互選書とは?取締役の互選から代表取締役の選定する方法をわかりやすく解説します

役員変更
投稿日:2024.10.23
互選書とは?取締役の互選から代表取締役の選定する方法をわかりやすく解説します

取締役会を設置している会社では代表取締役の選定を取締役会で行います。これに対して取締役会を設置していない会社では、取締役の互選により代表取締役が選定される場合があります。取締役の互選という言葉は一般的にはあまり聞いたことがないと思います。


そこで、本記事では取締役の互選と互選に伴う登記手続きについて解説いたします。


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取締役の互選とは?

取締役の互選とは、取締役会を設置していない株式会社で取締役が複数名いる場合の代表取締役の選定方法です。 話し合いによる取締役の過半数の賛成により、取締役の中から代表取締役を定めることができます。

取締役の互選の意味

取締役の互選という言葉は会社法に登場します。取締役の互選について会社法第349条第3項では以下のように定められています。


株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。


つまり、代表取締役を決める方法として、取締役会を設置していない会社では、


  • 定款
  • 取締役の互選
  • 株主総会決議


の3つの方法があると定めています。ここで取締役の互選とは、取締役が複数名存在することをこの条文が想定していることから、取締役が相互に代表取締役の選定を行うことを意味しています。


取締役の互選を行う理由

代表取締役を選定する方法は他にもあるにも関わらず、取締役の互選により代表取締役を選定する場合があります。これについては、その他の方法が次のようなデメリットがあるからといえます。


株主総会決議による方法は、臨時株主総会を開催することになり、招集手続きの負担が生じる場合があります。


また、定款の定めによる方法については定款に直接代表取締役個人の名前を書く方法が考えられますが、このような方法は代表取締役が変わる度に定款変更を行う必要があるため、あまり現実的ではなく、定款変更のために株主総会決議が必要となることを考えると、こうした方法をとるメリットは特にありません。


そのため、取締役だけでできる互選による方法が最もコストのかからない方法となるときは、互選が用いられる場合があります。


代表取締役の選任方法はこちらでも解説しています

関連記事:代表取締役の選任方法をわかりやすく解説


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互選による代表取締役の選定手続き

互選の方法によって代表取締役を選定する場合、次のような流れで行われます。


定款の定めが必要

互選によるためには、前提として定款で代表取締役は取締役の互選により選定する旨を定めておく必要があります。


定款への記載方法の参考例として、東京公証人会のHPに掲載されている定款の記載例では以下のように定めています。


(代表取締役及び社長)
第25条 当会社に取締役を複数置く場合には、代表取締役1名を置き、取締役の互選により定める。


一度定款で定めてしまえば、その後は互選のみで代表取締役の選定を行うことができるので、おすすめです。


互選の手続き

互選については、各取締役が代表取締役にふさわしいと思う取締役を選ぶこととなります。なお、特に方法や招集手続きについて会社法上定めはありません。


選定方法としては、一般的に互選は過半数の取締役の賛成があれば選定できると考えられているようですが、2名しか取締役がいない場合には、過半数という概念が存在しないため全員(2名)の賛成が必要な点には注意が必要です。


また、代表取締役就任の登記を行う事になるため、添付書類として互選書が必要となることも押えておきましょう。互選書については後ほど詳しく説明いたします。


代表取締役就任の登記

互選により代表取締役を選定した場合には、代表取締役に関する登記が必要となります。

変更が生じた日から2週間以内に登記が必要となるため、互選が完了した後は速やかに互選書と就任承諾書を作成し、登記申請を行う必要があります。


取締役の互選による場合の登記手続き

取締役の互選により代表取締役を選定した場合には、登記手続きには以下の添付書類が必要となります。


  • 変更登記申請書
  • 互選書
  • 定款
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 印鑑証明書
  • 印鑑届書


このうち、互選書は互選により代表取締役を選定した場合特有の書類となるため、以下では互選書について詳しく解説します。


互選書の作成

互選により代表取締役を選定した場合には、互選により選定した事を証明するために互選書の添付が必要となります。


互選書への記載内容

互選書については法務局が変更登記申請書の中でフォーマットを用意しているため、基本的には以下の書式にしたがって作成することとなります。


なお、互選書の形式については特に制限はないため、以下のフォーマットを利用せず、他の書式を用いることも可能です。ただし、以下の点については注意して記載しましょう。


  • 決定した日を明確に記載する
  • 定款の定めによる旨、条数を正確に引用する
  • 取締役の過半数以上の賛成により決定した旨
  • 代表取締役として選定された者の氏名・住所
  • 取締役の全員記名押印をすること


以上の点について最低限満たしておいた方が良いでしょう。



また、互選書に押印する印鑑のうち、従前の代表取締役が登記所に提出している印鑑を押印しないときは取締役全員の実印を押印することが必要となります。


まとめ

取締役の互選は、取締役会を設置していない会社において代表取締役を選定するための手続きの1つとして利用されています。


この場合、会社法に特に詳細な定めがないため、どのような方法でやるのか、またどういった流れで進めるのか、互選書はどういった記載にすべきか等について悩みがちです。


本記事が互選を円滑に進め、代表取締役の就任や変更の登記をスムーズに行える一助となれば幸いです。


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