この記事では役員(代表取締役・取締役・監査役)が重任および再任する際の、重任登記の必要書類について解説しています。
任期を満了した代表取締役、取締役、監査役などの役員は「退任」することになりますが、任期満了後、次の任期も役員・役職を務めることを「重任」と呼びます。似た意味では「再任」という言葉もあります。本記事では、役員重任登記に必要な書類や記入例について解説します。
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役員重任の登記申請は自分でできます
役員が変更になった場合は役員変更登記が必要ですが、役員が重任(継続)する場合も登記申請が必要です。継続の場合は登記申請は必要ないと思われがちですので、注意が必要です。
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役員(代表取締役・取締役・監査役)重任とは?
「重任」は「じゅうにん」と読み、退任と就任が時間的間隔を置かずに同日に行うことを言います。任期が満了する定時株主総会の普通決議において選任され、同日のタイミングで就任する際に重任という言葉を使います。会社法上の規定で、取締役の任期は原則2年(監査役は4年)ですが、非公開会社では定款変更により最長で任期を10年まで伸長することが可能です。もし任期がわからない、という場合は会社設立時に作成した定款に記載されている可能性があるので確認しましょう。
役員重任と役員再任は同じ意味で使われることもありますが、「重任」は役員就任期間が連続している場合を指し、「再任」は就任期間が空いた場合も含んで使われることが多いです。法律上も「就任」「退任」「辞任」と区別され、登記申請においては「重任」と記載されます。期間が空いた後に再任する場合、役員変更登記の種類としては「就任」に該当しますので注意しましょう。意味合いとしては「再選」「改選」も近いですが、選挙のように他の候補者と同じプロセスで選びなおすのとは若干異なります。
なお、役員重任の場合も、他の役員変更と同じように選任決議後2週間以内の登記手続きが必要です。
役員重任登記とは、任期満了を迎える役員が満了以降、次の任期も役員を務めることを決議し、重任となったことを登記事項証明書に反映するために必要な書類を法務局に提出して申請する手続きです。
選任懈怠などで役員の空白期間ができてしまったケースでは重任とはいいませんので、選任懈怠時の登記申請の際には注意が必要です。
役員重任でも株主総会の決議が必要
「役員の重任」は、役員の辞任や就任(新任)に比べると、手続きが必要だという認識が薄くなりがちです。
特に経営が順調な場合は任期満了後も同じ役員が就任することが多いため、手続きは不要と誤解されていたり、忘れられて何も手続きがされていないままになっている可能性が高い手続きです。選任や登記をせずに放置してしまうと登記懈怠で過料(反則金のようなもの)が科されてしまう場合もあります。
引き続き役員になってもらう場合は、任期満了と同時に、株主総会(事業年度終了後の定時株主総会が多い)で再度役員として選任する手続きが必要です。これには大きく分けて以下の手続きが必要です。
- 取締役会の決議・取締役の決定(決算承認、株主総会の開催決定)
- 株主総会の招集通知の発送
- 定時株主総会の決議(事業報告、決算承認、役員選任)
※株主総会を実際に開催せず、書面決議とすることも可能です。
役員重任登記の必要書類
株式総会での決議後、重任の登記申請を行います。これには登記申請書、議事録等を含め以下の添付書類が必要です。
※なお、登記申請書様式(フォーマット)は法務局のWebサイトからダウンロードできます。
取締役会設置会社で役員全員が重任する場合の必要書類
- 変更登記申請書:(登記事項は取締役及び代表取締役の変更)
- 株主総会議事録:(任期満了により退任する旨、選任する旨を記載する)
- 株主リスト:(会社実印を押印)
- 取締役会議事録:(代表取締役を選定した旨を記載、代表取締役は会社実印・その他役員は認印を押印)
- 就任承諾書:(重任する役員の就任承諾書。認印を押印。なお、株主総会や取締役会に出席し、席上で就任承諾した旨を議事録に記載している場合は就任承諾書は省略可能(不要)です)
- 委任状(代理人に依頼する場合のみ)
取締役会非設置会社で役員全員が重任する場合の必要書類(一例:互選により代表取締役を選定する場合)
- 変更登記申請書:(会社実印を押印)
- 株主総会議事録:(任期満了により退任する旨、選任する旨を記載する。代表取締役は会社実印を押印)
- 株主リスト:(会社実印を押印)
- 互選書:(代表取締役は実印、取締役は認印)
- 就任承諾書:(重任する役員の就任承諾書。認印を押印。なお、株主総会に出席し、席上で就任承諾した旨を議事録に記載している場合は省略可)
- 委任状(代理人に依頼する場合のみ)
取締役会の設置状況や、重任する役員が全員なのか一部なのか、また定款の内容によって必要な書類が異なる場合があります。詳しくは以下の記事も参考にしてください。
関連記事:株式会社の役員重任ガイド~役員重任の基礎知識から役員重任登記までの必要手続きを徹底解説します
上記の各書類が準備できたら登録免許税納付のための収入印紙を貼付して書類の準備は完了です。
なお、役員変更の登録免許税やその他の書類については以下の記事もご参考ください。
関連記事
役員(代表取締役・取締役・監査役)重任登記の必要書類の記入例
必要な書類の種類はわかったけど、実際どんな内容の書類を用意すべきかイメージが湧かない、という方もいらっしゃると思います。作成する書類それぞれに記載例のあるフォーマットを紹介しますので、どんな書類が必要なのか、参考にしてください。
※なお、登記申請書の様式(フォーマット)は、役員変更の種類ごとに法務局のWebサイトからダウンロードできます。
役員変更(重任)の登記申請書の記入例
今回行う役員重任の登記の申請書です。登記申請する内容と添付書類を記載します。
登記申請書内に記載する内容の詳細についてはこちらの記事もご参考ください。
関連記事:役員登記時の登記申請書の登記すべき事項の書き方を徹底解説します
※以下は役員重任において「取締役会を設置していない会社において互選により代表取締役を選定する場合に,役員の全員が重任する」場合の申請書類サンプルになります。
株主総会議事録(一例から一部抜粋)の記入例
株主総会で役員の重任について決議されたことを示す議事録です。
株主リスト(例)の記入例
会社の株主の氏名、住所、議決権数を証明する株主リストです。
株主リストの詳しい解説はこちらの記事もご覧ください
関連記事:役員変更の登記申請に必要な株主リストとは?
就任承諾書(例)の記入例
重任する候補者が役員就任に同意したことを示す書類です。
互選書(例)の記入例
取締役の互選により代表取締役を決定したことを示す書類です。
GVA 法人登記なら、役員重任登記に必要な書類を12,000円で作成、法務局に行かずに申請できます
役員が重任する場合、これまでの役員が次の任期も継続することになるため、役員変更登記は必要ないと勘違いされることがありますが、重任する場合でも役員重任登記の必要がありますのでご注意ください。
また、任期が切れていた場合、役員重任の手続きはできませんのでご注意ください。この場合は一度役員退任手続き後、再度役員就任の手続きが必要になります。
役員変更登記は手続きに必要な書類が多く、準備しなければならない書類を確認するだけでも多くの時間が取られてしまいます。GVA 法人登記なら、変更情報を入力するだけで最短7分12,000円で手続きに必要な書類をそろえることができます。また、事前に株主リストを手元に準備しておくことで、スムーズに書類の作成ができます。
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※GVA 法人登記では役員退任のみの書類作成は行っていませんのでご了承ください。
役員変更登記についての詳細はこちら
GVA 法人登記が対応している登記種類
・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
・役員の住所変更
・募集株式の発行
・商号変更
・目的変更
・株式分割
・剰余金等の資本組入れ
・ストックオプション
ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます
登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。
本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。
GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(役員重任の場合)
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 取締役決会議事録
- 取締役決定書
- 登記申請書
- 定款
※役員就任・退任・辞任で作成される処理が異なります。上記は役員重任の場合です。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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