スタートアップ・ベンチャー企業のステージごとに必要な登記申請を解説

商業登記の基礎知識
スタートアップ・ベンチャー企業のステージごとに必要な登記申請を解説

スタートアップやベンチャー企業といえば、明確な定義はないものの、リスクを取ってビジネスチャンスにリソースを投下し、ステークホルダーを増やしながら通常の企業ではなし得ない成長を短期間で成し遂げる、という認識を持たれることが多いでしょう。

また、スタートアップ企業というほどでなくても、社長が今までの経験から既存産業の中でチャンスを見出して独立するようなケースであれば規模は小さくとも高い成長率を実現することもあります。

どちらにしても大きな会社の成長を実現するには大きな意思決定を伴うことがあります。外部からの出資や社内外からの役員就任、サービスの認知向上に伴う商号変更、ストックオプション発行などがあげられます。これらには一見共通点がないように見えますが、実施の際にはどれも変更登記申請が必要ということはご存知でしょうか?

本記事では、成長志向の企業が新たな経営戦略の実行時に切っても切れない「登記申請」について、スタートアップ・ベンチャー企業が成長の各ステージで発生するイベントと合わせて紹介します。

ちなみに、スタートアップ企業の法務では法人登記が重要です

スタートアップやベンチャー企業というと、まだ規模が小さいこともあり法務などのバックオフィスへのリソース配分が十分でないこともあります。そんな中でも創業直後から避けては通れないのが登記関連の手続きです。

以下の画像は、【経験者に聞く】スタートアップバックオフィスの始め方、外せない3つのポイントとは?:法務編 から引用したものです。

法人登記関連は他の法務と比較すると、専門性の点からも社内のリソースだけでは対応が難しく、早い段階から外部の専門家や専門のサービスの活用が必要になるでしょう。逆にいうと、良い方法が見つかれば自分や社員のリソースを割かずに済むという点も押さえておきましょう。


創業時

まず最初に必要になる登記が「会社設立」です。一般的なスタートアップ企業は成長過程で新たな株主に出資してもらったりすることも多いので株式会社にするのが一般的ですが、最近は合同会社を設立するケースも増えています。

特にある領域で経験を持った社長が個人会社のような形態で独立する場合など、株式関連の施策や規模の拡大を想定していない場合は合同会社などの形態もありえるかもしれません。

とはいえ、スタートアップ企業として成長を志向する場合はほぼ株式会社になります。以下の記事では、株式会社を対象に発生する登記を紹介します。

創業直後

創業時にはまだオフィスがない場合、会社の本店住所を自宅で登記する場合もあるかもしれません。しかし、創業から少し経って社員を雇ったり、取引先との与信などの都合上、自宅ではないオフィスの住所を登記する必要が出てきます。

また、このタイミングで金融機関から融資を受ける場合にも、自宅以外の本店住所が必要になる場合もあります。

このような会社の住所移転に必要なのが「本店移転」の登記です。移転する先の住所が管轄内の法務局か、管轄外になるかによっても手続きは異なります。詳しくは以下の記事もご参考ください。

関連記事:本店移転の登記申請とは?書類の書き方、法務局での手続き、管轄内外まで解説

また、金融機関から融資を受けたり、特定業種の許認可や補助金申請の際には「目的変更」の登記が必要になる場合があります。

会社設立時に作成する定款(ていかん)という書類にはその会社の事業目的が記載されていますが、融資や許認可を得る目的の事業が定款に記載されているかが確認されます。設立時には記載していなかった事業を行っている場合は、目的変更の登記申請が必要になります。

関連記事:会社の目的変更とは?記載例や定款変更、登記申請の手続きを解説

事業が成長したら

サービスを展開する領域を決め、初期バージョンのプロダクトができたら、徐々にセールスやマーケティング活動を増やしていきます。とはいえこの段階では大規模なセールスチームを組織する前に、代表者がプロダクトのブラッシュアップのためのヒアリングを兼ねながら、徐々にセールスの再現性を確認するというフェーズでしょう。

会社によってタイミングは異なりますが、この頃になると外部からの資金調達を行うことがあります。株式会社であれば新しい株式を発行し、その株式を外部の人や会社、ベンチャーキャピタルなどに引き受けてもらう(出資金を払い込んでもらう)ことで新たな成長のための資金を調達します。このような出資方式は「第三者割当増資」といい、ここで必要になるのが「募集株式の発行(増資)」という登記です。

関連記事:第三者割当増資の登記申請ガイド〜基礎知識から必要書類、費用までを詳しく解説します

取締役会の設置に伴う役員変更

最初は社長が100%出資して設立した会社でも、外部からの出資を受ければ自分だけの会社ではなくなります。経営体制やガバナンスの強化のため、出資の条件として取締役会などの設置が要請されるケースもあります。このタイミングで必要なのが「取締役会設置など機関変更」の登記申請、および新たに役員が就任するための「役員変更」の登記です。

社内の幹部社員に役員就任してもらう場合もあれば、出資元やビジネス上のパートナー企業から社外取締役・社外監査役として就任してもらうこともあるでしょう。

関連記事:役員変更とは?法律上の定義や選任の注意点、登記申請手続きを解説

はじめてのストックオプション発行

このあたりでストックオプション(新株予約権)を発行する機会もあるかもしれません。(会社によってはもっと早い段階で発行することもあります)

ストックオプションは、将来のある時点であらかじめ決めた価格で株式を購入できる権利です。厳密には現物の株式(生株と呼んだりもします)とは異なりますが、潜在的な株式であるため、「ストックオプション発行」の登記が必要になります。

関連記事:はじめてのストックオプション発行ガイド。シードファイナンスでスタートアップが資金調達したら検討したいタスクや手順を解説

サービスの認知アップに伴い商号変更(社名変更)

設立当初は社名と提供するサービス名が異なることがよくあります。サービスを開始するときはどれがうまくいくかわからないですが、あるサービスが伸びることで社名よりも知名度が上がり、会社自体のPR効果や採用への影響を考えると社名とサービス名を統一するということはスタートアップ・ベンチャー領域ではよく起こります。

この社名変更は法律上は「商号変更」といい、登記申請が必要な手続きになります。

関連記事:株式会社の商号変更(社名変更)ガイド~基礎知識、必要手続き、必要書類等を徹底解説します~

代表取締役が引っ越す

この頃になると創業時に比較すると社長が結婚して家族ができたり、もっと大きい家に住むために引っ越しすることがあるかもしれません。もし社長がその会社の代表取締役であれば、住居の引っ越しに伴って発生するのが「代表取締役の住所変更」の登記です。

あまりご存知でないかもしれませんが、会社の登記簿には代表取締役の住所が記載されているため変更の際には登記申請が必要なのです。ちなみに代表取締役以外の役員は登記簿への住所記載はありません。

関連記事:代表取締役の住所変更登記ガイド。必要書類や登記申請方法を解説

一度目の役員任期を迎えて

この頃になると、当初に設定した役員任期を迎える機会があるかもしれません。任期を迎えれば役員は任期満了で退任するか、次の任期も引き続き役員を務めるか(重任)といった「役員変更」の登記が必要になります。任期中であっても何らかの理由で辞任する場合や、トラブルなどで役員を解任せざるをえなくなった場合も同様に登記申請が必要です。

関連記事:どんなときに役員変更が発生する?株式会社における役員変更の種類と理由

この先も登記申請の機会は続きます

以上、スタートアップ・ベンチャー企業において創業後に必要になる登記申請の例を紹介しました。

もちろん、発生する登記は会社によっても異なりますし、会社が存在する以上はなんらかの登記申請が必要になります。また会社が順調に成長すればM&AやIPOなどの機会もありますが、これらに伴って登記の機会も発生するでしょう。会社の経営における打ち手の背景ではさまざまな登記申請が必要になると知っておいていただければ幸いです。

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※役員の氏名変更・代表取締役の住所変更は5,000円(税別)、ストックオプションは30,000円(税別)です。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)

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