辞任する場合は取締役辞任届が必要となります。

⑤ 代表取締役(代表者)の死亡により退任する場合

死亡により取締役としての地位が失われ、代表取締役も当然に退任します。この場合、相続は生じません(取締役は一身専属的な地位のため)。後任の代表取締役を速やかに選任し、登記申請を行う必要があります。死亡を証する書面(死亡診断書や戸籍謄本など)が登記申請の添付書類として求められます。

取締役の任期の決定・変更方法

任期は定款で定める

取締役の任期は、定款に記載することで決定します。会社設立時には定款作成の段階で任期を定め、公証人の認証を受けます。定款に特段の定めがない場合は、会社法の原則通り「2年」が適用されます。これは代表取締役であってもその会社の中では同じルール(取締役の任期)が適用されます。

任期の変更は定款変更手続きで行う

設立後に取締役の任期を変更したい場合は、定款変更の手続きが必要です。具体的には、株主総会で特別決議(議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した議決権の3分の2以上の賛成)を得た上で、定款を変更します。

なお、任期自体は登記事項ではないため、任期変更の定款変更のみでは登記申請は不要です。ただし、任期変更に伴って役員の退任・重任・新任などが生じた場合は、変更登記が必要になります。実務では、定時株主総会で役員変更と同時に定款変更を行うケースが多く、登記申請を伴うことが一般的です。

変更登記の期限と必要書類

役員変更が生じた場合は、変更の日から2週間以内に法務局へ変更登記を申請しなければなりません。申請に必要な主な書類は以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録(役員選任・定款変更の決議を記載したもの)
  • 株主リスト
  • 就任承諾書(新任・重任の場合)
  • 辞任届(辞任の場合)
  • 印鑑届出書(代表取締役が変更となり、印鑑も変更する場合)


登記申請の際には、登録免許税として1万円(資本金1億円超の場合は3万円)の収入印紙が必要です。

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自分で役員変更の登記書類を作成・申請することは十分可能です。ただし、正確な書類を作成し提出するための情報収集の手間や、法務局に提出後に修正(補正)を求められる可能性を考えると、どれだけの時間やリソースが必要なのか見積もりが立てづらいともいえます。

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まとめ

  • 株式会社の取締役の任期は原則2年、定款で最長10年まで伸長可能(会社法第332条)
  • 有限会社・合同会社には取締役の任期の定めはない
  • 代表取締役は取締役の地位に依拠しており、取締役の任期満了=代表取締役の地位も失効する
  • 代表取締役の変動パターン(就任・退任・重任・辞任・死亡)によって手続きが異なる
  • 任期の変更は定款変更の特別決議で行い、任期自体は登記事項ではないが役員変動が伴う場合は登記が必要
  • 変更登記は変更日から2週間以内に申請しなければならず、怠ると過料の対象となる


任期の管理は、会社の法令遵守と信頼維持に直結する重要な業務です。定款を定期的に確認し、任期満了のタイミングを見逃さないようにしましょう。手続きに不安がある場合は、司法書士・弁護士への相談も検討してみてください。

執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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