会社の目的変更とは?
会社ですから、営利目的で設立するのが当然ですが、会社設立時に作成される定款(ていかん)には具体的な事業目的が記載されています。例えば経営コンサルティング会社であれば以下になります。
目的の数や文字数に決まりはありませんが、通常は数個〜10個程度の目的が記載されることが多いようです。目的の記載において満たすべき要件もある程度決まっており、事業内容を変更したり新規事業を開始する際に変更や追加がされます。
目的変更の具体的な記載例や要件などについては、以下の記事もご参考ください。
関連記事:会社の目的変更とは?言葉の解説から定款・登記簿での記載例を紹介
目的変更が必要になる理由や目的
定款に記載される目的が間違っていたり、運営していない事業の目的が記載されているからといって罰則があるわけではありません。罰則はありませんが、あまりにも現実と異なる目的の記載になっていれば、取引先や金融機関からの信頼が得られないという可能性もあります。それをふまえると、目的変更がどんな目的でいつ必要になるのかがわかるでしょう。
「目的変更の登記が必要になるシーンを実例から紹介します」では、実際にあったニュースから企業の目的変更が発生する背景を4パターンに分類して紹介しています。
また、なかには、銀行や新たな取引先など外部から指摘されて目的変更が生じるケースもあります。これらは「株式会社(法人)の定款の目的変更が必要になるケースを解説します」で詳しく解説しています。
また、特に創業間もない企業では、金融機関やクレジットカードの審査、許認可や補助金の申請時に登記簿謄本に記載の目的をチェックされる場合があります。目的をどう記載しているかによって、これら審査の結果に影響する可能性があります。これらの注意点について、「融資や資金調達の際には登記している目的にも注意が必要です」にて詳しく解説しています。
当然、事業目的を適切に記載しておくことで得られるメリットもあります。上記の記事とあわせて、「会社の目的を適切に記載することで得られるメリット」もチェックしておくことをおすすめします。
目的変更に必要な手続き
目的変更は「最新の定款に記載されている目的を変更する」手続きです。会社設立時に作成した定款を一度も変更したことがなければそれを変更することになります。(そのため、目的変更することを「定款を変更する」と呼ぶこともあります。)
この定款は会社の基本的なルールを定めたもので記載される項目も会社法で定められています。変更する場合も誰かが独断で変更することはできず、株主総会での決議が必要な会社にとって重要な手続きになります。
定款の変更から、変更後に必要な登記申請までの流れを「目的変更時の定款の変更・登記申請方法を解説します」で詳しくまとめています。
目的変更をする上でもっとも重要な手続きが株主総会での決議です。前もって準備できるように必要なステップを確認しておきましょう。
関連記事:目的変更による定款の変更には株主総会の決議が必要です
目的変更では手続きだけでなく、どんな目的にするか検討したり記載内容を作成する作業も重要です。検討の段階からどんな準備が必要かについて「株式会社(法人)の目的変更に必要な準備から書類申請までをご紹介」で解説しています。
目的変更の登記申請の方法
目的変更の決定は株主総会の決議で行いますが、決議後に必ず必要なのが目的変更の登記申請です。
決議した目的変更を登記申請することで、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)に変更が反映され、履歴事項全部証明などの書類で閲覧できるようになります。登記申請方法について、詳しくは「会社の目的変更、定款変更だけでなく登記申請も必要なことはご存知でしょうか?」をご覧ください。
変更登記申請というと、法務局に書類を持参して提出、というイメージもありますが、郵送での申請はもちろん、自分で書類を準備することも十分可能です。以下の記事では司法書士に依頼したり、ゼロから書類を自作する以外の方法としてインターネットのサービスを使って申請する方法を紹介しています。
関連記事:法務局に行かずに自分で目的変更登記をする便利な方法とは?
目的変更の登記申請書の書き方
自分で目的変更の登記申請をするなら避けては通れないのが「申請書類の作成」です。
一般的には以下の書類を準備します。
準備が必要な書類について、記入例やテンプレートまで含めて「自分で目的変更登記申請をする為のテンプレートと記入例、必要書類を紹介します」で紹介していますので自分で書類を作成してみよう、という方はご覧ください。
さらに、変更登記申請書に記載すべき項目について「目的変更登記の登記すべき事項の書き方を解説します」で詳しく解説しています。自社における変更と照らし合わせてご参考ください。
目的変更の登記申請に必要な書類
変更登記申請書に加えて必要なのが各種の添付書類です。これは申請する登記によって必要な書類が異なり、目的変更では、株主総会議事録や株主リストが相当します。
「目的変更の登記申請に必要な添付書類を解説します」で必要な書類を解説しています。目的変更は他の登記に比べると用意すべき書類が少ないですが、記載内容や押印などに不備がないようしっかり確認しておきましょう。
特に重要な株主総会議事録については「会社の目的変更の株主総会議事録の書き方」でも解説していますのでご参考ください。
目的変更の登記申請にかかる費用
目的変更だけに限らないですが、登記申請するのにかかる費用はこの3つで構成されます。
- 申請のための書類を準備する作業
- 登記種類ごとに定められている登録免許税納付のための収入印紙代
- 法務局など登記所に申請するまでの交通費や郵送費
上記のうち、費用に影響が大きいのが1をどの方法でやるか、です。
代表的なのが「司法書士に依頼する」「自分で書類を作成して申請する」の2つです。自分でやればもちろん無料ですが、作成の難易度も高く誰にでもおすすめできるわけではありません。まずは司法書士に依頼する場合どのくらいの費用がかかるか「目的変更登記にかかる費用(司法書士への報酬や料金)はいくら?」で確認してみましょう。
また、目的変更の登記申請に必要な登録免許税の金額についても以下の記事で紹介しています。
関連記事:目的変更登記に必要な登録免許税(収入印紙)を解説します
目的変更や、変更後に登記申請をしないことによる影響
目的変更は、他の登記事項(例えば、本店移転による住所変更)と比べると登記申請するタイミングが明確でない場合があります。
もちろん株主総会で目的変更の決議をしていれば2週間以内に登記申請する必要がありますが、そもそもの目的変更をすべきかどうかの点で、本来は変更登記を申請すべきなのが先延ばしになったり失念してしまう可能性が高いともいえます。
関連記事:目的変更登記を怠った場合のリスクと登記懈怠による過料について解説します
もちろんその瞬間は特に影響がなくても、長い目でみれば悪影響がでる場合があります。目的変更をしなかった場合のリスクは前もって想像しづらいですが、「目的変更の登記申請をしないとどうなる?問題やリスクを解説します」を読むことでイメージしやすくなるかもしれません。
また、目的変更をすべきかどうか判断がつかないケースもあるでしょう。厳密な判断は難しいですが、「定款・登記簿の事業目的に違反したらどうなる?記載例から罰則、デメリットと合わせて解説します」にて目的の記載例などと合わせて紹介していますので参考にしてみてください。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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