商業登記規則第61条について解説します(1)

商業登記の基礎知識
投稿日:2022.05.24
商業登記規則第61条について解説します(1)

株式会社を設立・運営する上では、商業登記(法人登記)の申請についても、理解しておくことが大切です。


商業登記を申請する場合には、申請書を作成し、ケースに応じた一定の書面を添付して、法務局に提出しなければなりません。


この添付書面について規定している代表的な条文が、商業登記規則第61条になります。


本記事では、商業登記規則第61条のなかでも、役員の添付書面に関連する規定について、解説していきます。


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第61条第4項:取締役就任時の印鑑証明書 

商業登記規則第61条第4項では、取締役が就任する際の登記では、一定の場合に、就任承諾書に押印した取締役の印鑑について、印鑑証明書の添付が必要になることを規定しています。


これは、実印の押印と印鑑証明書の添付によって、就任が取締役本人の意思であることを確認し、なりすましや架空の人物が取締役として登記されることを回避するためです。


具体的には、次のような場合に、“取締役”が就任承諾書に押印した印鑑について、市区町村長作成の印鑑証明書を添付する必要があると規定しています。


・株式会社の設立(合併および組織変更による設立を除く)

・設立後の取締役の就任(再任を除く)


つまり、簡単にいえば、新たに取締役が選任される場面の登記申請において、就任承諾書に押された印鑑についての印鑑証明書を添付する必要があることになります。


第61条第5項:代表取締役等就任時の印鑑証明書

商業登記規則第61条第5項では、取締役会設置会社については、第61条第4項の取締役を代表取締役(または代表執行役)と読みかえて適用することを規定しています。


具体的には、取締役会設置会社では、第61条第5項によって、次のような場合に、“代表取締役等”が就任承諾書に押印した印鑑についての印鑑証明書が必要になります。


・取締役会設置会社の設立(合併および組織変更による設立を除く)

→取締役会設置会社の“設立時取締役”については、就任承諾書に対する印鑑証明書は不要

・設立後の取締役会設置会社の代表取締役の就任(再任を除く)

→取締役会設置会社においては、取締役の就任があっても、就任承諾書に対する印鑑証明書は不要


第61条第6項:代表取締役等選任時の取締役等印鑑証明書

商業登記規則第61条第6項では、代表取締役または代表執行役の就任による変更登記の申請書には、選任の方法に応じて、次の役員の市区町村長作成の印鑑証明書も必要になることを規定しています。


・株主総会決議で選任‥株主総会議事録に押印した議長と出席取締役の印鑑証明書

・取締役の互選で選任‥互選を証する書面に押印した取締役の印鑑証明書

・取締役会決議で選任‥取締役会議事録に押印した出席取締役・監査役の印鑑証明書


ただし、変更前の代表取締役または代表執行役が、取締役(取締役会決議で選任の場合には監査役でも可)として登記所に提出している印鑑で押印していれば、これらの印鑑証明書の添付は必要ないとされています。


第61条第6項は、議事録等の偽造によって新しい代表取締役等が就任したこととされ、会社の乗っ取りを防ぐための規定です。


そのため、変更前の代表取締役等の登記所に提出している印鑑で押印されているのであれば、変更前の代表取締役等の意思を確認できるため、会社の乗っ取りである可能性は低いということが推測できます。


そのため、議事録等に押印した取締役等の印鑑証明書まで添付を要求しなくてもよいこととされています。


第61条第7項 本人確認証明書

商業登記規則第61条第7項では、設立や取締役・監査役・執行役の就任(再任除く)の変更申請においては、本人確認証明書の添付が必要であることを規定しています。


具体的には、本人確認証明書として、住民票の写しや戸籍の附票を添付します。

また、運転免許証のコピーに、本人が「原本と相違ない」と記載したものでもよいとされます。


ただし、第61条第4項・5項によって、取締役等の就任承諾書に対する印鑑証明書を添付する場合には、本人確認証明書の添付は必要とされません。


つまり、本人確認証明書の添付が必要になるのは、新たに就任する役員についての変更登記で、就任承諾に対する印鑑証明書を添付しない場合といえます。


第61条第8項 代表取締役等の辞任時の印鑑証明書

商業登記規則第61条第8項では、代表取締役等の辞任による変更登記の申請に関して、本人の知らないうちに退任させられることのないように、辞任届に対する印鑑証明書の添付を必要とする規定です。


もっとも、第8項の対象になる代表取締役等は、登記所に印鑑を提出している代表取締役が存在する場合には、その印鑑提出者に限り、誰も登記所に印鑑を提出していない場合には、会社の代表者全員が対象になります。


なお、代表取締役等が登記所に提出している印鑑で辞任届に押印している場合には、市区町村長作成の印鑑証明書の添付は必要ありません。

       


取締役会非設置会社における取締役等の変更

これまで解説した第61条の規定によって、取締役等の変更登記を申請する際の添付書面がどうなるのかを具体的にみていきましょう。


【ケース】

役員として代表取締役A及び取締役Bが登記されている取締役会非設置会社で、株主総会で新たに取締役Cおよび監査役Dが選任されたとします。

また、取締役Cは同じ株主総会で代表取締役としても選定されました。

株主総会には代表取締役Aと取締役Bが出席しており、両者の記名押印がある株主総会議事録が作成されたとします。


6-1.就任承諾書に対する印鑑証明書(第61条第4項)

【ケース】の取締役Cは、再任ではないため、商業登記規則第61条第4項によって就任承諾書に押印した印鑑についての印鑑証明書が必要になります。


なお、Cが株主総会で席上就任を承諾していれば、株主総会議事録を就任承諾書として援用することができますが、その際は株主総会議事録にCが個人の実印を押印している必要があります。


6-2.代表取締役の選任時の印鑑証明書(第61条第6項)

代表取締役を選任した株主総会の議事録において、従前からの代表取締役であるAが登記所に届け出ている印鑑以外を押印している場合、出席取締役であるAとBの印鑑証明書が必要になります。


しかし、Aが登記所に届け出ている印鑑を押印していれば、AだけでなくBの印鑑証明書も添付する必要はありません。


6-3.本人確認証明書(第61条第7項)

監査役Dに関しては、商業登記規則第61条第7項によって、就任承諾書の氏名及び住所が確認できる本人確認証明書が必要になります。


まとめ

本記事では、商業登記規則第61条のなかでも、役員の就任・変更時の登記申請における添付書面を規定している条文について、解説していきました。


取締役(取締役会設置会社では代表取締役)の就任による変更登記の申請では、原則として就任承諾書に実印を押印して、印鑑証明書を添付する必要があります。


また選任が適正に行われたことを証明するために、選任を証する書面についても、押印した取締役等の印鑑証明書が必要になることがあります。


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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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