有限会社の役員の就任登記とは?申請方法と必要書類を解説

役員変更
投稿日:2023.08.15
有限会社の役員の就任登記とは?申請方法と必要書類を解説

会社の形態には株式会社や合同会社など様々なものがありますが、有限会社という名称を耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。

現在もまだ残っている有限会社ですが、経営者のうち役員の辞任や退職、さらに就任の際には株式会社と同様に登記が必要となります。しかし、有限会社の場合にどのような手続きが必要でどういった書類が必要なのかご存じの方は多くないかもしれません。そこで、本記事では有限会社の役員の就任登記について申請方法と必要書類を解説します。

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有限会社の役員の就任とは?

まずは有限会社における役員就任とはどのような意味なのか解説します。

なお、有限会社は2006年の会社法制定に伴い、現在では新たに設立できません。それまで存在した有限会社は全て特例有限会社として存続しています。そのため、本記事における有限会社とは特例有限会社のことを指します。

有限会社の役員とは

有限会社における役員とは監査役や取締役のことをいいます。代表取締役を選任している場合には代表取締役は取締役としての地位を有するため、役員に含まれます。

なお、取締役会設置会社である株式会社と異なり、有限会社の場合には必ずしも代表取締役を定める必要はありません。有限会社における代表権は取締役各自が代表し、特定の取締役を代表取締役に定めたときは当該代表取締役が代表権を有し、それ以外の取締役の代表権が喪失することになります。

有限会社の役員(取締役や監査役)が新たに就任することを指す

役員の就任とは、有限会社の役員(取締役や監査役)が新たに就任することをいいます。就任以外にも初めて役員になる場合には新任と呼ばれる場合もあります。

役員の就任は部長や課長といった社内の役職と異なり、会社法(以下「法」)で定められた手続きを経る必要があります。なお、定款で別段の定めを置いた場合を除き、株式会社と異なり有限会社は役員の任期がありません。そのため、定款で任期を定めている場合を除き、役員は何年間でも務めることが可能です。

役員を退任する場合、定款で役員の員数を決定している場合には後任を決めておかないと役員に欠員が出ることになります。そのため、この場合には必ず新しい役員を決めておく必要があります。

役員が就任したら登記申請が必要

役員の氏名等は有限会社において登記事項となっています。そのため、役員が就任したら2週間以内に登記申請を行う必要があります。

登記申請すると就任の事実と就任日付が登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されます。登記されることによって、第三者は登記簿や履歴事項全部証明書を見て役員の就任を知ることができることになります。

なお、期限である2週間を過ぎて登記申請しない場合、登記懈怠となり過料が課される場合があります(法第976条第1号)。高額な過料が科される可能性は低いですが、登記懈怠のリスクとなるため注意しましょう。

有限会社の役員就任登記申請の流れ

では、有限会社の役員の就任登記はどのような流れで行われるのでしょうか。大きくは、株主総会での就任決議と、役員就任の登記申請、の2つの手続きが必要になります。

①株主総会で就任を決議する

有限会社において役員の選任は株主総会の普通決議の決議事項となっています(法第329条第1項)。なお、会社法制定以前の有限会社では意思決定機関は社員総会でしたが、現在の特例有限会社は株式会社の一類型となっているため、意思決定機関は株主総会となっています。

株主総会で選任するにあたっては、まずは候補者の選定を行います。そして、株主総会で選任の決議を行い、決議が完了したら議事録を作成します(第318条第1項)。

前述の通り役員が就任したら2週間以内に登記をする必要があるため、登記に必要な候補者の就任承諾書や印鑑証明書の準備もあらかじめしておきましょう。また、通常はこの時点で就任について本人の内諾を得ていることが一般的です。

②就任した役員について登記申請する

役員の選任と就任が完了したら、現在の登記事項証明書に記載されている役員の氏名等を変更するために登記申請が必要となります。

登記申請には株主総会議事録や就任承諾書などの書類が登記申請時に添付が必要になるので忘れずに作成しましょう。登記申請は登記申請書および必要書類を作成して法務局に提出することで申請が可能です。

代表取締役の就任登記の手続き

代表取締役を選定する場合には、定款で定めた手続きまたは会社法の定めに従って選定の手続きが必要となります。なお、特例有限会社は取締役会を設置することができないため、一般的な株式会社異なり取締役会による代表取締役の選定はできません。この点は押えておきましょう。

特例有限会社において代表取締役を選定する方法は以下の3つがあります。

①株主総会議決議による選定
株主総会による決議によって代表取締役を選定することができます(法第349条第3項参照)。一般的には株主総会決議では取締役のみの地位を選任しますが、併せて代表取締役を選定することも可能です。この方法で代表取締役の選定を行った場合、選定された代表取締役は代表取締役としての地位と取締役としての地位が一体化していると考えられています。


②取締役による互選
定款内で取締役の互選によって代表取締役を選定すると定めている場合は、取締役の互選により代表取締役を選定することができます。取締役の互選とは、取締役が相互に代表取締役を選定するということです。

取締役の互選には過半数が必要となるため、取締役が2名の場合は全員一致が、3名以上の場合は2名以上の賛成が条件となります。

互選には株主総会のような招集手続きに関する規制は無く、形式にも特に定めはありません。そのため、開催がしやすく運営の負担が軽いという点はメリットとして挙げられます。他方で取締役が2名しかいない場合には全員一致が必要になるなど、取締役の人数と候補者の人数によってはなかなか代表取締役が決まらなくなってしまうといったデメリットも挙げられます。


③定款で定めた方法
この他にも定款で直接代表取締役の名前を記載して指名するといった方法もあります。定款内に直接代表取締役の氏名を記載するため、代表取締役の変更をする場合には定款変更の手続きが必要となる点には注意が必要です。特に定款の変更には、株主総会の特別決議が必要となるため、この方法では代表取締役の変更がある度に株主総会の開催が必要となります(法第466条、第309条第2項第11号)。

株主総会には招集手続きとその各手続きの期限が会社法で定められており、期限を徒過したり、手続きに瑕疵があると事後的に株主総会決議の取消事由となる可能性があります。定款で直接代表取締役を選定する際には、変更の際にこうしたリスクと負担があるという点は押えておいた上で方法を選択するようにしましょう。

有限会社の役員就任登記申請の必要書類

役員就任登記申請の必要書類はどのようなものがあるのでしょうか。ここからは有限会社の役員就任登記申請の必要書類について解説します。

役員就任登記の必要書類

役員就任登記に必要な書類は以下のものがあります。

  • 登記申請書

会社実印を押印する必要があります。また、収入印紙貼付台紙に登録免許税額分の収入印紙を貼る必要があるので忘れないようにしましょう。

  • 株主総会議事録

株主総会の決議により役員を選任した旨を記載しましょう。その際には普通決議(法第309条第1項)の要件を満たしていることも記載しておきましょう。

  • 株主リスト

議決権数上位10名の株主または議決権割合が2/3に達するまでの株主のいずれか少ない方の株主リストを作成する必要があります。

  • 就任承諾書

就任を承諾した人の個人実印を押印する必要があるので注意しましょう。

  • 印鑑証明書

住民登録している市町村役場などで取得が可能です。

  • 委任状

司法書士などに依頼する場合に必要となります。

必要書類を作成し、法務局に申請する

株主総会の決議などが完了したら、次は必要書類を作成し、登記を法務局へ申請します。

登記申請に当たっては、登記申請書を作成し、必要書類を添付して法務局に申請することになります。登記申請書の記載例については法務局のホームページに書式やテンプレートが用意されています。必ずしもこれを用いなければいけないものではありませんが、この記載例に従って作成するのが無難といえるでしょう。

登記手続きは、作成した申請書を法務局に持参もしくは郵送で提出する方法によってすることが可能です。なお、前述の通り手続きを司法書士などに依頼する場合は委任状が必要となるので忘れず作成するようにしましょう。

登記申請に必要な登録免許税

登記申請には登録免許税が費用として必要となります。登録免許税の額は資本金の額によって異なっており、資本金が1億円以下の場合には1万円、1億円を超える場合には3万円となっています。自社の資本金の額と照らして間違いの無いように収入印紙の貼り付けを行うようにしましょう。

有限会社の役員就任の登記は計画的に準備しましょう

役員の変更があったときには必ず登記が必要となります。登記には2週間という期間制限がある一方で登記申請に必要な書類は複数にわたります。本記事を参考にあらかじめ準備できる必要書類は準備しておき、スムーズな登記手続きを行い、期限に間に合わなかったといったことのないようにしましょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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