有限会社の役員変更登記に必要な議事録を解説

役員変更
投稿日:2025.07.08
有限会社の役員変更登記に必要な議事録を解説

長年会社を経営されている有限会社の代表取締役や役員の方にとっては、役員の変更手続きは頻繁に起こらないからこそ、いざ発生した際に戸惑われることが多いのではないでしょうか。

特に2006年の会社法施行により、現在存続する有限会社は「特例有限会社」として扱われ、一般的な株式会社とは異なるルールが適用されるため、インターネットで調べても情報が混在していると感じる方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、特例有限会社で発生する役員変更(就任、辞任、解任、死亡)のうち、登記手続きに必要となる「議事録」に焦点を当て、作成方法や記載項目を解説します。

有限会社と株式会社の役員変更における違い

まず、役員変更の手続きを理解する上で最も重要な、有限会社(特例有限会社)と株式会社の違いについて解説します。

「特例有限会社」とは?

2006年4月1日に会社法が施行されたことにより、新たに有限会社を設立することはできなくなりました。それ以前に設立された有限会社は、会社法の施行に伴い、法律上は「特例有限会社」という名称の株式会社として存続しています。商号(会社名)の中に「有限会社」という文字を使い続けることができますが、法律上の位置づけは株式会社の一種であり、会社法の規定が適用されます。ただし、いくつかの「特例」が認められており、その一つが後述する役員の任期に関するルールです。

最大の違いは「役員の任期」の有無

株式会社の取締役には「任期」があります。会社法では原則2年(監査役は4年)と定められており、非公開会社においては定款によって最長10年まで伸長できますが、任期が満了するたびに、同じ人が続ける場合でも「重任」の登記手続きが必要です。

一方、特例有限会社の取締役には、この「任期」がありません。 定款で特に任期を定めていない限りは、任期満了により退任することはありません。

この違いにより、特例有限会社では、役員が自ら辞任したり、亡くなったり、あるいは株主(※)によって解任されたりしない限り、役員変更登記を行う必要がありません。これが、有限会社の登記手続きの発生頻度が低い最大の理由です。

※会社法施行前の有限会社では、出資者のことを「社員」と呼んでいましたが、会社法上は「株主」とみなされるため株主と記載しています。

有限会社で発生する役員変更登記の種類

特例有限会社で発生する役員変更は、主に以下の4つのケースです。そして、それぞれの手続きにおいて、議事録が必要になるかどうかは異なります。

1.就任: 新たに役員が加わるケース

2.辞任: 役員が自らの意思で役員を辞めるケース

3.解任: 株主の意思によって役員を辞めさせられるケース

4.死亡: 役員が亡くなるケース

5.住所変更:役員の住所が変わるケース

6.氏名変更:役員の氏名が変わるケース

このうち、株主総会での決議が必要となる「就任」と「解任」については、その決議があったことを証明する書面として「議事録」の作成が必須となります。

一方で、「辞任」は役員本人の意思表示、「死亡」は死亡という事実の発生によって役員としての地位を失うため、原則として決議は不要であり、議事録も必要ありません。「役員の住所変更」や「役員の氏名変更」も同様です。

ただし、辞任や死亡によって役員が欠け、その後任者を選任する場合は注意が必要です。この「後任者の選任」は、新たな「就任」手続きにあたるため、株主総会の開催と、その決議内容を記録した議事録の作成が必須となります。

有限会社の役員就任登記に必要な議事録と記載内容

新たに取締役が就任する場合、株主総会での選任を決議し、議事録を作成します。

手続き全体の流れ

1.株主総会の招集を決定し、株主に通知する

2.株主総会を開催し、取締役の選任議案を付議・決議する

3.選任された者が、就任を承諾する(「就任承諾書」への記名押印)

4.株主総会の議事録を作成する

5.法務局へ役員変更登記を申請する

株主総会議事録の記載内容(例)

登記申請に添付する議事録には、以下の項目を正確に記載する必要があります。

  • 開催日時及び場所: 例)2025年(令和7年)6月18日 午前10時00分、当社本店において


  • 株主(社員)の総数、議決権を行使できる株主(社員)の数、その議決権の数


  • 出席株主(社員)の数及びその議決権の数


  • 議長の氏名: 定款の規定に基づき、代表取締役などが議長を務めます。


  • 議事の経過の要領及びその結果: 会議がどのように進行し、どのような決議がなされたかを記載する、議事録の核心部分です。


  • 議案: 「第1号議案 取締役選任の件」のように記載します。


  • 選任に関する具体的な記載: 「議長は、取締役1名を選任したい旨を述べ、その選任方法を議場に諮ったところ、満場一致をもって、出席株主の中から下記の者を取締役に選任することで可決確定した。」といった記載と共に、選任された者の氏名を明記します。


  • 閉会の宣言: 「以上をもって本日の議事をすべて終了したので、議長は午前10時30分閉会を宣した。


  • 議事録作成者の表示: 最後に、議事録作成者として代表取締役などが記名押印します。


法務局のWebサイトでは有限会社の役員変更登記に必要な書類ひな形をダウンロードできます。登記申請書に加えて各種議事録もセットになっていますので自分で作成する場合に参考にしてください。

記載例(PDF)申請書のひな形(Word)

有限会社の役員解任登記に必要な議事録と記載内容

取締役の解任は、株主総会の普通決議によって行うことができます。この際も、決議を証明するために議事録の作成が必要です。

解任を決議する際の注意点

役員の解任は、後々のトラブルに発展しやすいデリケートな手続きです。会社法では、役員を解任された者は、その解任について正当な理由がない限り、会社に対して損害賠償を請求できると定められています。議事録を作成する以前に、解任のプロセスについては慎重な検討が必要です。以下で議事録の記載例を紹介しますが、不安や不明点がある場合は専門家への相談も検討しましょう。

株主総会議事録の記載内容(例)

基本的な記載項目は就任の場合と同様ですが、議案の内容が異なります。

  • 議案: 「第1号議案 取締役A野A男解任の件」のように、解任対象者を明確に記載します。


  • 決議内容の記載: 「議長は、取締役A野A男を解任したい旨を述べ、その理由を説明し、本議案の賛否を議場に諮ったところ、出席株主の有する議決権の過半数の賛成もって原案どおり承認可決した。」といった形で記載します。

自分で議事録作成も可能ですが不安な場合は専門家への相談も

議事録の作成自体は、記載項目を押さえればご自身で行うことも可能ですが、特例有限会社の手続き特有の注意点が存在します。

インターネット上には株式会社向けのテンプレートはたくさんありますがそれを鵜呑みにすると、任期や機関設計の違いから、誤った手続きを進めてしまうリスクがあります。特に、自社の定款で役員の員数や代表取締役の選定方法などがどう規定されているかによって、必要な手続きが変わるため、事前の定款確認は不可欠です。

手間と正確性を両立する選択肢「GVA 法人登記」

「自分でやりたいが、ミスは避けたい」という方には、法人登記のクラウドサービスが有効な選択肢となります。例えば「GVA 法人登記」のようなサービスでは、画面の案内に沿って情報を入力すればご自身の会社に合った形の役員変更登記に必要な議事録や申請書を自動で作成できます。

不安な場合は専門家への相談も有効

一方で、以下のようなケースでは、司法書士などの専門家へ相談することを強くおすすめします。

  • 役員の解任など、法的な紛争に発展する可能性がある場合


  • 自社の定款の規定が複雑で、手続きに確信が持てない場合


  • 本業が忙しく、手続きに時間をかけられない場合


この記事を参考に、ご自身の状況に合った最適な方法をご選択ください。

GVA 法人登記なら、役員変更登記に必要な書類を12,000円で作成、法務局に行かずに申請できます

役員の就任・重任・退任・辞任が発生した場合は、役員変更登記の申請が必要です。決議後(辞任の場合は辞任の意思が会社に到達した時点から)2週間以内に申請をしなければなりませので、予め役員変更登記の申請方法を準備しておくと良いでしょう。

役員変更登記は手続きに必要な書類が多く、準備しなければならない書類を確認するだけでも多くの時間が取られてしまいます。GVA 法人登記なら、変更情報を入力するだけで最短7分12,000円で手続きに必要な書類をそろえることができます。また、事前に株主リストを手元に準備しておくことで、スムーズに書類の作成ができます。

GVA 法人登記は、株式、合同、有限会社の役員変更や本店移転登記など、10種類以上の変更登記に対応しており、複数の書類作成も可能です。
※GVA 法人登記では役員退任のみの書類作成は行っていませんのでご了承ください。

役員変更登記についての詳細はこちら



GVA 法人登記が対応している登記種類

・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
・役員の住所変更
・募集株式の発行
・商号変更
・目的変更
・株式分割
・剰余金等の資本組入れ
・ストックオプション

ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます

登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。

本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。



GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(役員就任の場合)

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 就任承諾書
  • 取締役会議事録
  • 取締役決定書
  • 登記申請書
  • 定款
  • 印鑑届書


※役員就任・重任・退任・辞任で作成される処理が異なります。上記は役員就任の場合です。

さらにGVA 法人登記で登記書類を作成していただいた方全員に「登記申請手続きマニュアル」をお渡ししております。作成した登記書類の製版方法や、押印する場所についてすべてまとめておりますので、流れの通りに進めるだけで手続きを終えることができます。

GVA 法人登記なら書類を郵送するだけで法務局に行かずに登記申請できます

オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、書類作成後、押印し郵送するだけで登記申請ができるため、法務局に行かずに登記申請が可能です。仕事が忙しく法務局に行く時間がない方や、効率的に手続きを進めたい方におすすめです。


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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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