役員変更の登記手続きでは、過不足なく書類を準備し、期限内に提出しなければなりません。変更の種類によって必要書類は異なり、初めて担当する方にとっては、どの書類をどのように準備すればよいのか、不安を感じる場面も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、会社形態や変更の種類ごとに必要な書類をまとめ、法務局が提供しているひな形(テンプレート)の活用方法まで、実務に即して解説します。これから役員変更登記を進める方に向けて、手続きをスムーズに行うためのポイントを詳しく紹介していきます。
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役員変更の種類
会社の役員変更には様々な種類があり、その内容によって必要な手続きは異なります。まずは基本的な概念を理解しましょう。
役員変更とは
会社における役員変更とは、株式会社や有限会社において、取締役や監査役に関する変更を行う手続きを指します。取締役には代表取締役も含まれ、会社の経営を担う重要な役職者の異動全般がこれに該当します。
合同会社において、制度上は「役員」という名称の立場は存在しないものの、実質的に役員と同様の立場として代表社員や業務執行社員が置かれています。そのため、「合同会社の役員変更」という場合には、これらの社員に関する変更を指すことが一般的です。
役員に関する事項は登記事項として法令で定められており、その変更には厳格な手続きが必要となります。具体的には、株主総会などでの決議による承認が必要で、変更が生じた日から2週間以内に登記を行うことが法律で義務付けられています。
役員変更の種類
役員変更には複数の種類があり、新たに役員に就く「就任(新任)」、任期満了で役員を退く「退任」、役員自らの意思による「辞任」、不慮の事態による「死亡」があります。また、任期満了時に同じ役員が継続して就任する「重任」や、株主総会等の決議により役員の地位を解く「解任」なども重要な変更の種類として挙げられます。
役員の任期に関する規定については、株式会社では役員の任期が法定されていますが、有限会社では一般的に役員の任期は定められていません。ただし、有限会社でも定款で任期を設定することは可能です。
合同会社の場合は、代表社員や業務執行社員の加入や退社が役員変更に相当する手続きとなります。これらは株式会社や有限会社の役員変更とは性質が異なりますが、会社の経営体制の変更として同様に重要な意味を持ちます。
なお、本記事では、前述した「就任(新任)」や「解任」など役員変更について解説します。役員の氏名変更や住所変更、合同会社における社員の入退社についての説明は割愛させていただきます。
株式会社の役員変更登記の必要書類とひな形(テンプレート)
株式会社の役員変更登記には複数の書類が必要です。変更の種類に応じた必要書類と、活用できるテンプレートを確認していきましょう。
株式会社の役員就任登記に必要な書類
株式会社における役員変更登記で必要な書類は、変更理由によって異なります。必要書類を表にまとめましたので、参考にしてください。
役員変更登記の理由別 必要書類一覧表
必要書類 | 新任 | 重任 | 辞任 | 解任 | 死亡 |
申請書 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
議事録 | ○ | ○ | △ | ○ | - |
株主リスト | ○ | ○ | △ | ○ | - |
辞任届/死亡届 | - | - | ○ | - | ○ (死亡届) |
就任承諾書 | ○ | ○ | - | - | - |
本人確認書類 | ○ | - | - | - | - |
印鑑証明書 | ○ | - | - | - | - |
※代理人に申請を依頼した場合には、上記に加え、委任状が必要となります。
※ 取締役の互選で代表取締役を選定した場合や定款で代表取締役を定めた場合などでは定款も必要
※実際に必要な書類については、状況によって異なることがあります。
表中の議事録は、株主総会や取締役会での決議があったことを証明する重要書類です。株主総会議事録は株主リストと併せて提出する必要があります。
取締役会非設置会社の場合、代表取締役の選定については、定款に定められた方法(互選または株主総会での選定)に従って行い、互選書や株主総会議事録を提出します。
一方、取締役会設置会社の場合は、まず株主総会で役員の選任を決議し、その後、選任された取締役の中から代表取締役を選定するための取締役会を開催します。
また、必要書類には議事録のほかにも、さまざまな種類があります。
新任の場合は、会社の機関設計や役員の種類により、就任する役員の本人確認書類または印鑑証明書が必要となります。就任承諾書は、役員就任の意思を示す書面です。辞任の場合は辞任届、死亡の場合は死亡届(除籍謄本や死亡診断書の写しなども可)が必要です。登記変更理由に応じた必要書類を準備し、次に紹介する申請書と一緒に提出します。
▼申請書関連ダウンロード
法務局の公式Webサイトでは、「記載例」「PDF形式の申請書様式」をダウンロードでき、スムーズに作成することができます。各書類のリンクを紹介いたします。
就任:
・株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合)
「記載例」 「申請書様式」
・株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(監査役)が就任した場合)
「記載例」 「申請書様式」
辞任:
・株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(取締役)が就任した場合)
「記載例」 「申請書様式」
・株式会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員(監査役)が就任した場合)
「記載例」 「申請書様式」
重任:
・株式会社役員変更登記申請書(取締役会設置会社・役員の全員が重任)
「記載例」 「申請書様式」
・株式会社役員変更登記申請書(取締役会を設置していない会社において、互選により代表取締役を
選定する場合に、役員の全員が重任)
「記載例」 「申請書様式」
株式会社変更登記申請書
なお、法務局のサイトには、辞任と死亡に関する「記載例」と「申請書様式」はありません。基本的な様式を参考に、「登記の事由」と「登記すべき事項」を修正するといいでしょう。
有限会社の役員変更登記の必要書類とひな形(テンプレート)
有限会社特有の規定に基づいた役員変更登記の手続きについて、必要書類とテンプレートの入手方法を解説します。
有限会社(特例有限会社)の役員就任登記に必要な書類
有限会社における理由ごとの必要な書類をまとめます。個々の事情によっては異なるケースもありますので、実際に登記をする際には法務局に事前確認しておくとスムーズに手続きできるでしょう。
役員変更登記の理由別 必要書類一覧表
必要書類 | 新任 | 辞任 | 解任 | 死亡 | (重任) |
申請書 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
株主総会議事録 | ○ | △ | ○ | - | ○ |
株主リスト | ○ | △ | ○ | - | ○ |
辞任/退任届 | - | ○ | - | ○ (死亡届) | - |
就任承諾書 | ○ | - | - | - | ○ |
本人確認書類 | ○ | - | - | - | - |
印鑑届書/印鑑証明書 | ○ | - | - | - | - |
※代理人に申請を依頼した場合には、上記に加え、委任状が必要となります。
※取締役の互選で代表取締役を選定した場合や定款で代表取締役を定めた場合などでは定款も必要
※実際に必要な書類については、状況によって異なることがあります。
表中の議事録は、株主総会での決議があったことをを証明する書類で、株主リストと併せて提出する必要があります。
有限会社では、取締役会を設置することができません。代表取締役の選定については、定款に定められた方法(互選または株主総会での選定)に従って行い、互選書や株主総会議事録を提出します。
また、必要書類には議事録のほかにも、さまざまな種類があります。
新任の場合は、役員の種類により、就任する役員の本人確認書類または印鑑証明書が必要となります。就任承諾書は、役員就任の意思を示す書面です。辞任の場合は辞任届、死亡の場合は死亡届(除籍謄本や死亡診断書の写しなども可)が必要です。
▼申請書関連ダウンロード
法務局の公式Webサイトでは、「記載例」「PDF形式の申請書様式」をダウンロードできます。なお、有限会社は、法律上任期に関する規定はありませんが、定款で定めることは可能です。任期規定を導入している場合は、「重任」の記載例などをダウンロードして活用してください。
就任:
・特例有限会社役員変更登記申請書(辞任等により新たな役員が就任した場合)
「記載例」 「申請書様式」
重任:
・特例有限会社役員変更登記申請書(取締役及び代表取締役が重任した場合)
「記載例」 「申請書様式」
役員変更登記の必要書類は変更理由によって異なる
役員変更登記の手続きでは、会社の形態や変更の理由に応じて、それぞれ異なる書類を準備する必要があります。株式会社では、就任や重任の場合には株主総会議事録や就任承諾書が必要となる一方、辞任や死亡の場合には辞任届や死亡届を申請書と一緒に提出します。
法務局が提供している申請書のひな形(テンプレート)を活用することで、より正確かつ効率的に書類を作成することができます。特に株式会社の役員変更では、取締役会の設置有無や代表取締役の選定方法に応じた様式を選択する必要があります。これらのテンプレートは法務局のWebサイトからダウンロードできます。
重要なのは、変更が生じてから2週間以内という登記申請の期限を遵守することです。そのためにも、必要書類を事前に把握し、計画的に進めることが肝要です。状況によっては必要書類が異なる可能性もあるため、不明な点がある場合は、管轄の法務局に確認するといいでしょう。
GVA 法人登記なら、役員変更登記に必要な書類を12,000円で作成、法務局に行かずに申請できます
役員の就任・重任・退任・辞任が発生した場合は、役員変更登記の申請が必要です。決議後(辞任の場合は辞任の意思が会社に到達した時点から)2週間以内に申請をしなければなりませので、予め役員変更登記の申請方法を準備しておくと良いでしょう。
役員変更登記は手続きに必要な書類が多く、準備しなければならない書類を確認するだけでも多くの時間が取られてしまいます。GVA 法人登記なら、変更情報を入力するだけで最短7分12,000円で手続きに必要な書類をそろえることができます。また、事前に株主リストを手元に準備しておくことで、スムーズに書類の作成ができます。
GVA 法人登記は、株式、合同、有限会社の役員変更や本店移転登記など、10種類以上の変更登記に対応しており、複数の書類作成も可能です。
※GVA 法人登記では役員退任のみの書類作成は行っていませんのでご了承ください。
令和6年10月にスタートした代表取締役の住所非表示にも対応し、申出に必要な書類作成もできます。
本制度の詳細はこちらをご覧ください
役員変更登記についての詳細はこちら
GVA 法人登記が対応している登記種類
・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
・役員の住所変更
・募集株式の発行
・商号変更
・目的変更
・株式分割
・剰余金等の資本組入れ
・ストックオプション
ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます
登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。
本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。
GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(役員就任の場合)
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 取締役会議事録
- 取締役決定書
- 登記申請書
- 定款
- 印鑑届書
※役員就任・重任・退任・辞任で作成される処理が異なります。上記は役員就任の場合です。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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