法人や株式会社における本店とは?
本記事では会社(法人)の本店移転について解説していますが、そもそも会社の「本店」とは何なのでしょうか?小売店や飲食店などでは〇〇本店、〇〇支店などと呼ぶことが多いですが、それ以外の業種ではあまり聞きなれない言葉です。
会社は一般的には「本社」「支社」と呼ぶことが多く、「〇〇会社本店」と表現することはあまり多くありません。それでは会社の移転をなぜ「本店移転」と呼ぶのでしょうか。
答えは会社の登記にあります。
会社設立には登記の申請が必要で、登記事項として会社の所在地があるのですが、その項目が「本店所在地」と呼びます。その結果、会社の移転=会社の所在地の変更=本店移転となります。
法人の本店移転とは何のこと?

一般的に会社の移転はオフィス移転や本社移転、住所変更などと呼ばれます。移転の際にプレスリリースを打つ会社が多いと思いますが、PR Timesなどのリリースサイトを見ると、記事タイトルには「本社移転のお知らせ」「オフィスの移転のお知らせ」と書かれていることが多いようです。
このような「本社移転」や「オフィス移転」のことを登記上では「本店移転」と呼びます。普段はあまり使わない言葉ですが、移転による登記変更の際には知っておかなければならない単語ですので、今後登記を担当する方は覚えておくと良いでしょう。
本店移転が会社にもたらす相乗効果とは
本店移転をする理由は様々ですが、一般的に多いのが事業拡大に伴う従業員の増加です。今の敷地よりも大きいフロア面積のオフィスに移転することが多いですが、本店移転には相乗効果があります。
先程もお話したプレスリリースに移転情報を掲載する理由は、「事業が順調に進み会社が成長している事をアピールする為です。本店移転は会社に色々な相乗効果をもらたします。社外に対して大きくアピールできる機会ですので、移転の際には必ずプレスリリースを打つことをお勧めします。
本店移転(オフィス移転)が会社にもたらすメリットとは?
本店移転の実行は、一番の目的としては会社の引越しになりますが、それに付随するメリットが多く見込めます。一番のメリットとしては、社外へ会社の成長をアピールできることです。
移転のリリースが社外の人の目に留まったときに、魅力的な会社と捉えられ業務提携を打診される可能性もありますし、社内に対しては社員のモチベーションアップの効果などが期待できます。ただ移転して終わりではなく、このアピールチャンスを最大限に生かす施策を打ち出しましょう。
本店移転(オフィス移転)が会社に与えるデメリットとは?
先程お話しました通り本店移転にはメリットが沢山ありますが、しっかりとした移転計画を立てないと思わぬ失敗に繋がる可能性があります。
無計画な移転はどんなデメリットを生む危険性があるのでしょうか。
これは私の実体験になりますが、以前働いていた会社で、社員数の急増に伴いオフィスを急遽移転したことがありました。移転後のオフィスは「従業員数に見合ったフロア面積」で、何も問題なく(むしろ快適に)半年ほど経過がしました。
しかし、その後1,2カ月の間に会社の事業に対する計画性の無さを理由に1/3程の社員が一斉に辞めてしまいました。
その結果、元々フロア面積にある程度ゆとりがあったこともあり、フロアの半分が無人席になってしました。家賃の半分は無駄な支払いです。
今回の事例の問題点
・オフィスに入りきれないほどの従業員を雇い、急遽オフィス移転が必要になった
・5,6年先までの事業計画を立てずに、目の前の問題解決だけの為に移転先を選んだ
・多数の従業員が一斉に辞めてしまうような問題を把握していなかった
このような問題点が挙げられます。
何が言いたいかと言いますと、しっかりとした事業計画に基づいたオフィス移転でないと、失敗する可能性が高いということです。
上記の事例では私も辞めてしまったのでその後の展開は詳しく知りませんが、元同僚に聞いた話ではオフィスの半分を閉鎖して、残り半分のスペースで仕事をしているようです。
オフィス移転は会社にはつきものですが、しっかりとした事業計画を立て、それに基づいた社員の増減をシミュレーションし、失敗のないオフィス移転を実現させましょう。
もちろんオフィス移転にはスペースの問題以外にも色々考えないと行けないことがあります。詳しくは下記のリンク記事を参考にして下さい。
本店移転が決まったらまず確認することとは?
オフィス移転が決まったら、早速オフィス探し!と言いたいところですが、そのオフィス移転は本当に今必要でしょうか?移転のタイミングは本当に正しいですか?もう一度冷静に考えてみましょう。
オフィス移転は社外へのアピールの材料ともなり、会社の未来を左右する重要なイベントです。「今ではない」と否定するところからスタートし、それでも今がオフィス移転をするタイミングだと確信できるところまで熟考しましょう。それからでも決して遅くはないです。
また、会社を経営していくと色々な理由でオフィス移転が何度か必要になってくると思います。今後のオフィス移転に失敗しない為には、最低でも5,6年先の事業計画までは立てておきましょう。そしてその事業計画に基づき、今回のオフィス移転だけではなく、その次のオフィス移転まで計画に入れることが失敗のないオフィス移転に繋がります。
会社にとってメリットのあるオフィス移転となるように、オフィス移転実行に必要な確認は済ませておきましょう。
本店移転に必要な事前準備

2オフィス移転(本店移転)が決定したら、次はオフィス移転前に必要な事前準備の確認です。移転先の物件探しと平行しつつ、事前に必要な手続きなどを確認しておきましょう。
主に必要な手続きは以下の通りです。
- 移転計画の作成
- オフィス移転業者の選定
- 取引先など先方への事前通知
- 社内への通知
- 旧オフィスの手続き(オフィス契約関連・その他定期契約関連の解約)
- 新オフィスの選定新オフィスの内装工事業者選定
- 新オフィス設備・備品の準備
大きくわけてもこれだけのことを事前に進める必要があります。特に取引先や提携先など先方への連絡は必ず事前に行いましょう。
また、よくある事例としては移転先オフィスでの設備不足です。特にインターネットや電話回線などは業務に支障が出てしまう可能性もありますので、事前に必要な設備を確認しておきましょう。
詳しくは下記の関連記事も参考にして下さい。
法務局へ本店移転登記を申請する方法と書類の書き方
本店移転の準備ができたらいよいよ登記申請の準備です。申請は移転後2週間以内に申請する必要がありますので、移転後のバタバタで忘れてしまわないよう、移転前からある程度イメージして準備しておきましょう。本店移転は「会社の引っ越し」と思うとたいしたことないように思えますが、手続き上は株主総会などを経る必要がある場合もあります。必要な手続きや書類については以下の記事で紹介しています。
関連記事:
本店移転の実行時に必ず注意することとは?
オフィス移転(本店移転)を決める際に一番注意しなければならないことは、今の会社に見合った、事業計画に基づいたオフィスに移転することです。
誰もが綺麗で広いフロアで仕事がしたいと思うことでしょう。しかし今の会社の規模に見合わない移転先を選んでしまうと、金銭的な負担が多く掛かります。現実的に考えると、事業がうまくいかない場合に備え「この家賃なら払える」と思うレベルのワンランク下げた家賃が理想です。社員数に伴い物理的に必要な広さを考慮し、無理のないオフィスを選ぶよう注意が必要です。下記の関連記事では失敗例を挙げていますので、ぜひご確認下さい。
自宅やバーチャルオフィスなどに本店移転する際の注意点
コロナ禍を背景にリモートワーク/テレワークの活用が進む会社においては、以前のオフィスを縮小し本店を自宅やバーチャルオフィスに登記変更するケースも増えています。短期的にはコスト面で効果を得やすい施策ですが、メリット・デメリットや実際に移転する上での注意点があることも押さえておきましょう。
関連記事:
忘れがちになる本店移転後に必要な手続き

長時間を掛けて実行したオフィス移転が終わると、誰でもほっとすることでしょう。
しかし、やらなければならないことはこれで終わりではありません。
自分の家を引っ越した際に引越し後に色々な手続きが必要なように、本店移転(オフィス移転)後にもやらなければならない手続きは多いです。
基本的に住所が変更になるので、契約先などには全て変更届や住所の変更手続きなどが必要になります。
最低限必要な手続きは以下の通りです。
- 公的機関への届出
- 法務局への本店移転登記
- 税務署への届出
- 都道府県税事務所への届出
- 市区町村への届出
- 年金事務所への届出
- 労働基準監督署への届出
- 公共事業安定所(ハローワーク)への届出
- その他の届出 ・郵便局への届出
- 銀行への届出
- 取引先への移転のお知らせ
この他にも会社によって様々な変更手続きなどが必要になりますので、事前に届け出るべき手続きを把握しておきましょう。
公的機関への届出で一番面倒なのが「法務局への本店移転登記」です。
詳しくは関連記事をご確認下さい。
本店移転時の登記変更手続きのやり方と方法
本店移転時に必要となる手続きは殆どが当日中に完了しますが、一番時間が掛かり複雑で面倒なのが「法務局への本店移転登記」です。場合によっては申請までに数日掛かる場合もあります。自分で申請することも可能ですが、専門的な知識が必要になるので専門家へ依頼するなど申請方法を考えましょう。
主な登記変更申請の方法は以下の3つです。
- 自分で必要な書類を作成し法務局へ申請する(時間が掛かります)
- 司法書士へ依頼する(これが一般的です)
- 登記書類作成支援オンラインサービスを利用する(費用が安く、申請までに時間が掛かりません)
変更登記の申請は自分ですることも可能ですが、知らなければいけない専門知識が多く、申請までに時間が掛かります。何時間でも掛けれるほど時間に余裕がある方は別ですが、実際は司法書士へ依頼するか登記書類作成支援オンラインサービスを利用すると効率的に進められます。
これまでには実質的に司法書士へ依頼するしかなかった変更登記ですが、2019年にサービスを開始した「GVA 法人登記」は、全ての書類が最短15分、10,000円(税別)以内で作成できる便利なサービスです。丸ごとお任せしたい場合は司法書士へ、費用を抑えてスピーディに登記申請をしたい方は「GVA 法人登記」の利用をご検討下さい。
移転先住所が管轄内外かによって手続きが異なることに注意

本店移転(オフィス移転)時に必ず申請しなければいけない登記手続きですが、移転先の新住所と旧住所の管轄法務局が同じ場合と、管轄法務局が異なる場合では手続きが異なります。
司法書士に依頼する場合、お任せできるので調べる必要はありませんが、自分で登記申請をする場合は移転前、移転後の管轄法務局を把握しておく必要があります。申請に必要な書類や費用なども異なりますので、必ず事前にご確認下さい。
管轄の法務局はこちらからご確認下さい
法務局ホームページ(管轄のご案内)
管轄外への移転では手続きが増えることに注意
管轄外への移転の場合、定款の内容などによっては必要な手続きが増える場合があります。特に、前回の移転が管轄内だった場合などは必要な手続きを怠っていないか注意が必要です。以下の記事では管轄外への移転において発生する代表的な手続きを紹介しています。
関連記事:
本店移転時に法務局で支払う登録免許税はいくら?
変更登記の申請時には「登録免許税」という税金が掛かります。登録免許税は、自分で申請する場合、司法書士へ依頼する場合、GVA 法人登記を利用する場合、どのやり方でも同額の費用が発生しますのでご了承下さい。
管轄内への本店移転の場合:3万円
管轄外への本店移転の場合:6万円
管轄内外で登録免許税が異なりますので、必ず事前にご確認下さい。
最後に
株式会社の本店移転(オフィス移転)について、移転前に必要な検討や注意事項、移転前・移転後に必要な手続きなどを書かせて頂きました。オフィス移転は会社の未来を左右する大事なイベントですので、入念すぎるほどの計画を立てることをオススメします。
また、移転後の登記変更の申請は手間が掛かる上に期限があります。本店移転(オフィス移転)時には必ず登記変更が必要ですので、期限に間に合うよう余裕を持ってお手続きください。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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