役員重任登記を怠った場合のリスクと登記懈怠による過料について解説します

役員変更
投稿日:2026.07.31
役員重任登記を怠った場合のリスクと登記懈怠による過料について解説します

この記事にたどり着いた方は、何かしらの理由で役員重任登記懈怠による過料についてお調べで、中には現在登記懈怠状態になってしまっている方もいることと思います。

本店の移転や役員の変更や増資、株式分割など、会社の登記内容について変更があった場合は期限内に変更登記が必要となりますが、本記事では任期満了後の役員重任の登記を怠った場合の「リスク」と「登記懈怠による過料」について解説していますので参考にしていただければと思います。

役員重任登記の登記懈怠・過料まとめ表

項目

内容

申請期限

変更が生じてから2週間以内(会社法915条1項)

登記懈怠とは

期限を過ぎてからの変更登記申請のこと。書類が揃っていれば申請自体は受理されるが、過料の対象になる

過料の金額

代表者個人に100万円以下(会社法976条1号)。懈怠期間が長いほど過料額が大きくなる可能性がある

取締役の任期上限

最長10年(定款で伸長した場合)。少なくとも10年に1度は重任登記が必要

みなし解散のリスク

12年以上、何の変更登記もしないと、法務局登記官の職権により解散の登記をされる可能性がある

任期切れ後の対応

任期がすでに切れている場合は「重任」はできず、一度「退任」の登記をしたうえで、あらためて「就任」の登記が必要

早めに対応するメリット

過料額の抑制、取締役の員数不足・代表権トラブルの回避、対外的な信用の維持

登記懈怠とは?

まずは登記懈怠とは何かをお話します。読み方は「とうきけたい」で、その名の通り必要な登記申請を懈怠した場合の状態を指します。会社の変更登記申請には会社法第915条第1項により「変更が生じてから2週間以内」という期限のルールが定められています。この期限を過ぎてから変更登記申請をすると登記懈怠扱いとなり、過料の罰則を科せられる可能性があるので注意が必要です。

株式会社の取締役の任期は会社法上、最大10年までと定められているので、少なくとも10年に1回は登記手続きが必要ということになります。

登記懈怠による過料とは?

期限の2週間を過ぎてから変更登記申請を行っても、期限を理由に断られることはなく、書類が正しく揃っていれば申請自体は問題なく受理されます。

ただし、期限を過ぎてから変更登記申請をすると登記懈怠扱いとなり、代表者個人が100万円以下の過料の制裁を受ける可能性があります(会社法第976条第1号)。

そのまま変更登記申請を放置しておくと…

既に期限が過ぎてしまっているし、これから申請すると登記懈怠に気づかれてしまうからこのまま申請しないでおこう…と考える方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

登記懈怠は懈怠期間が長くなると過料の制裁を受ける可能性がより高くなり、且つ過料額も大きくなる可能性があります。放置しておくと状況は悪化していく一方で、罰則の問題だけではなく会社の信用問題にも関わる可能性がありますので、忘れていることに気づいたら早めに変更登記申請をすることをおすすめします。

放置しておくと解散の登記をされてしまう可能性も…

株式会社が何の変更登記申請もしないまま12年以上経過すると、既に事業を廃止している実体のない会社とみられてしまい、法務局登記官の職権により「みなし解散」の登記をされてしまう可能性があります。

どんなに会社登記の変更がない場合でも、役員変更登記は10年に1度必要になりますので、みなし解散にならないよう注意が必要です。

役員重任登記を怠ることで起こりうる悪影響とは?

役員重任登記を怠ると、過料の制裁を受けるだけでなく、会社の実務にもさまざまな悪影響が及ぶ可能性があります。
任期満了時に重任の手続き(株主総会での再選任決議)自体を忘れていた場合、その役員は法律上すでに役員としての地位を失っていることになります。この状態で締結した契約書への押印や代表取締役としての意思決定は、後になって「無権限者による行為」として有効性を争われるリスクがあります。

  • 取締役の員数不足のリスク:取締役会設置会社は取締役3名以上が必要です。任期切れに気づかず重任手続きを怠ると、この最低員数を欠く状態になり、利害関係人の申立てにより裁判所が一時取締役(仮取締役)を選任する事態に発展することもあります。
  • 対外的な信用低下のリスク:登記簿に記載された役員情報が古いまま放置されていると、金融機関の融資審査や新規取引先とのやり取り、行政への各種届出の際に、会社の内部管理体制に疑義を持たれる可能性があります。
  • 代表権をめぐるトラブルのリスク:特に代表取締役の重任登記を怠っていた場合、対外的な代表権の証明に支障が生じ、契約締結や他の登記手続きそのものが滞る可能性があります。

なお、任期がすでに切れてしまっている場合は「重任」の手続きはできず、一度「退任」の登記をしたうえで、あらためて「就任」の登記をする必要があります。こうした事態を避けるためにも、役員の任期を正確に把握し、任期満了前に重任の要否を確認しておくことが重要です。

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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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