役員変更登記で定款が必要になる条件を解説

役員変更
投稿日:2026.06.15
役員変更登記で定款が必要になる条件を解説

役員の就任、重任、辞任、退任などの役員変更登記では、株主総会議事録や就任承諾書といった書類が必要な場合がありますが、特定の状況においては、会社の憲法ともいえる「定款」の添付を求められることがあります。

「どんなときに定款が必要になるのか?」 「そもそもなぜ定款を提出する必要があるのか?」

について、具体的なケースとその理由について解説します。

法人変更登記申請の書類作成方法

まずはじめに、法人登記の書類作成方法を解説します。書類作成には「GVA 法人登記」の利用など主に4つの方法があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、自分に向いている申請方法をご確認ください。

①法務局の申請書テンプレートを利用

法務局で公開されている無料のテンプレートを利用して、自分で書類作成から申請までをおこなう方法です。費用がかからないメリットがある半面、専門的な登記知識を必要とします。一か所でも間違えると補正が入りますので、利用の際は注意が必要です。

②オンラインサービスの「GVA 法人登記」を利用

オンラインで必要書類が自動作成できるサービスです。登記知識を必要とせず、画面の案内に従うだけで書類が作成できます。最短7分・費用5,000円~と、時間と費用を極力抑えて効率よく登記申請したい方におススメです。

③オンラインサービスの「freee登記」を利用

会計ソフトでおなじみのフリーのサービス。フリー会社設立から一気通貫で法人の変更登記手続きができます。UIもわかりやすく、登記の知識がない人でも画面の指示に従うだけで簡単に必要書類が作成できます。費用を抑え、効率よく手続きをしたい方におススメ。

④法務局のオンラインサービス「かんたん登記・供託申請」を利用

法務局のオンラインサービスを利用する方法です。オンラインで書類の作成から申請までできるメリットがありますが、ソフトウェアのインストールや電子証明書の事前準備が必要です。また、UIが複雑なため、初心者の方には難易度の高い方法です。

⑤司法書士に依頼

登記知識がなくても相談しながら勧められる、丸投げできるなどのメリットがあります。ただし、安くはない手数料(専門家報酬)の支払いが必要なので、費用を抑えたい方にはおすすめしません。また、依頼先の選定や複数のやりとりなど、時間的な手間が多少かかります。

比較
①法務局テンプレート
②GVA法人登記
③freee登記
④かんたん登記・供託申請
⑤司法書士に依頼
手続き
自分で
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プロにお任せ
難易度
非常に高い
低い
低い
非常に高い
非常に低い
手間
専門知識が必要
画面に従うだけで簡単
画面に従うだけで簡単
操作が難しい
丸投げできる
所要時間目安
数日以上
最短7分~
最短7分~
自身の登記知識による
やりとりが必要
費用の目安
0円
5,000円~
5,000円~
0円
数万円〜
特徴
法務局提供なので確実
安くてUIが分かりやすい
安くてUIが分かりやすい
UIがわかりにくい
費用は高いが相談できる

役員変更で定款を添付するケースとは?

まず大前提として、すべての役員変更登記で定款の添付が必須というわけではありません。むしろ、定款が不要なケースの方が多いです。

法務局が登記申請を審査する際、その変更が法的な手続きに則って正しく行われたかを確認します。その確認の大部分は、株主総会議事録や取締役会議事録などの議事録で足りますが、議事録だけではその変更の正当性や根拠を証明しきれない特定のケースにおいて、会社の根本規則である定款の記載内容を確認する必要が生じます。

次章から定款の添付が必要となる代表的なケースを解説します。

取締役会設置会社が「書面決議」で決議を行った場合

代表取締役の選定は、通常、取締役会を開催し、そこで決議を行います。しかし、会社法では、物理的に集まらなくても決議を有効に成立させられる「書面決議(みなし決議)」という制度が認められています。

この書面決議は、すべての会社が無条件に利用できるわけではありません。会社法第370条には、「取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる」と規定されています。

法務局は、書面決議による役員変更の登記申請があった場合、「この会社は本当に書面決議ができる会社なのか?」を確認するために、定款の提出が必要になります。

取締役会を設置していない会社が「取締役の互選」で代表取締役を選定した場合

取締役会を設置していない会社(取締役会非設置会社)では、代表取締役を誰にするかの選定方法が複数あります。

1. 定款で特定の個人(例:「代表取締役はAとする」)を直接定める

2. 定款の定めに基づき、取締役の中から互選(取締役間の話し合い)で選定する

3. 株主総会の決議で選定する

このうち、2番目の「取締役の互選」によって代表取締役を選定した場合、登記申請の際に定款の添付が必要になります。「互選で代表取締役を選べる」という権限が、取締役たちにそもそも与えられているのかを法務局が確認する必要があるからです。その根拠となるのが、「当会社の代表取締役は、取締役の互選によって定める」といった定款内の規定です。

この規定が定款になければ、取締役の互選で代表取締役を選定することはできず、その選定決議は無効となります。そのため、互選を証明する「互選書」とあわせて、その前提となる定款の規定を証明するために、定款の添付が求められます。

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GVA 法人登記を利用する方法もありますが、まずは自力で書類を作成したい方や、必要書類を確認したい方はぜひご利用ください。

役員の任期満了日を証明する必要がある場合

役員の任期は、原則として「選任後2年(監査役は4年)以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」と定められています。

しかし、株式の譲渡制限を設けている非公開会社においては、定款でこの任期を最長10年まで伸長することが可能です。

例えば、定款で「取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」と定めている会社があるとします。この会社で、ある取締役が任期満了により退任する登記を申請する場合、その「任期が10年であること」を証明しなければ、いつ任期が満了したのかを客観的に判断できません。

このようなケースでは、任期に関する規定が記載された定款を添付することで任期満了の事実を証明できます。なお、役員を改選した株主総会議事録に任期満了により退任した旨の記載があるときは、定款の提出が不要となる場合があります。

会社の解散および清算人の就任登記を行う場合

会社の解散登記や、その後の清算手続きを行う清算人の就任登記においても、定款の添付が必要となります。

会社が解散した場合、清算人を置くことになりますが、解散時の取締役がそのまま「清算人」になる場合があります。これは、株主総会で清算人を選任していなく、また定款にて清算人を定めていないときの取扱いです。そのため、「定款にて清算人を定めていない」ことを証明するため、定款の添付が必要となります。

他にも、清算人会を設置の有無を証明するためにも定款の添付が必要となります。

定款の原本証明とは

実際に定款を法務局に提出する際には、一つ重要なルールがあります。それは、会社に保管している定款の原本をそのまま提出するわけではない、ということです。

提出するのは定款の「写し(コピー)」ですが、そのコピーが「原本と間違いなく同じ内容です」ということを会社自身が証明しなければなりません。この証明手続きを「原本証明」といいいます。

定款の原本証明のやり方

原本証明は、定款のコピーの末尾の余白などに、以下の内容を記載し、会社の実印(法務局に届け出ている印鑑)を押印して行います。

この写しは、原本と相違ありません。

 令和●年●月●日

(本店所在地)東京都渋谷区〇〇一丁目二番三号

(商号) 株式会社〇〇

(代表者) 代表取締役 法務 太郎 (会社実印を押印)

法人登記クラウドの活用も選択肢に

ここまで解説してきたように、定款の添付が必要かどうかは、会社の機関設計(取締役会の有無など)や、役員変更の具体的な内容によって変わります。これらの判断をご自身で行うのは、なかなか骨が折れる作業です。

そこでおすすめしたいのが、近年利用が広がっている法人登記クラウドの活用です。

例えば、「GVA 法人登記」のようなサービスでは、Webサイト上 で変更する情報を入力することで、自社の状況に応じた役員変更登記に必要な書類(登記申請書、株主総会議事録、定款など)を整理し、作成できます。

不安な場合は専門家への相談も

「自社のケースが特殊で、クラウドサービスで対応できるか不安」 「登記手続き全体を丸ごと任せて、本業に集中したい」このような場合は、やはり国家資格者である司法書士に相談・依頼するのが最も確実で安心な方法です。
ご自身の状況に合わせて、自分でゼロから申請するのか、クラウドサービスを活用するのか、あるいは専門家である司法書士に依頼するのか、最適な方法を選択し、スムーズで確実な登記手続きをを行ってください。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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