代表取締役と取締役の違いとは?権限・責任や選任方法を解説

商業登記の基礎知識
投稿日:2025.07.16
代表取締役と取締役の違いとは?権限・責任や選任方法を解説

「事業拡大のため役員を増やしたいが、代表取締役と取締役の違いがよくわからない」会社の成長に伴い役員体制を考える上で、この二つの役職の権限・責任・選任方法の違いを正確に理解することは重要なテーマです。

本記事では、おもにこれから役員体制の強化を考える若手経営者の皆様が押さえておくべきポイントを解説します。

両者とも「取締役」だが、会社を代表する権限の有無が違う

まず押さえるべき最も大きな違いは、「会社を代表する権限(代表権)」の有無です。そして、その前提として「代表取締役は、取締役の中から選ばれた特別な存在」であるとご理解ください。

取締役の権限と役割

取締役は、会社の業務執行に関する意思決定を行う機関の一員です。特に、3名以上の取締役で構成される「取締役会」を設置している会社では、その役割が明確になります。

取締役の主な役割は、取締役会に出席し、会社の重要事項について議決権を行使することです。取締役会の決議事項には、重要な財産の処分、多額の借財、内部統制システムの整備など、会社の経営方針や重要業務が定められています。

個々の取締役(代表取締役を除く)には、単独で会社を代表して契約を締結するような権限はありません。

代表取締役の権限と役割

一方、代表取締役は、取締役会の決議などに基づいて、対外的にも対内的にも会社を代表し、業務を執行する権限を持ちます。会社法では「株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」(第349条4項)と規定されます。

まさに会社の「顔」であり、その行動が直接会社の法的効果として帰属する、非常に強力な権限を持つのが代表取締役です。

「代表取締役」と「取締役」選任方法の違い

権限に違いがある両者は、選ばれるプロセスも異なります。

取締役の選任

取締役は、株主総会の普通決議によって選任されます(会社法第329条1項)。原則として議決権の過半数を有する株主が出席し、その過半数の賛成によって成立します。

代表取締役の選定

代表取締役は、まず取締役として選任された上でその中から選定されます。その方法は、会社の機関設計(特に取締役会の有無)によって異なります。

・取締役会設置会社の場合(原則)
 取締役の中から、取締役会の決議によって代表取締役を選定します(会社法第362条3項)。取締役
 たちが、自分たちの中から会社の代表者を選ぶ形です。

・取締役会を設置していない会社の場合
 以下のいずれかの方法で代表取締役を定めます。

  1. 定款で直接、特定の個人を代表取締役として定める。

  2. 定款の定めに基づき、株主総会の決議で選定する。

  3. 定款の定めに基づき、取締役の互選(取締役同士の話し合い)で定める。

会社法で定められる人数の違い

会社法では、取締役と代表取締役について、最低限必要な人数が定められています。

取締役の人数

取締役会を設置していない会社:原則として1名以上で足ります。
取締役会設置会社:3名以上の取締役が必須となります(会社法第331条5項)。

代表取締役の人数

株式会社では、必ず1名以上の代表取締役を置かなければなりません。取締役が1名しかいない会社では、その取締役が当然に代表取締役となります。

なお、代表取締役は複数名置くことも可能です。CEOとCOOがそれぞれ代表権を持つような体制です。これにより権限を分担できますが、対外的な混乱や内部の意思決定のブレを招くリスクもあります。

以下は権限や選任プロセスを対象にした両者の比較表です。

代表取締役

取締役

役割

会社の代表者、業務執行のトップ

取締役会の構成員、業務執行の意思決定

権限

会社を代表する権限(代表権)がある

原則として代表権はない

選ばれ方

取締役の中から取締役会などで選定

株主総会で選任

人数

必ず1名以上

1名以上(取締役会設置会社は3名以上)

責任の範囲の違い

取締役も代表取締役も、会社に対して重い責任を負いますが、権限の大きさに比例して、代表取締役が負う責任はより重くなります。

両者に共通する責任

取締役(代表取締役を含む)は、会社に対して以下の二つの基本的な義務を負います。

善管注意義務:経営者として通常期待されるレベルの注意を払って職務を行う義務。

忠実義務:法令や定款等を遵守し、会社のために忠実に職務を行う義務。

代表取締役の対外的な責任

上記の責任に加え、代表取締役は会社の「顔」として、より重い対外的な責任を問われる場面が多くなります。特に重要なのが、第三者に対する責任です(会社法第429条)。

この規定は、役員が職務を行うにあたって「悪意または重大な過失」があったために第三者に損害が生じた場合、その役員が直接、第三者に損害賠償責任を負うというものです。

代表取締役は業務執行全般を統括するため、例えば、粉飾決算を知りながら融資を受けるといった不正行為があった場合、その執行を主導した代表取締役は、取引先等の第三者から直接責任を追及されるリスクが他の取締役に比べて格段に高くなります。

「社長」がつくかどうかの違いは?

実務上よく混同される肩書・役職名ですが、結論から言うと、「社長」や「CEO(最高経営責任者)」といった肩書は、会社法上の役職ではありません。

これらはあくまで会社が内部的に定めた「職位」や「呼称」に過ぎません。法律上の権限と責任の根源は、あくまで「取締役」であるか、そして「代表取締役」として登記されているかどうかにあります。

会社の成長フェーズにおいて役員体制を構築する際は、単なる肩書きではなく、会社法上の権限と責任をどう設計するかがポイントです。誰が代表権を持ち、どのようなプロセスで会社の意思決定を行うのか。これら定款や議事録に適切に落とし込んでいく必要があります。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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