はじめてのストックオプション発行ガイド。シードファイナンスでスタートアップが資金調達したら検討したいタスクや手順を解説

ストックオプション
投稿日:2024.02.09
はじめてのストックオプション発行ガイド。シードファイナンスでスタートアップが資金調達したら検討したいタスクや手順を解説

スタートアップ・ベンチャーの経営戦略の一つとしてもはや必須ともいえるのがストックオプション(SO)の発行です。これまで上場を果たしたスタートアップ企業においてこの制度を採用や人材マネジメントに有効活用してこなかった会社はない、といってよいでしょう。

ストックオプションの知名度が高くなったとはいえ、まだ発行したことのないスタートアップ企業にとってはわからないことだらけです。

本記事では、起業後の初期の資金調達時など、スタートアップ経営においてはじめてストックオプション発行を検討するタイミングの方向けに、基礎知識や検討すべきポイント、発行の流れをまとめ形式で紹介します。

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ストックオプション(SO)とは?

ストックオプションは米国では1970年代以降、有能な経営者獲得の手段として利用が増えました。日本国内では1997年の商法改正以降利用されるようになり、その頃から増えたネット系ベンチャー企業の上場とともに認知が広まりました。

最近はストックオプションの種類も多様化し、税制や付与者の費用負担の観点からも選択肢が増えています。

しかし、多様化したとはいえ、ストックオプションとして新株予約権を発行においては株主総会での決議や登記申請が必要です。業務においてこれら知識が必要になる機会も少ないため、知名度の割に実体はよくわからないという方も多いでしょう。

以下の記事では、ストックオプションにおける基礎知識や歴史、種類などについてまとめています。「ストックオプションって何?」という方はまずこの記事からご参考ください。

関連記事:ストックオプションとは?その歴史から種類、メリット・デメリットを紹介

ストックオプションと新株予約権の違い

ストックオプションと似た用語に「新株予約権」があります。文章によってはほぼ同義として使用される場合もあります。

この2つの単語の関係性は、新株予約権の利用形態のひとつとして、役員や従業員に付与するストックオプションがあるということになります。

新株予約権は、会社法で「株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利」と定められています。このうち役員や従業員等に対して労働や役務提供の対価として付与するものがストックオプションと一般的に呼ばれています。

新株予約権>ストックオプション、となるのでコンテンツの文脈によっては同義に扱うことも問題はありませんが、厳密な定義としては異なります。

ストックオプションを発行するメリット・デメリット

ストックオプションとは、株式会社において役員や従業員が、自社株を一定の行使価格で購入できる権利および報酬制度のことです。将来性のあるビジネスモデルだけど、まだ会社は小さく、人材採用に大きなコストを割けない会社が、将来の株価向上を見込んで人材獲得やモチベーション向上に利用されます。

この制度が向いている代表的なケースが、ビジネスやサービスに新規性があり高い成長性の企業、つまりベンチャーやスタートアップ企業というわけです。

その他にも明確なメリット・デメリットがあります。会社によってはメリットばかりでなく、導入には向き不向きがあります。もし検討する場合は、自分の会社が合っているかは十分に確認しておきましょう。

ストックオプションのメリット・デメリットについて以下の記事で詳しくまとめていますので参考にしてください。

関連記事:ストックオプションを発行することのメリット・デメリット



自社におけるストックオプション制度導入の目的を整理する

ストックオプションは、スタートアップでよく使われているからといって盲目的に発行するのも考えものです。自社の課題と、それがストックオプションで解決できることなのか、事前に整理しておきましょう。

ストックオプション発行の主な目的は以下のとおりです。

  • 今の知名度、報酬基準では採用できない優秀な人材の採用
  • 社員のモチベーション向上や退職防止効果
  • 行使条件の設定によっては、上場(IPO)後の急激な退職を抑制する効果
  • 十分な昇給が難しい場合の将来に向けた成功報酬的な効果
  • 報酬、インセンティブ制度の一環として導入する


自社の状況によっては「今は発行しない」というのも立派な選択肢です。
将来これら課題が顕在化したときに対処する方法はあるのか、なども十分吟味しておきましょう。

はじめてのストックオプションはいつ発行するべきか

明確なタイミングは決まっていませんが、現実的には以下を満たしたタイミング以降になるでしょう。

  • 会社が成長する兆しが見ている。サービスのプロダクトマーケットフィット(PMF)や、ビジネスモデルが成り立つことが確認できている。
  • ストックオプションを付与すべきと思える重要な人材が社内にいる、ストックオプションの効果が得られる程度の社員数がいる
  • 近いタイミングで外部からの資金調達(融資ではなく株式によるもの)があり、現時点の会社の価値算定ができている。


つまり、会社がうまくいくかどうか手がかりがまったくない段階での発行は意味がないかもしれません。上場やイグジットできるほどに成長できるかわからないですし、この段階の会社の価値を算定しようにも手がかりがないためです。この段階ではストックオプション発行による採用やマネジメント面でのメリットもあまり得られない可能性もあります。

まれに創業直後のスタートアップが比較的大きな調達をする場合がありますが、経営陣にトラックレコードがあるなど条件が限られることが多いようです。

これら条件を総合すると、起業してから事業のポテンシャルがある程度評価される、シードファイナンスのタイミングでストックオプションを発行するケースがみられます。ただし、どのくらいの時間軸でどこまで事業を成長させるかは業界や経営陣の考え方にもよりますので、一例として考えてください。

ストックオプションは何回くらい発行するのが適正なのでしょうか?

これも適正な回数はありませんが、複数回にわたり発行している会社が多いようです。

株式公開する前のスタートアップのストックオプションの行使価額は一般的に株価が基準となり、時価総額は投資家の評価や外部の専門家などが算出した価格がベースとなります。上場企業のような市場における株価がないためです。

創業後ずっと順調に成長できていれば問題ありませんが、そうでない場合は発行タイミングごとに価格を上げ下げする必要もあり、関係者にとって負担の大きい作業になります。

スタートアップ企業の事業はいままでにないサービス・市場を対象にすることも多く、短期間での急速な成長が期待できるため、早期にストックオプションを発行することが望ましいですが、人材採用のタイミング等から複数回にわたり発行することが一般的です。

ストックオプション発行における税制優遇措置や種類を決める

ストックオプションにはいくつかの種類があります。シードファイナンス付近のタイミングで発行を検討する場合「税制適格ストックオプション」の要件を満たすかどうか、「有償型」を発行する必要はあるのか、が主な論点になります。

税制適格ストックオプションでは、一定の基準を満たすことでストックオプションを行使して株式を取得した際に発生する課税(税金の支払い)を株式売却時までに延ばせる制度です。また、税制適格ストックオプションの要件を満たせない場合の対応として、「有償型」を発行することもあります。どちらもストックオプションを効果的に機能させるために検討することをおすすめします。

以下の記事では税制適格ストックオプションや、有償型と無償型の違いなどについて解説しています。自社の発行目的に合うかどうかも含めて確認しておきましょう。

関連記事:税制適格ストックオプションとは?
関連記事:無償型ストックオプションと有償型ストックオプションの違いとは?

ストックオプション付与比率の考え方

ストックオプション発行においては、発行済株式総数に対して、ストックオプションをどれだけの比率で付与するかが論点になります。

どうしても「誰に発行するか」が気になってしまいがちですが、将来の株価や時価総額、株主構成を見据えて適正な付与率を決める必要があります。

会社によって多少の差はありますが、一般的には10%前後、多くて15%となることが多いようです。少なすぎればインセンティブとして機能させにくくなり、多すぎると将来の株式数の増加(=1株の価値が希薄化する可能性)の懸念があります。

どの程度発行できる方は投資家と事前に合意しておくことも多いですので、調達に合わせて専門家への確認しておきましょう。


ストックオプション発行にかかる費用

ストックオプション発行は大きく3つのステップに分かれます。

  1. 発行数や発行対象者の決定
  2. 株主総会や取締役会での発行決議
  3. 発行したストックオプションの登記申請


ポイントとしては、どのプロセスも多少は専門家の支援が必要になるということです。
これらを自社だけで行うのは難しいですし、過去の事例をもとにした専門家の知見は有用です。
幅はありますが、これら3つのプロセスで数十万円、特殊なものによっては数百万円程の費用を要する場合もあります。

もちろん自力で登記申請書を作成できれば③については登録免許税のみで申請できます。シードファイナンスのタイミングでは付与対象者が少なかったり、条件もシンプルなので、できるだけ安くすることも可能です。調達先の投資家にも確認しながら検討しましょう。

関連記事:ストックオプションの登記(発行・行使・消却)における登録免許税について

ストックオプション発行の準備と手続きの流れ

ストックオプションの発行は、具体的には以下の8つのステップで行います。

  1. ストックオプション発行の目的と効果を確認する
  2. 発行するストックオプションの種類を決める
  3. 発行価格、発行する数、付与対象者などを決める
  4. ストックオプション(新株予約権)の募集事項の決定
  5. 総額引受方式による割当契約の締結
  6. 新株予約権原簿の作成
  7. 新株予約権の登記申請
  8. 新株予約権等の付与に関する調書の提出


どれも頻繁に発生するものではないので最初は難しいかもしれませんが、ある程度は自力で行うことも可能です。数十万円の費用を節約できる可能性もあるので投資家や株主に相談しながら検討しましょう。

発行の準備と手続きの流れについてはこちらの記事にも詳しくまとまっているのでご参考ください。

関連記事:スタートアップ企業におけるストックオプション発行の準備と手続きの流れ

ストックオプションを発行したら登記申請が必要

ストックオプションの発行は、株主総会で決議されます。そして発行が完了したら2週間以内に会社登記簿への変更申請が必要です。

登記簿内には「株式・資本区」という項目があり、発行済株式総数や資本金、単元株式数などが記載されています。新株予約権の一種であるストックオプションは発行の時点では株式ではありませんが、将来発行される潜在的な株式として登記申請が必要になるのです。

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  • 役員の住所変更
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  • 商号変更
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  • 株式分割
  • 剰余金等の資本組入れ
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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