「会社の取締役になることになりました」
と聞けば「おめでとうございます!出世ですね!」というやり取りが想像できますが、最近は必ずしもそういう方ばかりではないようです。
2019年の調査では「働き方は人並みで十分」が過去最高の63.5%となったのをはじめ、生活中心や、好んで苦労をすることをしない、といった価値観の変化が見て取れました。
出典:平成31年度新入社員 働くことの意識調査|公益財団法人日本生産性本部・一般社団法人日本経済青年協議会
そんな昇進や昇格の中でも「取締役の就任」は会社における昇進の中でも重要な変更です。会社における役割だけでなく「取締役」は法律でもその役割や義務が定められている役割だからです。だからこそ取締役に就任することで生じる責任やリスクを理解しておくことは重要です。
本記事では役員と従業員の違いと発生しうるリスクについて紹介します。「自分が取締役になるかもしれない」という方はもちろん「自社の取締役をどうしようか考えている」方までご参考ください。
また、役員変更が発生した際に、スピーディに役員変更登記申請ができるウェブサービスについても紹介します。
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役員(取締役や監査役など)と従業員の違い
まず、役員と従業員の違いについて整理しておきましょう。
会社法では「役員」は「取締役」「監査役」「会計参与」の3つと定められています。本記事ではこの中でも機会の多い「取締役」を対象として紹介します。
取締役は、株主総会の選任決議を経て、会社からの委任を受けて就任します。会社の方針を決定し人員やお金などのリソースを配分しながら会社運営を行う役割です。原則として任期が2年(非公開会社は最大10年)となっています。
「代表取締役」も取締役の1人で、取締役の中から選定されます。
そして役員と従業員で最も大きな違いが会社との契約形態です。
従業員は会社と雇用契約を締結しているのに対し、役員は会社と委任契約を締結しています。
そのため、役員は労働基準法で定められる「労働者」には該当せず、雇用保険や労災保険などの適用を受けません。契約の対価についても、従業員に支払われる給与に対し、役員は株主総会で決定された役員報酬が支払われます。
なお、取締役という立場だからといって役員報酬を自由に変更したり、たまたま儲かったので役員報酬にボーナスを乗せたりとすることはできません。
また、少し意外なところでは金融機関でローンを組む場合などに影響する場合があります。取締役というと収入が高くローン審査に好影響がありそうですが、実は数年分の決算書の提出を求められるなど従業員より審査が厳格になる傾向があります。
役員(取締役)になるには?
では、どうしたら役員になることができるのでしょうか?役員にはいくつかの種類があるため、その機会や背景は多岐にわたります。
ただし、現在従業員である方がステップアップとして役員を目指すなら、大きく分けて2つの方法があるといえます。
- 現在の会社で役員へ昇進する。昇進の結果、ゴールとして役員のポストがある会社であれば、今の仕事で結果を出し続けることで役員になれる可能性があります。ただし、役員のポストが詰まっている、職種や出身事業部による違いなど、その会社ならではの力学も働くため本当に役員になれるチャンスがあるのか見極めが必要です。
- 起業や転職のタイミングで役員として参画する。他社の社長に実力を見込まれて役員として転職したり、起業時に自分が代表や役員として参画することでも役員にはなれます。
通常の昇進と役員(取締役)就任はどう違う?
会社にもよりますが、社員として入社した人は、係長、課長、部長、本部長、執行役員といったステップで昇進していきます。多少の違いはあれど部長や本部長、執行役員の次として取締役が設定されていることが多いでしょう。
例えば部長や執行役員といった役職も会社内での影響は大きいかもしれませんが、取締役でない限りは会社に雇用された社員になります。「取締役」「代表取締役」とは法律上で定められる役割や義務は大きく異なります。
役職として「社長」だけでなく「専務」「常務」といった名称が設定されることもあります。これらは「取締役」がつかない限りはあくまでも社内の呼称であることに注意しましょう。
取締役に就任することで発生する責任とリスク
このように取締役と従業員はさまざまな点で違いがありますが、最大の違いは「取締役は経営責任を負う立場である」点といえるでしょう。
取締役は株主から委任されているので、経営に対して責任を負います。業績によっては役員報酬の一定額を返上したり、任務を怠ったことが理由で生じた損害の賠償責任(任務懈怠責任)、不祥事などの監督責任を問われて株主代表訴訟を提起されるといった可能性もあります。
従業員でも「目標未達で上司に怒られる」ということはありますが、法的な責任は取締役が負います。状況によっては任期途中での解任や、自ら辞任せざるをえないケースもあります。
また、従業員ではなくなるので、一度会社との雇用契約を終了して委任契約を結ぶことになります。福利厚生の適用や残業や休日出勤などのルールが従業員のときとは異なる可能性がありますので、取締役への就任によりどんな影響があるか必ず確認しておきましょう。
忘れてはいけない役員(取締役・監査役)変更登記
もう一点、通常の昇進と大きく異なるのが「役員(取締役・監査役)に就任したら登記申請が必要」という点です。通常の昇進であれば対外的な届出は不要ですが、取締役の場合は会社の登記簿への記載が必要になります。
新任で取締役になった場合はもちろん、任期中の辞任や任期満了での退任、任期終了後に再び就任(重任)の場合もそれぞれ登記申請が必要になります。
この登記申請は、一般的には司法書士に依頼して申請書類を作成、株主総会の議事録などの添付書類や登録免許税となる収入印紙を添えて法務局に申請します。
これまで時間や手間がかかってしまうのネックでしたが、最近はオンラインで申請書類を作成できるサービスも増えています。オンラインで書類が作成できることによって、自分のタイミングで申請でき、費用的にもリーズナブルに済む場合があります。
「取締役になったはずなのに登記されていない」
「任期が終わっているのに取締役として記載されたままだった」
ということがないように登記状況についてもしっかり確認しておきましょう。
GVA 法人登記なら、役員変更登記に必要な書類を10,000円で作成、法務局に行かずに申請できます
役員の就任・重任・退任・辞任が発生した場合は、役員変更登記の申請が必要です。決議後(辞任の場合は辞任の意思が会社に到達した時点から)2週間以内に申請をしなければなりませので、予め役員変更登記の申請方法を準備しておくと良いでしょう。
役員変更登記は手続きに必要な書類が多く、準備しなければならない書類を確認するだけでも多くの時間が取られてしまいます。GVA 法人登記なら、変更情報を入力するだけで最短7分10,000円で手続きに必要な書類をそろえることができます。また、事前に株主リストを手元に準備しておくことで、スムーズに書類の作成ができます。
GVA 法人登記は、株式、合同、有限会社の役員変更や本店移転登記など、10種類以上の変更登記に対応しており、複数の書類作成も可能です。
※GVA 法人登記では役員退任のみの書類作成は行っていませんのでご了承ください。
役員変更登記についての詳細はこちら
GVA 法人登記が対応している登記種類
・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
・役員の住所変更
・募集株式の発行
・商号変更
・目的変更
・株式分割
・剰余金等の資本組入れ
・ストックオプション
ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます
登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。
本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。
GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(役員就任の場合)
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 取締役会議事録
- 取締役決定書
- 登記申請書
- 定款
- 印鑑届書
※役員就任・重任・退任・辞任で作成される処理が異なります。上記は役員就任の場合です。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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