非常勤役員は、企業に外部の視点と専門知識をもたらし、経営を活性化させることができる重要な存在です。しかし、非常勤役員の報酬をどのように設定したらいいか疑問を抱えているのではないでしょうか。
「報酬額はどうすれば適切に決められるか」「法律やガイドラインにはどのような規定があるのか」「常勤役員との違いは何か」、これらの疑問を解消することで、優秀な人材を確保し、健全なコーポレートガバナンスを維持したいものです。
この記事では、非常勤役員の役割と重要性を踏まえつつ、報酬に関する基本を解説します。また、企業規模や業績を考慮した適切な報酬設定のポイント、株主総会での決議、議事録作成の重要性について詳しくみていきます。
これらの情報は、経営者や人事担当者が非常勤役員の報酬を適切に設定し、透明性の高い経営を実現するための指針となるでしょう。
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非常勤役員とは?
非常勤役員は、外部からの視点で企業経営に参画する重要な立場にあります。ここでは、非常勤役員の役割と重要性、直面する課題について解説します。
非常勤役員の役割
非常勤役員は常勤ではなく、必要に応じて業務に従事する役員のことを指します。非常勤役員のおもな役割は次のとおりです。
非常勤役員は、定期的に取締役会に出席し、経営方針や戦略について議論します。その際、専門知識を生かして、助言や提案を行います。常勤役員とは異なる立場・視点から経営判断や意思決定に参画する重要な役割を担っています。
また非常勤役員は、会社の業務執行状況を監督し、適切なガバナンスが行われているかを確認したり、株主や顧客、取引先などとの関係を強化し、会社の信頼性を高めたりします。
このように非常勤役員には、独自の視点で解決策を提案したり課題をあぶり出したりすることで、企業に新鮮な風を送り続ける役割があります。
非常勤役員の重要性
非常勤役員は、前述した役割を果たす重要な立場にあります。外部の目線を社内に取り入れることで、経営の透明性と客観性が高まり、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化につながります。非常勤役員の多様な視点や専門知識は、経営の質を向上させることができます。業界の最新情報や動向に関する知見が新規事業の展開や戦略の立案に重要な影響を与えます。
また、非常勤役員により、株主、取引先、従業員など、さまざまな立場の視点を経営に反映させ、リスク管理やコンプライアンス体制の充実にも貢献します。このような観点から、非常勤役員の客観的な意見は重要と考えられます。
企業運営における課題
一方、非常勤役員を活用する際には、いくつかの課題もあります。
非常勤役員は社内に常駐しているわけではないため、常勤役員とのコミュニケーション不足が課題となることがあります。顔を合わせる機会が少ないことから、情報共有や意思疎通が十分に行われないおそれがあることに留意しておかなければなりません。企業の現況を常に非常勤役員に提供するのが難しく、ふだんから伝えるべき情報をまとめておく必要があります。
また非常勤役員には時間的な制約があり、限られた時間内で、どの程度、経営に関与できるかが課題となります。このようななかで、責任の範囲と権限を明確にする必要があるでしょう。
これらの課題が存在するなかで、適切な評価基準・方法を設定し、非常勤役員の貢献度に見合った報酬を決めなければならない点も課題といえるでしょう。
責任限定契約と非常勤役員
責任限定契約とは、非常勤役員などの非業務執行取締役の損害賠償責任を一定の範囲内に制限する契約です。この契約を活用することで、非常勤役員は過大なリスクから解放され、積極的に経営に関与できるメリットがあります。
会社にとっても、高い専門性を持つ人材を非常勤役員として招へいでき、情報共有やコミュニケーションなどの課題解消に焦点を当てやすくなります。
非常勤役員の報酬に関する基本を解説
非常勤役員の報酬設定には特有の規則や考慮すべき点があります。非常勤役員の報酬に関する基本事項を、法定側面と常勤役員との違いから解説します。
報酬設定に関連する法律、ガイドラインなど
非常勤役員の報酬について、会社法第361条で、定款または株主総会の決議によって定めることが規定されています。そのため、規定に沿わずに役員報酬を決めてしまうと、報酬の返還請求や経費として認められないなどの不利益を被ることがあります。
常勤役員と非常勤役員の違い
常勤役員と非常勤役員の報酬には、さまざまな違いがあります。
まず、常勤役員には基本報酬や業績連動報酬など複数の報酬で構成しつつ、非常勤役員の報酬は固定報酬のみとすることがあります。常勤役員よりも報酬額は低く、専門性や経験に応じて設定されます。報酬の基準については、会社の業績や個人の貢献度よりも、役割や責任の重さ、専門性、会議への出席回数などが考慮されます。
また、非常勤役員に、福利厚生は適用されないことが多く、退職金の支給もありません。ただし、親族を非常勤役員として退職金を支給するケースもあります。役員の退職金は損金に算入できますので、会社にとっては法人税を抑えられるメリットがあります。
非常勤役員の報酬設定のポイントを解説
非常勤役員の報酬額を適切に決定するために、複数の要素を考慮する必要があります。ここでは、具体的な決定方法とポイントを見ていきましょう。
適切な報酬額の決め方
適切な報酬額を決めるには、非常勤役員の役割と責任を明確にしておく必要があります。取締役会への出席、資料の準備、緊急時の対応など、時間的な関わり方を考慮します。
次に、業界特有の知見や特定分野の専門性を考慮するなどして、非常勤役員の専門知識や経験を評価します。一方で、同業他社や同規模企業の非常勤役員報酬を参考にして、役員報酬が不相当に高額と認定されないように注意する必要があります。
企業規模や事業業績を考慮した報酬額の決め方
報酬額には企業規模や事業業績を考慮して決めることもあります。売上高や総資産、従業員数などの指標をもとに、企業規模に合った報酬基準を設定します。この際、同規模の他社の報酬水準がわかれば、参考にするといいでしょう。
また、企業の利益水準や財務健全性と整合性を取ることも重要です。赤字企業であれば、報酬額の抑制や一時的な減額なども検討材料となります(ただし、赤字になったから翌月から減額、という変更の仕方はできません)。ROEなどの財務指標と連動した報酬体系や株価や経営計画の達成度と連動した報酬形態の導入も考えられます。
あまり複雑な報酬形態は逆に公平性に欠くこともあるため、わかりやすさも重要です。会計士や税理士などの専門家のアドバイスを受けながら、自社に適した報酬額を決めるといいでしょう。
株主総会で報酬額を決議し議事録作成する
非常勤役員の報酬決定には正式な手続きが必要です。株主総会での決議と、その記録である議事録の重要性について解説します。
報酬の決定は株主総会での議決が必要な場合が多い
前述したとおり、会社法第361条に基づき、取締役の報酬等は定款または株主総会の決議によって定める必要があります。非常勤役員の報酬についても、これに基づきます。定款で定めることも可能ですが、定款による規定の場合、変更のたびに定款変更の手続きが必要となります。定款変更には出席株主の議決権の3分の2以上の特別決議が必要で、手続きが煩雑になります。
一方、株主総会での議決では、報酬総額の上限を定め、具体的な各取締役の報酬については、取締役会に委任することができます。株主総会での内容は議事録を作成し保管しなければなりません(議事録作成の重要性については次章で詳しく解説します)。多くの場合、報酬の決定は、この株主総会での決議によります。
議事録作成の重要性
会社法第318条に基づき、株主総会の議事録作成は義務付けられています。議事録は株主総会の日から10年間は本店に、5年間は支店に(議事録の写しを)保管しておかなければなりません。議事録の具体的な様式は、法律で厳密に定められていませんが、記載事項としては次のような項目を記載しなければなりません。
非常勤役員の報酬設定は不相当に高額にならないように注意すること
非常勤役員の報酬を設定する場合、コーポレートガバナンスの観点から、さまざまな視点で、慎重に検討する必要があります。この記事で解説したように、非常勤役員は専門知識の提供、経営の監督、利害関係者との調整など、重要な役割を担っています。しかし、非常勤役員の報酬設定には法的要件や特有の考慮すべき点もあり、自由に金額を決めるわけにはいきません。
適切な報酬額を決定するには、非常勤役員の役割と責任の明確化、専門性の評価、時間的コミットメントの考慮、市場相場の確認など、多角的な視点が必要です。加えて、企業規模や業績も考慮に入れなければなりません。
重要なのは、報酬が不相当に高額にならないよう注意することです。不相当に高額な報酬を設定してしまうと、役員報酬として認められない可能性があり、ステークホルダーからの信頼性や健全なコーポレートガバナンスの観点からもマイナスになるおそれがあります。
報酬の決定プロセスには透明性が求められ、多くの場合、株主総会での決議が必要となります。株主総会の議事録を作成し、適切に保管することは法的に義務付けられていますので、手続きを守りつつ、適切な報酬額を設定しましょう。
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