「うっかりしてた」では済まされない?会社設立後に発生する可能性があるペナルティ(過料・罰金)の一覧

商業登記の基礎知識
投稿日:2026.08.03
「うっかりしてた」では済まされない?会社設立後に発生する可能性があるペナルティ(過料・罰金)の一覧

会社設立から3年。事業が軌道に乗り始める一方で、日々の業務に追われ、バックオフィス業務が後回しという経営者の方もいるかもしれません。この時期は、まだ税理士や社労士、司法書士などの顧問契約をしてない会社も多く、外部からの客観的なチェックが効きにくいフェーズでもあります。

「知らなかった」「うっかり忘れていた」という理由で必要な手続きを放置していると、ある日突然、裁判所や税務署、年金事務所から通知が届き、思わぬペナルティ(過料や罰金、追徴課税など)を科されるリスクがあります。

本記事では、設立数年内の経営者が陥りやすい「取り返しのつかないペナルティ」をカテゴリ別に一覧で解説します。なお、以下は一例になりますので、詳しい内容については各領域の専門家に相談することをおすすめします。

会社法関連のペナルティ(登記・総会・公告)

会社法違反によるペナルティは「過料(かりょう)」と呼ばれます。最大の特徴は、会社の経費として支払うのではなく、代表取締役個人のポケットマネー(自腹)で支払わなければならないという点です。これは財布にとって痛いですね。

登記懈怠(とうきけたい)・選任懈怠(せんにんけたい)

会社の登記事項に変更があった場合、原則として2週間以内に法務局へ変更登記を申請する義務があります。これを怠ると、最大100万円以下の過料が科されます。以下は一例ですが、登記事項であれば原則対象となります。

代表取締役の住所変更:引っ越しをした場合、個人の住民票だけでなく「会社の登記」も変更が必要です。最も忘れやすい手続きの筆頭です。
役員の重任(再任):役員の任期が到来した場合、メンバーが同じ(自分1人だけ)であっても、一度退任して再就任する「重任」の登記が必要です。
選任懈怠:そもそも役員の任期が切れているのに、株主総会を開かず後任の選任手続き自体をサボっている状態です。これも過料の対象となります。

株主総会の未開催・議事録の未作成

株式会社は、決算期ごとに必ず「定時株主総会」を開催しなければなりません(1人会社でも同様です)。 総会を開催しなかったり、虚偽の議事録を作成したり、議事録を本店に備え置いていなかったりした場合も、過料の対象となります。

公告懈怠(こうこくけたい)

株式会社には、毎年の定時株主総会終了後に決算内容(貸借対照表など)を官報や自社Webサイトで公表する「決算公告」の義務があります。これを怠った場合も最大100万円以下の過料の対象として会社法に明記されています。

税務関連のペナルティ(申告・納税・インボイス)

税務関連の手続き遅れは、会社のお金を直接的に圧迫するだけでなく、社会的信用にも関わります。

決算申告の期限遅れ(無申告)

法人税などの確定申告と納税は、原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に行う必要があります。
無申告加算税・延滞税
期限に1日でも遅れると、本来の税金に加えてペナルティの税金が加算されます。
青色申告の承認取り消し
2期連続で期限後申告になると、青色申告の承認が取り消されます。これにより「赤字の繰越(欠損金の繰越控除)」ができなくなり、スタートアップにとっては致命傷になりかねません。

インボイス制度・消費税関連

インボイス(適格請求書)発行事業者の登録要件を満たしているのに登録を忘れていた場合、取引先から消費税分の値下げを要求されたり、取引を打ち切られたりするビジネス上のリスクがあります。また、要件を満たしていないのに架空の登録番号を記載すると、法律により厳しい罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が科されます。

労務・社会保険関連のペナルティ

従業員を1人でも雇用した瞬間から、労務リスクやそれに伴うペナルティの可能性が上昇します。

社会保険(健康保険・厚生年金)の未加入

法人は、社長1人だけの会社であっても、役員報酬を支給していれば社会保険への加入が法律で義務付けられています。 「保険料が高いから」と未加入のまま放置していて年金事務所の調査が入った場合、最大2年分を遡って一括請求されるリスクがあります。数百万円単位の請求になり、黒字倒産の原因にもなり得ます。

36協定(サブロクきょうてい)の未締結・未届出

従業員に法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて残業をさせる場合、労働基準監督署へ「36協定」の届出が必須です。 届出をせずに残業させた場合、労働基準法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(刑事罰)が科される可能性があります。「社員の同意があるから」は通用しません。

その他のペナルティ(許認可など)

許認可の更新忘れ・無許可営業

事業を行う上で必要な許認可(例:古物商、宅建業、人材派遣業、飲食業など)を更新し忘れたり、許可を取らずに営業を開始したりすると、営業停止処分や刑事罰の対象となりえます。特に事業内容をピボット(変更)した際に、新たな許認可が必要なことに気付かないケースが多いので注意が必要です。

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ここまで様々なペナルティをご紹介しましたが、設立数年内の会社で最も陥りやすく、かつ発生件数が多いのが「役員変更(重任)や代表者住所変更の登記懈怠」による過料です。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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