みなさんは商業登記の登録免許税を安くする方法をご存知ですか。
商業登記の場合、1つ1つ単独で申請するよりも、一括申請したほうが安い場合があります。
本記事では、商業登記の登録免許税を安くする方法をご紹介します。
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「登録免許税法別表第一 二十四」の「ツ」に該当する登記は一括申請しましょう
商業登記の登録免許税は、「登録免許税法別表第一 二十四 会社又は外国会社の商業登記」で定められています。リンク先の該当部分は「会社又は外国会社の商業登記」で検索するとご覧いただけます。今回は「別表第一 二十四(一)」についてご説明します。
「別表第一 二十四(一)」では、イロハ順に「イ」から「ナ」まで登記の種類ごとに税率を規定しています。ざっとご覧いただくと「ツ」の事項が「イからソまでに掲げるものを除く。」という規定になっていることがわかります。
これはどういうことかというと、他で規定している事項以外は何をどれだけやっても3万円ということです。「ツ」に該当する事項としては以下のものがあります。
- 商号の変更
- 目的の変更
- 公告をする方法の変更
- 発行可能株式総数の変更
- 株券を発行する旨の定めの設定・廃止
- 株式の譲渡制限に関する規定の設定・変更・廃止
- 株式の併合・分割・無償割当て・消却
- 単元株式数の設定・変更・廃止
- 資本金の額の減少
- 新株予約権の消却・消滅・放棄・行使期間満了
- 監査役設置会社の定め設定・廃止
- 会計参与設置会社の定め設定・廃止
- 会計監査人設置会社の定め設定・廃止
- 吸収分割会社の変更登記
- 新設分割会社の変更登記
これらすべての登記を一括で申請する場合の登録免許税は3万円です。単独で申請しても3万円なので、できるだけまとめて登記したほうが経済的だといえるでしょう。
たとえば、事例にすると以下のとおりです。
(事例1)
2022年2月22日付 商号の変更・目的の変更・公告方法の変更
2022年2月24日付 株券を発行する旨の定め廃止
2022年2月25日付 発行可能株式総数の変更・株式の分割・単元株式数の設定
2022年2月28日付 資本金の額の減少
2022年3月01日付 一括登記申請(登録免許税3万円)
日付が異なっていても一括で登記申請できます。なお、日付が異なる登記を一括申請する場合は、時系列に注意しないと矛盾が生じて登記申請が通らない可能性があります。
たとえば、2022年2月22日付で株式会社Aから株式会社Bに商号変更したのに、2022年2月24日付の書類が株式会社Aのままになっている場合は登記申請が通りません。
また、日付が同じ場合でも、1つ1つ登記申請をすることもできます。この場合は、それぞれ登録免許税がかかるので経済的とはいえません。
(事例2)
2022年2月22日付 商号変更・目的変更
2022年2月24日付 登記申請(商号変更分・登録免許税3万円)
2022年3月01日付 登記申請(目的変更分・登録免許税3万円)
「登録免許税法別表第一 二十四」の「カ」に該当する登記も一括申請しましょう
「ツ」のほかにも一括申請すると経済的な事項があります。「カ」です。
「カ」には、いろいろな役職に関する事項の変更登記が規定されています。「カ」に関する事項であれば「誰が」「いつ」「どんな理由で」「何人」変わっても登録免許税は同じなので、こちらも一括申請したほうが経済的です。
今回は「カ」の登記をざっくりと「株式会社の役員変更登記」と定義してご説明します。
次の事例をご覧ください。
(事例3)
2022年2月22日付 代表取締役Aの住所変更
2022年2月24日付 取締役Bの辞任
2022年2月25日付 監査役Cの氏名変更
2022年2月28日付 代表取締役Aの重任、取締役Dの退任、取締役Eの就任
2022年3月01日付 一括登記申請(登録免許税1万円または3万円)
こちらも「ツ」と同様に日付が異なっても一括申請できますし、日付が同じでも1つ1つ登記申請することができます。時系列に注意しなければならない点も「ツ」と同様です。
なお、株式会社の役員変更登記の登録免許税は、資本金の額が1億円以下の場合は1万円、1億円を超える場合は3万円という区別があります。
商業登記は申請する区分をまとめることで登録免許税を節約できる場合がある
今回は商業登記の登録免許税を安くする方法をご紹介しました。「カ」と「ツ」を一括申請するなど、別々の区分の登記をまとめて申請することもできますので、できるだけ一括申請をして登記にかかる時間を節約しましょう。
なお、別々の区分の登記をまとめて申請しても登録免許税が安くなるわけではないので注意しましょう。
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