代表取締役の役割と権限:会社経営者が知るべき法的基礎知識

商業登記の基礎知識
投稿日:2025.07.16
代表取締役の役割と権限:会社経営者が知るべき法的基礎知識

経営者として事業の成長を目指すにあたり、代表取締役の「権限」と「責任」を正しく理解することは、会社を成長軌道に乗せ、同時に自分を不要なリスクから守るための不可欠な知識です。

本記事では、新たに経営者となった方向けに、知っておくべき法律上の役割について解説します。

取締役および代表取締役の義務

まず、最も重要な前提として、会社の取締役と会社との関係は、従業員のような「雇用契約」ではなく、「委任契約」に基づいています。株主から会社の経営を任されている、という立場であり、取締役には主に二つの重い義務が課せられています。

善管注意義務

「善良な管理者の注意義務」の略で、取締役がその地位や職務内容に応じて、客観的に見て通常期待されるレベルの注意を払って業務を行う義務を指します。これは「常に経営判断を成功させろ」という意味ではありません。判断の時点で、情報を収集・分析し、合理的なプロセスを経て誠実に意思決定を行ったかどうかが問われます。万が一、この義務に違反して会社に損害を与えた場合、会社や株主から損害賠償を請求される可能性があります。

忠実義務

善管注意義務をさらに具体的にしたもので、取締役は自己や第三者の利益のためではなく、常に会社の利益を最大化するために行動しなければならない、という義務です。会社の犠牲のもとに個人的な利益を追求することは固く禁じられています。

これらの義務は、会社の所有者である株主の利益を守るための大原則です。経営判断が常に訴訟リスクと隣り合わせであることを認識し、一つひとつの意思決定を慎重に行う姿勢が求められます。

代表取締役の役割と権限

取締役の中でも、代表取締役は会社を代表する特別な権限を持つ役職です。よく混同されがちな「社長」という肩書との違いから見ていきましょう。

社長:あくまで社内的な役職名であり、法律上の定めはありません。会社の最高責任者としての呼称です。

代表取締役:会社法に定められた役職であり、会社の代表として法律行為を行う権限(代表権)を持つ者です。

「代表取締役社長」としてこの2つを兼任することも多いですが、法的な意味合いは「代表取締役」にあることを理解しておきましょう。

代表取締役は、他の取締役が持つ「業務執行権」に加えて、強力な「代表権」などの権限を持ちます。以下で詳しく紹介します。

代表権
会社の「顔」として、対外的に会社を代表して法律行為を行う権限です。代表取締役が署名・捺印した契約は、会社が結んだ契約として法的な効力を持ちます。具体的には、重要な契約の締結、資金の借入れ、手形の振り出しなどが含まれます。代表取締役の行為は、会社の行為そのものと見なされるため、その権限は絶大です。

業務執行権
会社の日常業務を遂行する権限です。これは他の取締役も持ちますが、代表取締役は取締役会の決定に基づき、業務執行のトップとして全体を統括する役割を担います。

意思決定権
代表取締役は、多くの場合、取締役会の議長を務めます。取締役会は会社の重要な業務執行を決定する機関であり、代表取締役はそこで議論を主導し、会社の進むべき方向を決定する上で中心的な役割を果たします。

裁判上の行為
会社が訴訟の当事者(原告または被告)となった場合、会社を代表して裁判手続を行う権限も持ちます。

このように、代表取締役は社内業務の執行を監督し、対外的には会社を代表する存在なのです。

会社経営者が知っておくべき法的知識

強い権限の裏返しとして、代表取締役には厳しい責任が伴います。ここでは、未然にリスクを防ぐために特に注意すべき法的知識を5つ紹介します。それぞれ専門家レベルに理解することは難しいですが、何がポイントになるかは把握しておきましょう。

①利益相反取引の制限

忠実義務とも関連しますが、代表取締役が自分自身や近親者の利益のために会社と取引を行うことを「利益相反取引」と言います。例えば、代表取締役が個人的に所有する不動産を会社に売却するようなケースです。 こうした取引は、会社の利益が不当に害される危険があるため、原則として株主総会または取締役会の承認を得なければなりません。この承認を得ずに行った取引は、後から無効を主張されたり、会社に与えた損害を賠償する責任を問われたりする可能性があります。

②第三者に対する責任

代表取締役が、その職務を行うにあたり、悪意または重大な過失によって取引先や顧客などの第三者に損害を与えた場合、会社だけでなく、代表取締役個人もその損害を賠償する責任を負うことがあります。例えば、返済能力がないことを知りながら巨額の借入れを行って会社を倒産させ、取引先に損害を与えた場合などが該当します。

③競業避止義務

取締役が、会社の事業と同じカテゴリーに属する取引を、自己または第三者のために行うことを禁止する義務です。「会社の取締役を務めながら、同じ事業内容の個人事業や別会社を立ち上げる」といったケースがこれに該当します。会社の事業機会やノウハウ、顧客情報が不当に奪われることを防ぐための規定です。

④労務関連法規

従業員を一人でも雇用すれば、労働基準法をはじめとする様々な法律の規制対象となります。特に、長時間労働や残業代の未払い、ハラスメント、解雇などはトラブルが頻発する領域です。

⑤下請法(下請代金支払遅延等防止法)

製造委託や情報成果物作成委託などを行う場合に適用される法律です。優越的な立場にある親事業者が、下請事業者に対して不当な要求をすることを禁じています。

代表取締役の役割と権限を正しく理解して会社経営に活かしましょう

代表取締役の権限は、事業を推進する強力な武器にもなればリスクにもなり得るものです。

善管注意義務や忠実義務といった行動規範を理解し、どの行為が会社の代表としての行為にあたるのかを把握すること。また、利益相反取引のような明確なルールを遵守することにより、不要なトラブルから守るだけでなく、戦略的な経営判断を行う上でも下支えになることでしょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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