有限会社と株式会社の違い

商業登記の基礎知識
投稿日:2024.09.09
有限会社と株式会社の違いを解説

長らく、日本の代表的な企業形態は株式会社と有限会社でしたが、2006年の会社法施行以降、これら形態違いや、既存の有限会社を株式会社に変更すべきかどうか悩んでいる起業家や経営者も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、有限会社と株式会社それぞれの特徴、おもな違い、株式会社へ変更するにあたってふまえておくべき注意点について解説します。

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株式会社と有限会社それぞれの特徴

有限会社と株式会社には、設立要件や運営方法に違いがあります。それぞれの特徴を詳しく解説します。

株式会社の特徴

株式会社は日本で最も一般的な会社形態のひとつです。その最大の特徴は、株式発行による柔軟な資金調達が可能な点です。多数の出資者や純粋な投資目的の株主にも対応でき、将来的な株式上場も視野に入れることができます。

制度上、株主(所有者)と経営者が分離していますが、中小企業では実質的に同一人物が両方の役割を担うこともよくあります。以前は株式会社を設立するためには、最低資本金として1,000万円を必要としていました。これが、2006年5月1日の会社法施行により撤廃され、現在では資本金1円でも株式会社を設立できるようになり、設立のハードルが大きく下がっています。

また株式会社の役員について、取締役会を設置する場合は3名以上の取締役が必要ですが、非公開会社では取締役1名でも可能です。起業家や小規模事業者にとって株式会社形態がより身近になり、ベンチャー企業の立ち上げや個人事業主の法人成りがしやすくなっています。

このような変更は株式会社と有限会社との差異を縮小させ、結果として有限会社制度廃止の一因にもなっています。

有限会社の特徴

2006年の会社法以降、従来の有限会社を新規設立することはできません。それまでの有限会社は「特例有限会社」となり、引き続き「有限会社」の名称を使うことが認められています。特例有限会社は株式会社の一類型として扱われています。

2006年以前は、資本金が300万円以上で、役員人数も最低1名いればよいなど、株式会社よりも設立のハードルが低く、家族経営など中小企業の対象となっていました。現在では、特例有限会社として存続する会社はこの形態を維持できます。

有限会社は、最も新しくても設立20年の社歴があるため、歴史のある会社というイメージを持たれやすいというメリットもあります。

有限会社と株式会社の違い

2006年の会社法施行以降、有限会社と株式会社の間にはいくつかの重要な違いあります。そのおもな違いを解説します。

有限会社は新規設立ができない

2006年の会社法施行以降、有限会社の新規設立はできなくなりました。これは有限会社と株式会社の最も大きな違いのひとつです。既存の有限会社は特例有限会社として存続することしかできません。一度、有限会社から株式会社に変更すると、再び有限会社に戻すことはできませんので、株式会社に変更する場合は慎重に検討する必要があります。

有限会社から株式会社への変更は、商号変更という形で行われます。この過程では、定款の変更、株主総会での決議、登記申請などの手続きが必要となります。変更後は「株式会社」という商号を使用することになりますが、企業の実態や事業内容は基本的に変わりません。

かつては有限会社の設立費用が株式会社より安かったことも特徴のひとつでしたが、新規設立ができなくなった現在では、この点は関係なくなりました。

有限会社は上場できない

有限会社は、株式市場への上場ができません。2006年の会社法施行後、特例有限会社となった現在でもこの点は変わっていません。

一方、株式会社であれば上場可能です。急成長を目指す企業や大規模な資金調達を計画している企業にとって、この違いは重要です。有限会社が上場を目指す場合は、まず株式会社への組織変更が必要になります。この過程では、定款の変更や登記手続きなど、さまざまな手続きが必要となります。

このように、上場可能かどうかという点は、有限会社と株式会社の大きな違いのひとつであり、会社の将来的な成長戦略に影響する要素といえます。

資本金や役員数の規定が異なっていた

有限会社と株式会社の間には、会社法以前は資本金や役員数の規定に大きな違いがありました。

有限会社の場合、最低資本金は300万円で、取締役は1名以上いればよいとされていました。一方、株式会社の最低資本金は1,000万円で、取締役は3名以上必要でした。この違いにより、有限会社は小規模事業や家族経営に適していると考えられていました。

公告義務についても違いがありました。株式会社は決算公告が義務付けられていましたが、有限会社にはその義務がありませんでした。また、役員の任期も異なり、有限会社の取締役は任期の定めがない一方で、株式会社の取締役の任期は原則2年と定められていました。

しかし、2006年の会社法施行以降、資本金、役員数の条件が変わり、有限会社と株式会社の違いが少なくなりました。株式会社の最低資本金規制が撤廃され、1円でも設立可能になり、非公開会社であれば取締役1名でも設立できるようになりました。

有限会社は新設できなくなりましたが、既存の有限会社(特例有限会社)は従来の特徴を維持できます。一方で、新設される株式会社のハードルが下がり、以前の有限会社に近い形で設立・運営することが可能となっています。

決議要件が異なる

特例有限会社は法律上、株式会社の一種として位置づけられていますが、株主総会の決議に関しては、通常の株式会社とは異なる要件が設けられています。

たとえば、特例有限会社で定款変更を行う場合、総株主の半数以上でかつ、総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。これは、通常の株式会社が議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成で決議できる点と大きく異なります。

多くの投資家や提携先企業は、株式会社形態を好む傾向があり、外部からの出資や資本業務提携を検討する際にも、有限会社という形態が障害となる可能性があります。

このような状況下で大規模な資金調達や業務提携を進めたい場合、特例有限会社から株式会社への商号変更を検討する必要が出てくることがあります。ただし、商号変更には手続きや費用が発生し、また一度変更すると有限会社に戻ることができない点に留意する必要があります。

登記事項証明書における役員の住所表記

有限会社と株式会社では、登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)に記載される役員情報についての違いもあります。

有限会社の場合、登記事項証明書にはすべての役員(取締役)の氏名と住所が記載されます。一方、株式会社の登記事項証明書では、代表取締役の氏名と住所のみが記載されます。ほかの取締役については氏名のみの記載となり、住所は記載されません。

また、有限会社では役員の人数によっては代表取締役と登記されない場合があります。具体的には、次のようなケースが考えられます。

1.取締役が1名の場合:その1名が自動的に会社を代表する権限を持ちますが、「代表取締役」という肩書きでは登記されません。 

2.取締役が2名以上の場合:各取締役が会社を代表する権限を持つ「代表取締役」となるか、もしくは特定の取締役を代表取締役に選任するか、定款や株主総会で定めることができます。全員が代表権を持つ場合、「代表取締役」という肩書きでは登記されません。

これに対し、株式会社では必ず代表取締役が登記されます。

有限会社と株式会社、どっちがいい?

会社の目標や経営方針によって、有限会社と株式会社のどちらが適しているかが変わってきます。現在の特例有限会社が株式会社に商号変更することを前提にそれぞれの利点を比較します。

今の体制で着実に経営するなら有限会社のまま

特例有限会社として存続している企業にとって、現状を維持することには多くのメリットがあります。現在の経営体制や株主構成を大きく変えず、着実に事業を展開していきたい場合は、有限会社のままでいることが望ましい選択肢となります。

有限会社は、大規模な資金調達や株主構成の変更を予定していない企業に適しています。株式会社と比べて、登記申請や決算公告などの管理コストが抑えられるため、経営の効率化にもつながります。また、有限会社の歴史をひとつの指標として、取引先や顧客に対して一定の信頼感を与えることができます。税制面や法的手続きにおいても、有限会社であることによる不利益はなく、株式会社とほぼ同等の扱いを受けられます。

一度株式会社に変更してしまうと、再び有限会社に戻すことはできないため、有限会社のメリットを享受できなくなってしまうので注意が必要です。

ステークホルダーを増やして会社を成長させたいなら株式会社

会社の急成長や大規模な事業展開を目指す場合、株式会社形態がより適しています。

株式会社であれば、資本提携やベンチャーキャピタルからの出資を受けやすくなります。株式の発行や譲渡が比較的容易で、将来的にM&Aや株式上場を視野に入れることも可能です。株主などのステークホルダーが増減することを想定している場合、株式会社のほうが柔軟に対応でき、金融機関や大手取引先から見た信用度は、一般的に株式会社のほうが高いとされています。特に財務面での信頼性が求められる場合、株式会社形態が有利に働くことがあります。

また、BtoC事業などで一般の消費者への認知も重要になる場合、特に若い世代にとって聞き慣れない有限会社という名称はデメリットになってしまう可能性があります。

スタートアップ企業など、急成長を目指す会社には株式会社形態が向いているといえるでしょう。株式会社には管理面でのコストが増えるというデメリットはありますが、急成長や大規模な事業展開を目指す場合、株式会社形態のメリットのほうが大きいと判断されることが多いでしょう。

企業形態の違いを理解し、企業にふさわしい選択を

企業形態の選択は、会社の現状と将来の展望を慎重に検討したうえで判断すべきです。一度株式会社に移行すると有限会社に戻れないため、長期的な視点での決定が重要です。どちらの形態を選んでも、それぞれのメリットを最大限に活かし、デメリットに対応する戦略を立てることが、今後の成功につながるでしょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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