取締役会の書面決議とは?必要な条件と手順をわかりやすく解説

商業登記の基礎知識
投稿日:2025.05.09
取締役会の書面決議とは?必要な条件と手順をわかりやすく解説

取締役会は、取締役を招集して開催せずに、書面にて行う「書面決議」とすることも可能です。書面決議には、様々なメリットがある一方、条件を満たす必要があるなど、状況に応じた対応が求められます。


本記事では、取締役会の書面決議の法的根拠や条件、具体的な手順をわかりやすく解説します。提案書や同意書、議事録のひな形も紹介しますので、参考にしてください。


取締役会の書面決議とは

取締役会の書面決議とは、会議を開かずに取締役会の決議を成立させる方法です。。ここでは、取締役会の書面決議の概要とメリットについて確認します。

▼一般的な取締役会の開催時期や決議方法については、こちらの記事を参考にしてください。
https://corporate.ai-con.lawyer/articles/company-basic/2

取締役会の書面決議の概要

取締役会の書面決議とは、取締役が会議室等に集まらず、書面だけで取締役会の決議を成立させる方法です。会社法第370条に従い、取締役全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をすることで、取締役会の決議があったものとみなされます。

書面決議を利用するメリット

書面決議には、以下のようなメリットがあります。

  • 取締役が遠方にいる場合や多忙で集まれないときに便利


  • 緊急を要する案件に対して迅速な意思決定が可能


  • 会議室の手配や取締役の移動時間・交通費などのコスト削減


  • 感染症対策など非接触での決議が必要な場合に有効 など

取締役会の書面決議ができる条件

取締役会の書面決議は、以下の条件を満たすことで初めて適法な決議として認められます。

  • 取締役全員の同意があること


  • 監査役の異議がない事


  • 定款に書面決議の定めがあること


それぞれの条件について詳しく解説します。

取締役全員の同意があること

書面決議が有効となるには、「取締役全員の同意」が必要です。この取締役は、決議に参加できる全ての取締役を指しますが、特別の利害関係を有する取締役の同意は不要です。

監査役の異議がないこと

監査役会設置会社の場合に限り、「監査役全員が異議を述べていないこと」も条件となります。監査役が一人でも異議を述べた場合は、書面決議は成立しません。なお、以下のようなケースで、監査役は異議を唱える可能性があります。

  • 法令や定款に違反する恐れがある


  • 会社に不利益をもたらす可能性がある


定款に書面決議の定めがあること

書面決議を行うには、「定款に書面決議を認める規定」が必要です。

定款とは会社の基本ルールを定めた文書で、会社設立時に作成され、その後適宜変更されている場合があります。定款は社内の総務部門などで保管されています。定款に規定がない場合は、株主総会での決議による定款変更が必要です。

【ひな形あり】取締役会の書面決議の手順と進め方

取締役会の書面決議の手順と進め方について、各書類のテンプレートとともに解説します。

提案書を作成する

取締役会の書面決議では、まず提案書と、次に紹介する同意書を作成し、取締役や監査役などに送付します。提案内容を明確にし、同意の判断がしやすいようにまとめることが大切です。

提案書テンプレート

【取締役会決議事項提案書】

提案日:令和〇年〇月〇日

提案者:代表取締役 〇〇 〇〇

株式会社〇〇〇〇

取締役各位

下記の事項について、会社法第370条および当社定款第〇条の規定に基づき、取締役会の決議があったものとみなされる手続きにより、承認可決いただきたく提案いたします。

【議題】

第1号議案:「     」に関する件

【提案理由】

(議案の内容と提案理由を具体的に記載)

【決議事項】

(具体的な決議内容を記載)

【決議期限】

令和〇年〇月〇日

以上


取締役全員に確認・同意を得る


提案書とともに、同意書を作成します。書面による同意書のほか、電子メールでの回答や電子署名システムを利用した同意も有効です。すべての取締役からの同意が必要ですので、期限を設けて回答を促すとよいでしょう。

同意書テンプレート

【同意書】

令和〇年〇月〇日

株式会社〇〇〇〇

代表取締役 〇〇 〇〇 殿

私は、令和〇年〇月〇日付で提案された下記の議案について、会社法第370条および当社定款第〇条の規定に基づき、取締役会の決議があったものとみなされる手続きによることに同意するとともに、当該提案を承認します。

【議題】

第1号議案:「     」に関する件

取締役 〇〇 〇〇 印


同意書を受領し記録を残す

返送された同意書については、その原本を重要書類として保管します。電子データであれば社内の安全なサーバーに保存するなどします。

議事録を作成・保管する

議事録は、以下の内容を記載する必要があります。

  • 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容


  • 取締役会の決議があったものとみなされた事項の提案をした取締役の氏名


  • 取締役会の決議があったものとみなされた日


  • 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名


議事録テンプレート

取締役会議事録

株式会社〇〇〇〇(以下「当社」という)は、会社法第370条および当社定款第〇条の規定に基づき、取締役会の決議の目的である事項について、取締役全員が書面により同意の意思表示をし、監査役全員が異議を述べなかったので、下記のとおり取締役会の決議があったものとみなされたことを確認する。

1. 決議があったものとみなされた事項の内容

第1号議案:「     」に関する件

(決議内容を具体的に記載)

2. 提案者

当社代表取締役 〇〇 〇〇

3. 提案日

令和〇年〇月〇日

4. 決議があったものとみなされた日

令和〇年〇月〇日

5. 議事録作成に係る職務を行った取締役

代表取締役 〇〇 〇〇

以上、取締役会の決議があったものとみなされたことを明確にするため、本議事録を作成し、議事録作成に係る職務を行った取締役が記名押印する。

令和〇年〇月〇日

株式会社〇〇〇〇

代表取締役 〇〇 〇〇 印

取締役会の書面決議ができないケースと注意点

取締役会の書面決議には様々なメリットはありますが、無効になるケースや適さないケースがあります。

書面決議が無効になるケース

取締役会の書面決議が無効になるケースには、以下のようなものがあります。

  • 取締役の1人でも同意しない場合


  • 会社の定款に書面決議の規定がない場合


  • 監査役設置会社で、監査役が1人でも異議を述べた場合


  • 取締役会の決議事項でない場合 など


上記のようなケースでは、取締役会の書面決議は成立しません。条件を満たさないまま書面決議を進めた場合、後から決議の無効や決議の不存在を主張されるリスクもあるため、事前に要件を確認しておくことが重要です。

重要な議題は書面決議に適さない

次のような重要な議題については、書面決議ではなく通常の取締役会での審議が適切です。

  • 役員人事(代表取締役の選定・解職など)


  • 合併・買収(M&A)や重要な事業提携の承認


  • 多額の借入や社債発行などの資金調達 など


書面決議には、十分な議論や質疑応答ができないこと、少数意見が反映されにくいことなどのデメリットがあり、注意が必要です。会社経営に大きな影響を与える案件は、書面決議ではなく取締役全員を集めて、慎重な審議の場を設けてください。

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取締役会の書面決議はテンプレートで効率化しよう

取締役会の書面決議は、条件と手順を守ることで効率的な意思決定が可能です。この記事で紹介した提案書・同意書・議事録のテンプレートを活用すれば、手続きの正確性を担保しながら業務効率化を図れます。ただし、重要案件や十分な議論が必要な議題では、従来の対面式取締役会の開催が望ましい場合もあることに留意しましょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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