役員の辞任届の記載項目とひな形(テンプレート)を解説

役員変更
投稿日:2024.12.11
役員の辞任届の記載項目とひな形(テンプレート)を解説

役員を辞任する際には、正式な辞任届を提出する必要があります。しかし、「どのような内容を記載すべきか」「法的な要件は何か」「記載を間違えると無効になってしまうのか」など、多くの方が不安を感じる場面でもあります。特に初めて辞任届を作成する場合は、その形式や必要事項について戸惑うことも少なくありません。


そこでこの記事では、役員辞任届の基本的な意味から、記載すべき項目、作成時の注意点まで、実務に即して分かりやすく解説します。また、すぐに活用できるひな形(テンプレート)を記載例とともに紹介しますので、辞任届の作成にお役立てください。


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役員の辞任届とは?

役員が任期途中で退任する際に必要となる辞任届について、その基本的な内容と作成のポイントを解説します。

そもそも役員の変更登記とは

会社役員を変更する場合、法律に基づいて登記を行う必要があります。役員変更登記には、以下のようなさまざまな種類があります。

  • 新任登記:新しく役員に就任する場合


  • 重任登記:任期満了後も継続して役員を務める場合


  • 退任登記:任期満了により退任する場合


  • 辞任登記:任期途中で自主的に辞める場合


  • 解任登記:株主総会決議などにより解任される場合


特に取締役については、会社法で明確な規定が設けられており、定款で別段の定めをしていない限り、取締役の任期は2年とされています。この任期が満了した場合は自動的に退任となり、継続して役員を務める場合は改めて重任の手続きをしなければなりません。一方、何らかの事情により任期途中で役員を辞める場合は辞任という形をとることになります。

このように役員の変更登記にはさまざまな種類があります。この記事では、特に役員の辞任について深堀していきます。

役員の辞任とは

役員の辞任とは、役員が任期満了を待たずに自己の意思で役員の地位から退く手続きを指します。これは、健康上の理由や他の職務との兼ね合い、あるいは個人的な事情により任期を全うできない場合などに行われます。特に辞任は、辞任届を会社に提出する意思表示だけでその効力が発生します。

辞任の手続きは、会社法に基づいて以下の流れで進められます。

<役員辞任の流れ>

1. 辞任届の提出:役員が会社に対して辞任届を提出します。この辞任届は、のちの登記申請の際の重
 要な添付書類となります。

2. 登記申請の準備・確認:必要書類を漏れなく準備します。

3. 法務局への登記申請:辞任の日から2週間以内に、管轄の法務局に対して変更登記を申請する必要が
 あります。

登記申請の際には、申請書だけでなく、さまざまな書類を提出する必要があります。役員辞任登記の必要書類は以下の通りです。

<役員辞任登記に必要な書類>

書類名

備考

登記申請書

所定の様式に従って作成

辞任届

辞任する役員本人が作成

委任状

司法書士に依頼する場合

では、なぜ役員の辞任届が必要なのでしょうか。次に役員の辞任届が必要な理由について確認します。

なぜ役員の辞任届が必要なのか?

役員の辞任届は、単なる形式的な書類ではなく、会社運営において重要な法的・実務的意義を持っています。

まず、辞任届は役員変更登記を行う際の必須書類となります。法務局への登記申請時には、役員の辞任を証明する書類として辞任届の提出が求められます。この書類がなければ、適切な登記手続きを行うことができません。

次に、辞任届は役員本人の辞任の意思を明確に示す重要な文書です。口頭での辞任表明だけでは、のちに「いつ辞任したのか」「本当に辞任の意思があったのか」といった疑義が生じる可能性があります。書面として残すことで、辞任の意思と時期を明確に記録することができます。

さらに、辞任届は将来的なトラブルを防止する役割を果たせます。たとえば、辞任後に会社の意思決定や業務執行に関する責任の所在が問題となった場合、辞任届があれば、その時点で役員としての地位を離れていたことを明確に証明することができます。また、報酬や退職金に関する紛争が生じた際にも、辞任の時期を特定する重要な証拠となります。

このように、辞任届は法的手続きの遂行、意思表示の明確化、将来的なリスク管理という複数の重要な役割を担ってます。

役員辞任届に記載すべき項目

役員辞任届は法的な効力を持つ重要な書面です。以下の項目を漏れなく、正確に記載することが求められます。

作成年月日

辞任届の作成日を明記します。これは文書が作成された日付を示すものであり、必ずしも辞任の効力発生日と一致する必要はありません。通常は文書の末尾に記載され、辞任日とは区別して扱われます。

氏名・住所

辞任する役員の氏名と住所を正確に記載します。これは辞任者を特定する重要な情報となるため、登記事項と完全に一致させる必要があります。特に住所については、登記上の住所と異なる場合は、住所変更登記と合わせて行う必要があります。

押印

辞任届には、文書の真正性を証明するための押印が必要です。役職により必要な印鑑が異なります。

1. 一般の取締役の場合:必要な印鑑の決まりなし

2. 代表取締役の場合:以下のいずれか

  • 代表取締役個人の実印(この場合、印鑑登録証明書の添付が必要)
  • 会社の実印


一般の取締役の場合、押印がなくても登記申請上、問題ありません。ただし、本人確認や信頼性の確保、トラブル防止等の観点から、押印しておくことが望ましいとされています。

また、代表取締役の辞任の場合は、個人の実印または会社の実印のいずれかを選択できます。個人の実印を押印する場合は、対応する印鑑証明書が登記申請上、必要となります。

宛先(会社名)

辞任届の提出先となる会社名を記載します。商号は登記簿上の表記と一致させ、できるだけ略称は使用しないことが望ましいです。

辞任の意思

辞任届の核となるのは、役員としての地位から退くという意思表示です。「私は取締役を辞任いたします」という明確な文言を用いて、辞任の意思を誤解なく伝える必要があります。曖昧な表現は避け、断定的な意思表示を行うことが重要です。

辞任日(辞任の効力発生日)

辞任の効力がいつから発生するのかを明確に記載する必要があります。通常は「○○年○○月○○日をもって辞任いたします」という形で記載します。この日付は、会社の業務引継ぎや後任者の選任時期も考慮して設定します。なお、辞任日が記載されていない場合は、辞任届が会社に到達した日が、辞任日となります。

役職名

辞任する役職名を正確に記載します。たとえば「取締役」「代表取締役」「監査役」など、登記簿に記載されている正式な役職名を使用します。特に代表取締役が辞任する場合は、代表取締役のみを辞任するのか、代表取締役とその前提の地位である取締役までも辞任するのか明確にする必要があります。

辞任の理由(任意)

辞任の理由は必須の記載事項ではありませんが、記載することで円滑な引継ぎや今後の関係維持に役立つ場合があります。ただし、会社の信用を損なうような記載は避け、「一身上の都合により」「健康上の理由により」など、簡潔な表現に留めることが一般的です。

<まとめ:役員辞任届に記載すべき項目>

記載項目

記載のポイント

注意事項

作成年月日

・文書作成日を明記

・通常は文書の末尾に記載

・辞任の効力発生日とは異なることに注意

・実際の作成日を正確に記入

氏名・住所

・登記事項と完全に一致させる

・フルネームで記載

・住所は省略せず記載

・登記上の住所と現住所が異なる場合は登記上の住所を使用

・略字は使用しない

押印

・一般取締役:決まりなし

・代表取締役:実印

・代表取締役の場合:①か⓶のいずれか

①個人の実印+印鑑登録証明書

②会社の実印

宛先

・会社の正式名称

・商号は登記簿上の表記と一致

辞任の意思表示

・「取締役を辞任いたします」等

・明確な意思表示

・断定的な表現

・曖昧な表現は避ける

辞任日

・効力発生日を明記

・「○○年○○月○○日をもって」

・具体的な日付

・登記申請期限(2週間以内)の起算点

・業務引継ぎを考慮した日付設定

役職名

・登記簿上の正式名称

・兼務の場合は全て記載

・正確な役職名

・通称や略称は使用しない

・代表取締役の場合は、代表取締役のみか、取締役を含むか

辞任理由

・簡潔な表現 

・一般的な理由

・中立的な表現

・会社の信用を損なう表現は避ける

・「一身上の都合により」等が一般的

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※変更する役員が取締役以外の役職の場合、こちらの辞任届の文言を書き換えてお使いください。
役員の辞任届のテンプレートはこちら
役員の辞任届のテンプレート

役員の辞任届は単なる届書ではない

役員の辞任届は、単なる形式的な書類ではなく、会社法上の重要な法的文書としての意味を持ちます。辞任の意思表示を明確にし、登記手続きの基礎となり、さらには将来的な法的トラブルを防ぐ証拠としても機能する重要な書面です。

そのため、作成にあたっては基本的な記載事項を漏れなく記載し、特に代表取締役の場合は押印や証明書類にも細心の注意を払う必要があります。また、辞任日の設定は、会社の業務継続性や登記申請期限との関係で慎重に検討すべき事項となります。

辞任届の作成は、役員としての責任と権限の区切りを明確にする重要な手続きです。形式的な要件を満たすだけでなく、会社との関係を適切に整理し、円滑な事業承継を実現するための重要なステップとして捉えることが大切です。必要に応じて司法書士などの専門家のサポートを受けながら進めるといいでしょう。

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役員の就任・重任・退任・辞任が発生した場合は、役員変更登記の申請が必要です。決議後(辞任の場合は辞任の意思が会社に到達した時点から)2週間以内に申請をしなければなりませので、予め役員変更登記の申請方法を準備しておくと良いでしょう。

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・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
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GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(役員就任の場合)

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 取締役会議事録
  • 取締役決定書
  • 登記申請書
  • 定款
  • 印鑑届書


※役員就任・重任・退任・辞任で作成される処理が異なります。上記は役員就任の場合です。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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