起業して会社設立するには、本店を管轄する法務局で「設立登記」を申請しなければなりません。これは、個人が生まれた後で市区町村役場に「出生届」を提出することに似ています。
また、会社の役員が変わったり、本店が移転したりした場合にも、法務局で「変更登記」をしなければなりません。これも個人が引越しするときの転居届、転出届や転入届に似ています。
出生届や転入届は無料ですが、設立登記、変更登記には、費用や手数料がかかります。本記事では、法人登記に必要な費用や手数料について、ご説明します。
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法人登記とは?
現在、設立することができる会社は、大きく分けて株式会社、合同会社、合名会社および合資会社の4種類です。
本記事では、一般的な「株式会社」の登記について説明いたします。なお、本記事では「法人」を「会社」と同義で使用いたします。
冒頭でも説明したように、開業して法人を設立した際には、個人の「出生届」と同じように必ず法務局で「設立登記」をしなければなりません。法人は、この手続きを行って初めて成立することになります。
また、商号(会社名)、役員、本店、目的(事業内容)、資本金などが変わった場合には、法務局で「変更登記」を行うことで登記簿謄本に変更が反映されます。この手続きを怠ると、過料の支払いが科されることがあります。
本記事では「法人登記」を「設立登記」と「変更登記」を合わせた名称と定義します。
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設立登記に必要な費用、手数料とは?
設立登記に必要な費用、手数料には、大きく分けて3つあります。
1.資本金
資本金とは、法人を設立する時の元手として発起人が出資した資金です。会社法では、資本金1円でも会社を設立することできますが、事業開始時点の運転資金などにもなりますので、できれば一定の額は準備したいところです。
2.法定費用
法定費用とは、文字どおり法律で決められた費用のことで、たとえば設立登記の際に必要な登録免許税がこれに該当します。
登録免許税は、「資本金の額×0.7%」です。仮に「3,000万円」の資本金で法人を設立しようとする場合、登録免許税は「3,000万円×0.7%=21万円」となります。「資本金の額×0.7%」が15万円未満になる場合には、登録免許税は15万円になります。
また、設立登記の前には、商号(会社名)や本店、目的(事業内容)などを記載した「定款」を作成し、公証役場で認証を受けなければなりません。この認証を受ける際に、印紙代、認証手数料、謄本証明書などの代金が約10万円必要です(書面での作成か電磁的記録で記録かで費用は異なります。)。
3.その他の費用
その他の費用とは、法人印鑑の作成費、個人の印鑑証明書の取得費などです。また、定款の作成・認証や設立登記を司法書士に依頼する場合には、報酬が必要です。報酬額は、司法書士によって異なりますので、ホームページなどで調べて依頼しましょう。
設立登記の注意点とは?
設立登記は、司法書士に依頼せず、自分で全て行っても、25万円程度の金額がかかります。
自分で全て手続きを行うには、ハードルが高く、手間と時間もかかります。定款の作成や設立登記には、専門知識が必要だからです。
また、定款の認証は公証役場、設立登記は法務局で行う必要があります。公証役場も法務局も平日昼間しか開いていませんので、忙しい経営者は専門家に任せるしかありません。
専門家に任せたいけどできるだけ費用を抑えたいという方は、自分ができる作業は自分でやって、専門的なことは専門家に任せるという方法があります。もしくは登記申請の代行に関わらない、設立直後の経営面や税金対策のアドバイスだけを税理士などに求めるのも有効でしょう。
たとえば、定款の作成は書籍やホームページの記載を参考に自分で作成し、その内容については、公証役場に連絡をして、公証人にチェックしてもらうというケースです。費用を最低に抑えられるメリットはありますが、事前の知識もある程度必要になります。
作成した定款は、メールやFAXで公証役場に送ることができ、内容についてのやり取りは電話でできます。その後の認証だけ司法書士にお願いすれば、費用を低く抑えることができる場合もあるかもしれません。
また、設立登記では、発起人会議事録、就任承諾書、設立時代表取締役選定決議書等といった書類も、書籍やホームページの記載を参考に作成すれば、司法書士に支払う報酬、手数料等を節約することができるかもしれません。
法人変更登記に必要な費用とは?
法人変更登記の登録免許税(収入印紙)の費用は、登記事項の種類によって異なります。これは登記申請時に必ずかかる税金で、申請方法を問わず同じ金額がかかります。
役員変更は1件につき3万円(資本金1億円以下の法人は1万円)、本店移転は1件につき3万円(管轄外への本店移転の場合は6万円)、事業目的の変更は1件につき3万円です。
また、登記申請書類の作成や添付書類の取得にかかる費用も必要となります。
また、変更登記を司法書士に依頼する場合には、登録免許税とは別に、報酬が必要になってきます。
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変更登記の注意点とは?
先述のとおり、変更登記は、原則として変更の日から2週間以内に、法務局で手続きをしなければなりません。もしこの期限を過ぎても登記申請していない場合には、法人の代表者に対して、100万円以下の過料が科される可能性があります。
変更登記で最も多いのは、役員変更登記です。株式会社では役員の任期は最長10年で、任期満了になれば、株主総会を開いて、役員の改選をしなければなりません。
同一人物が再び役員に選ばれても、変更登記をする必要があります。もちろん、任期の途中で役員が辞任した場合や臨時株主総会を開いて新たに役員を選任した場合も変更登記をしなければなりません。
なお、役員変更登記は、1人改選した場合も、5人改選した場合も一度の登記申請であれば1件と数えて、登録免許税が3万円(資本金1億円以下の法人は1万円)となります。
たとえば、Aさんが5月に辞任してその後任を選任し、次の月の6月に他の役員の任期が切れて改選した場合には、2か月続けて役員変更登記を行わなければなりません。そうなると、手間も費用かかります。
そこでこのような場合には、Aさんに役員改選の時期まで続けていただくようにお願いすれば、役員変更登記が1回で済み、費用も抑えられます。
また、変更登記の手続きを司法書士にお願いする場合でも、法人が作成できる書面(株主総会議事録、就任承諾書、辞任届)を作成すれば、司法書士に支払う報酬、手数料等を節約することができるかもしれません。
まとめ
法人登記には、最低限必要な法定費用があります。これは、専門家に任せても自分で行っても必要な費用です。
したがって、できるだけ費用を抑えて設立登記や変更登記をしたいと考えている方は、インターネット等で調べて手続きを行うことになります。
自分で登記を行うのが不安な場合は、専門家に依頼することになります。その際にも、自分で準備できる書類は自分で準備して、できるだけ専門家に支払う報酬が節約できないか確認しましょう。それぞれの方法のメリット・デメリット比較のために本記事をご参考ください。
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GVA 法人登記が対応している登記種類
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・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
・役員の住所変更
・募集株式の発行
・商号変更
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・印鑑届出書
・就任承諾書(役員就任・重任)
・辞任届(役員辞任)
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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