発行可能株式総数とは?変更方法や数によるメリット・デメリットを解説

商業登記の基礎知識
投稿日:2025.06.10
発行可能株式総数とは?変更方法や数によるメリット・デメリットを解説

会社の経営において、資金調達や株式の活用は避けて通れないテーマです。そこで必ず関わってくるのが「発行可能株式総数」です。これは将来の経営の自由度を左右することもある重要な数字なのはご存知でしょうか?

本記事では、増資や株式分割を検討している中小企業の経営者向けに、発行可能株式総数の基礎知識から、決め方・変更方法、そして多すぎたり少なすぎたりする場合のメリット・デメリットを解説します。

発行可能株式総数とは?

発行可能株式総数とは、その株式会社が将来にわたって発行することができる株式の数の上限(枠)のことです。会社は、この枠の範囲内であれば、取締役会の決議など、会社法で定められた手続きを経ることで、新たに株式を発行して資金を調達することができます。

例えば、発行可能株式総数が1,000株の会社で、現在までに300株を発行している場合、残りの700株を将来的に発行できるということになります。

発行可能株式総数を把握しておく理由

会社が成長するためには、新たな事業への投資や設備投資など、さまざまな場面で資金が必要になります。その際、銀行融資だけでなく、新株を発行して資金を調達する「増資」も有効な手段です。発行可能株式総数が十分に設定されていれば、必要なタイミングでスムーズに増資手続きを進めることができます。逆に、この枠が少ないと、増資の前にまず発行可能株式総数を増やすための定款変更手続きが必要となり、時間と手間がかかってしまいます。

また、株式分割(1株を複数株に分けること)やストックオプションとしての新株予約権の行使に際しても、分割や権利行使後の株式数が発行可能株式総数の範囲内である必要があります。ただし、株式分割に伴う発行可能株式総数の増加は、株式分割の比率の範囲内であれば、取締役会で定款変更手続きが可能です。

GVA 法人登記では発行可能株式数の変更が可能

GVA 法人登記では、発行可能株式数のみの変更には対応していませんが、株式分割登記や増資(募集株式の発行)登記に必要な書類を作成する際に、発行可能株式数を併せて変更することができます。株式分割や増資をする際には、ぜひご利用をご検討ください。

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発行可能株式総数の決め方

発行可能株式総数は、いつ、どのように決めるのでしょうか。

会社設立時に作成する定款内に記載される

発行可能株式総数は、会社設立時に必ず定款に記載しなければならない絶対的記載事項の一つです。

定款には、「当会社が発行することができる株式の総数は、〇〇株とする。」といった形で具体的な株数を記載します。設立時に実際に発行する株式数(発行済株式数)も考慮しつつ、将来の事業展開を見据えた数を設定することになります。

設立当初は将来の予測が難しいかもしれませんが、少なくとも数年程度の事業計画や、それに伴う資金調達の可能性を考慮して発行可能株式総数を設定しましょう。

一概に「何株が適切」と言えるものではありません。将来の資金調達の規模や頻度、株式分割の可能性などを総合的に勘案して決定します。例えば、ITベンチャーのように急成長を目指し、複数回の資金調達が予想される場合は、設立時からある程度大きな枠を設定しておくことも考えられます。

参考:発行可能株式総数の4倍ルールとは?

公開会社(その発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社)では、発行可能株式総数が発行済株式の総数の4倍を超えてはならないというルールがあり、「4倍ルール」とも呼ばれています。公開会社では取締役会の決議で株式を発行できるため、発行可能株式総数を上限なく定めることができないようになっているのです。

なお、非公開会社においてはこのルールは対象外となります。

会社設立後に発行可能株式総数を変更する背景とメリット

会社設立時に設定した発行可能株式総数も、会社の成長や状況の変化に応じて見直しが必要になることがあります。以下のような場合に、発行可能株式総数の変更が必要です。

増資(第三者割当増資、株主割当増資)による資金調達

最も一般的なのは、増資によって新たな資金を調達するケースです。発行済株式数が発行可能株式総数に近づいてきた、あるいは超えてしまうような規模の増資を行うためには、まず発行可能株式総数の枠を広げる必要があります。

株式分割による投資単位の引き下げや流動性向上

株価が上昇し、1単元あたりの投資金額が高額になると、個人投資家などが投資しにくくなります。株式分割を行って1株を複数に分けることで、1株あたりの価格を下げ、株式の流動性を高めることができます。この際も、分割後の総株式数が発行可能株式総数を超えないようにする必要があります。

役職員へのインセンティブとしてのストックオプション発行

ストックオプションを発行し、将来権利が行使された際に新たに株式を発行する必要がある場合、そのための株式数を確保しておく必要があります。

発行可能株式総数の変更手続き

実際に発行可能株式総数を変更するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。発行可能株式総数を変更するには、定款の変更が必要であり、そのためには原則として株主総会の決議が必要です。

株主総会の特別決議

発行可能株式総数の変更は、定款変更にあたるため、株主総会の特別決議が必要です。特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の多数をもって行われる決議です。

株主に対しては、変更の必要性や変更後の発行可能株式総数などを十分に説明し、理解を得ることが重要です。

法務局への登記申請

発行可能株式総数は登記事項であるため、変更した日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局に変更登記を申請する必要があります。

主な必要書類は以下の通りです。

  • 株式会社変更登記申請書


  • 株主総会議事録


  • 株主リスト


  • (代理人に依頼する場合)委任状


登記を怠ると過料の支払いを受ける可能性もあるため、速やかに手続きを行いましょう。

発行可能株式総数が多すぎる・少なすぎる場合のデメリット

発行可能株式総数は、多すぎても少なすぎてもデメリットが生じる可能性があります。

多すぎる場合の潜在的デメリットと注意点

発行可能株式総数があまりにも多すぎると、将来的に大規模な増資が行われ、既存株主の持株比率が大幅に低下する(希薄化する)のではないかという懸念を株主に与える可能性があります。

もっとも、非公開会社の場合は、増資(募集株式の発行)に株主総会の特別決議が必要となることから、意図せず既存株主の持株比率が大幅に低下する(希薄化する)ことは考えにくいでしょう。

少なすぎる場合のデメリット

発行可能株式総数が少なすぎる場合、急な資金調達が必要になった際に、発行可能株式総数の変更が必要になります。

もっとも、こちらも非公開会社については、いずれにしろ株主総会の開催は必要になりますので、大きなデメリットではありません。

ただし、都度、発行可能株式総数を変更すると、その度に登記申請が必要になりますので手間やコストが発生することには注意が必要です。

不安な場合は司法書士や弁護士に相談も検討しましょう

発行可能株式総数の設定や変更は、会社法や登記手続きが絡む専門的な分野です。特に、自社にとって最適な株数が分からない、定款変更や登記手続きに不安があるという場合は、会社法務に詳しい司法書士や弁護士など法律の専門家への相談もご検討ください。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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