会社を設立したばかりのスタートアップ企業。設立後は息つく暇もなく、増資や本店移転など会社の成長やステークホルダーの増加に合わせてさまざまな変更登記が発生します。
その中でも、多くの経営者が最初に直面するのが「役員重任」の登記です。任期にもよりますが、おおむね設立後2年程度で最初のタイミングを迎えます。
任期を迎えても役員の顔ぶれが変わらない場合は「登記の必要はないのでは」と誤解されがちですが、任期満了と同時に同じ人が再任した場合も、法務局への登記申請が必要です。増資や本店移転と比較すると「これくらいなら自分でできるのでは」と考える経営者もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、株式会社の取締役を中心に、役員重任登記の手続きの流れ、必要書類、登録免許税などの費用について解説します。
役員重任の登記とは?自分で申請するための手続き・必要書類を解説
- 役員重任の登記とは?
- 役員重任とは?
- 役員の任期年数
- 重任のタイミングで登記申請が必要になる
- 役員重任登記を申請する方法を比較
- 役員重任の登記申請手続きの流れ
- ①株主総会(または取締役会)での重任決議
- ②法務局への役員重任登記の申請
- 役員重任の登記申請の必要書類
- 役員重任の登記申請にかかる登録免許税
- 役員変更登記(重任)まとめ表
- 役員重任登記に関するよくある質問
- Q1. 申請期限の2週間を過ぎてしまった場合、自分で申請しても問題ありませんか?
- Q2. 法務局の窓口で書類の書き方を教えてもらえますか?
- Q3. 提出後に書類の不備が見つかったらどうなりますか?
- 役員重任登記は自分で申請することも可能
- GVA 法人登記で役員重任登記を申請した事例
- 役員変更登記の必要書類はGVA 法人登記で自動作成|何が必要か調べず、入力するだけで最短7分
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役員重任の登記とは?
役員重任とは?
役員の重任とは、任期満了となった取締役や監査役が、退任と同時に間隔を置かずに再び同じ役職に就任することです。株式会社における「役員」は取締役(代表取締役を含む)、会計参与、監査役を指し、その氏名は登記事項であるため、重任も含め変更があれば登記が必要です。
役員変更にはさまざまな種類があり、事由によって必要な手続きが異なります。重任は他の変更類型と比べると、役員構成自体は変わらないため、検討事項が少なく手続きも比較的シンプルといえます。
役員変更の種類 | 内容 | 手続きの煩雑さ |
|---|---|---|
重任 | 任期満了後、同一人物が間隔なく再任 | 重任だけなら比較的シンプル |
就任(新任) | 新たな人物が役員に就任 | 本人確認・印鑑証明書などが追加で必要 |
辞任 | 任期途中で役員が自ら退任 | 辞任届の準備が必要 |
退任 | 任期満了して退任 | 後任の選任が必要な場合、就任がセットで発生する |
解任 | 株主総会決議により役員を解任 | 決議要件や紛争リスクへの配慮が必要 |
死亡・資格喪失 | 死亡や欠格事由により退任 | 死亡診断書等の添付書類が必要 |
役員の任期年数
取締役・会計参与の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です。非公開会社であれば、定款により任期を最長10年まで伸ばすことができます。
ただし、成長志向のスタートアップでは任期を10年に伸長するケースは多くありません。資金調達を通じて社外株主が入る場合や、将来のIPOを見据えたガバナンス・透明性確保の観点からは、役員の職務執行を定期的に株主がチェックできる体制が望ましいためです。任期は長ければよいというものではなく、事業フェーズや経営方針に応じた設計が必要です。
一方、株主が創業者本人やごく少数に限られる、いわゆる個人会社に近い形態であれば、任期を10年に設定することで重任登記の手間や費用を減らすことができます。自社の株主構成や将来の資金調達計画を踏まえて任期を決めましょう。
重任のタイミングで登記申請が必要になる
役員が重任した場合、変更日から2週間以内に法務局へ登記を申請する必要があります。登記簿にすでに氏名や役職が記載されているため「変更がないので手続き不要」と誤解されがちですが、任期満了し再任する事実自体が登記事項の変更にあたります。
申請を怠ると、登記懈怠として過料の対象となるおそれがあります。また、将来の資金調達や上場準備の際に行われるデューデリジェンスで指摘を受けたり、長期間放置すると休眠会社とみなされ「みなし解散」の登記がされてしまうリスクもあります。忙しい経営の合間でも、重任のタイミングを見逃さず速やかに手続きを行いましょう。
役員重任登記を申請する方法を比較
役員重任登記の手続きには、大きく分けて「司法書士など専門家に依頼する方法」「自分で申請する方法」「GVA 法人登記のようなオンラインサービスを利用する方法」の3つがあります。
司法書士に依頼すれば、書類作成や法務局とのやり取りを任せられる分、報酬が発生します。役員変更登記の司法書士報酬は3万円前後が相場とされています。
一方、自分で申請する場合は、法務局が公開しているひな形を活用すれば、重任登記に限っては大きな負担なく書類を準備できます。近年は、GVA 法人登記のように、必要情報を入力するだけで登記申請書や議事録を自動作成できるオンラインサービスも登場しており、専門家に依頼するほどではないが自分だけでは不安、再提出の可能性を減らしたいという経営者の選択肢が広がっています。
方法 | 手間 | 費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
司法書士に依頼 | 少ない(書類作成・提出を一任) | 報酬3万円前後+登録免許税 | 手続きに時間をかけられない、複数の変更が絡む場合 |
自分で申請 | 多い(法令確認・書類作成・法務局対応を自分で) | 登録免許税のみ | 重任のみでシンプルな案件、コストを抑えたい場合 |
オンラインサービス利用 | 中程度(入力のみで書類作成) | サービス利用料+登録免許税 | 知識はないが自分で進めたい場合 |
なお、役員重任登記はオンライン申請(電子申請)も制度上可能ですが、電子証明書の取得や申請システムの操作など事前準備が煩雑なため、実務上は司法書士など専門家が利用する方法という位置づけになっています。自分で申請する場合は、書面申請(窓口もしくは郵送)を選ぶのが現実的です。
役員重任の登記申請手続きの流れ
役員重任登記の手続きは、大きく分けて次の2つのステップで進みます。
①株主総会(または取締役会)での重任決議
取締役や監査役の重任は、株主総会の普通決議によって決定します。普通決議は、議決権を行使できる株主の議決権総数の過半数が出席し、出席株主の議決権の過半数の賛成で成立するのが原則です。
取締役会設置会社では、株主総会の招集にあたって事前に取締役会決議が必要です。さらに、任期満了となる取締役の中に代表取締役が含まれる場合は、定時株主総会後に改めて取締役会を開催し、代表取締役の重任決議を行う必要があります。
一方、取締役会非設置会社では、原則として各取締役が代表権を持ちますが、定款の定め、定款に基づく取締役の互選、または株主総会決議のいずれかの方法で、特定の取締役のみを代表取締役に選定することも可能です。どの方法によるかは定款の規定を確認して進めましょう。
②法務局への役員重任登記の申請
決議が成立し議事録を作成したら、登記申請書類一式を法務局に提出します。申請期限は変更日から2週間以内です。決議が成立してから慌てないよう、事前に必要書類のひな形を確認しておくとスムーズです。
本記事が想定するスタートアップやSMB企業の多くは、株主数が限られています。そのため、実際に会議を開催せず、株主全員の同意を書面または電磁的記録で得る「みなし決議(書面決議)」も有力な選択肢です。
取締役や株主全員が議案の内容に同意する旨の書面に署名・押印すれば、株主総会を開催した場合と同じ効力を持つ決議として扱われます。この仕組みは取締役会にも準用できるため、代表取締役の重任決議を含め、役員全員のスケジュール調整が難しいスタートアップでは特に活用しやすい方法です。
役員重任の登記申請の必要書類
役員重任登記に必要な書類は、機関設計(取締役会設置の有無)や代表取締役の選定方法によって一部異なります。主な書類は次のとおりです。
- 登記申請書:法務局に提出する申請書本体です。会社名や登記の事由、登録免許税額などを記載します。
- 株主総会議事録:重任決議の内容を記録した議事録です。取締役会非設置会社では、決算承認と重任決議を同時に行う定時株主総会議事録を作成するのが一般的です。
- 株主リスト:株主総会時点の株主とその持株数を記載したリストです。
- 代表取締役の選定を証する書類:株主総会決議による場合は株主総会議事録、取締役会決議による場合は取締役会議事録、取締役の互選による場合は互選書および定款が該当します。
- 就任承諾書:重任する取締役・監査役本人の就任承諾書です。株主総会や取締役会の席上で承諾し、その旨が議事録に記載されていれば、別途の添付は不要です。代表取締役については、取締役としての承諾書と代表取締役としての承諾書の両方が必要になる場合があります。
- 登記委任状:司法書士に手続きを委任する場合に必要です。自分で申請する場合は不要です。
なお、代表取締役が交代せず同一人物のまま重任する場合、印鑑届書や印鑑証明書の再提出は原則不要です。一方、代表取締役が別の取締役に交代する場合は、新代表者の実印を法務局に届け出るための印鑑届書と印鑑証明書が別途必要になるため、機関設計だけでなく人事の実態も踏まえて必要書類を確認しましょう。
書類作成の際はGVA 法人議事録で配布している以下のテンプレートもご参考ください。
役員重任の登記申請にかかる登録免許税
役員重任登記には、登録免許税の納付が必要です。税額は資本金の額に応じて次のように定められています。
資本金の額 | 登録免許税額 |
|---|---|
1億円以下 | 1万円 |
1億円超 | 3万円 |
取締役や監査役など複数の役員が同時に重任する場合や、選任決議・就任日が異なる役員が含まれる場合でも、役員変更であれば同時に申請すれば納付額は変わりません。
納付方法は、収入印紙を申請書に貼付する方法と、金融機関窓口で納付書を用いて納付する方法があります。書面で申請する場合は、事前に収入印紙を購入するか納付手続きを済ませておく必要があります。オンライン申請の場合は、インターネットバンキングを利用した電子納付も可能です。このほか、郵送費や登記事項証明書・印鑑証明書の取得手数料といった雑費も少額ですが見込んでおきましょう。
役員変更登記(重任)まとめ表
本記事の内容をコンパクトに整理した早見表です。
項目 | 内容 |
|---|---|
申請期限 | 重任(就任日)から2週間以内(遅れた場合の過料は最大100万円) |
登録免許税 | 1万円(資本金1億円超の会社は3万円) |
書類作成費用 | 自分で作成:無料〜 / GVA法人登記:12,000円(税抜) / 司法書士:4〜5万円 |
主な必要書類(役員重任登記の場合) | 役員変更の登記申請書、株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書、取締役の互選書(取締役会非設置会社で代表を互選する場合)、委任状(代理人申請の場合) |
決議機関 | 株主総会(普通決議)による選任決議 |
申請先 | 本店住所の管轄法務局 |
注意点 | 「今までと同じ人が続けるだけ」でも登記は必須。任期が切れていると重任手続きはできず、退任+就任の手続きが必要になる点に注意。 |
役員重任登記に関するよくある質問
Q1. 申請期限の2週間を過ぎてしまった場合、自分で申請しても問題ありませんか?
期限を過ぎても申請自体は可能ですが、登記懈怠として過料の対象になり得ます。放置するほどリスクが高まるため、気づいた時点で速やかに株主総会議事録などの必要書類を準備して申請しましょう。
Q2. 法務局の窓口で書類の書き方を教えてもらえますか?
管轄法務局には登記相談窓口があり、基本的な申請書や議事録の記載方法について確認することができます。ただし、自社の個別事情に応じた法的判断や、書類作成そのものの代行はしてもらえない点に注意しましょう。
Q3. 提出後に書類の不備が見つかったらどうなりますか?
誤記など軽微な不備であれば、法務局から連絡が入り、指示に従って補正すれば手続きを継続できます。申請前に法務局のひな形や記入例を確認し、押印漏れや日付の整合性をチェックしておくと、補正のリスクを減らせます。心配な場合はGVA 法人登記などのサービスを利用することも有効です。
役員重任登記は自分で申請することも可能
役員重任登記は、初めての方でも自分で必要書類を作成し、法務局へ申請することが十分可能な手続きです。役員構成に変更がないため検討すべき事項が少なく、申請書や株主総会議事録などの必要書類も、本記事で紹介するひな形を活用すれば比較的簡単に作成できます。
一方で、少しでも不安がある場合は、弁護士や司法書士など法律の専門家にアドバイスを受けながら進めることもおすすめです。特に、今後の資金調達やIPOを見据えているスタートアップでは、株主構成の変化や機関設計の見直しに合わせて、通常の重任とは異なる対応が必要になる場合もあります。自社のフェーズに応じて、自分で対応する範囲と専門家に相談する範囲を見極めながら、確実に手続きを進めましょう。
GVA 法人登記で役員重任登記を申請した事例
フィットネス施設の運営や化粧品・健康食品の製造販売を行っている株式会社ソルテラス様は、会社設立時にネットサービスを使って登記書類を作成した経験がきっかけとなり、設立後に発生した役員重任登記の申請書類をGVA 法人登記を利用して作成されています。
「登記を変更しなければならない」ことがネックになって手続き自体を諦めたり、先延ばしすることなく実行できるようになったとメリットを感じられていました。
横浜の法務局で書類の修正を指摘され、帰ってからGVA 法人登記で書類作成しました。最初からこれを使えばよかったですね
役員変更登記の必要書類はGVA 法人登記で自動作成|何が必要か調べず、入力するだけで最短7分
役員変更登記は必要書類が複数あり、何をどの書式で用意するか調べるだけでも手間がかかります。GVA 法人登記なら、画面の案内に沿って変更情報を入力するだけで必要書類一式を最短7分で自動作成。司法書士監修の様式なので、記載ミスや法務局での補正リスクも抑えられます。ひな形探しや書き方調べに時間をかけたくない方におすすめです。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
本Webサイト内のコンテンツはGVA 法律事務所の監修のもと、BtoBマーケティングおよび司法書士事務所勤務経験者が所属する編集部が企画・制作しています。
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