インボイス発行事業者が本店所在地を変更する際には、各関係窓口への異動届出が必要です。2023年10月のインボイス制度開始後は、登載事項変更届出書の提出も求められるようになりました。
この記事では、本店移転時に必要な税務手続きと、具体的な提出書類、注意点などを解説します。異動届出書にチェックを入れるだけで変更届出書の提出を省略できる方法についても紹介します。
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インボイス登録と本店所在地の変更
インボイス発行事業者が本店所在地を変更する際には、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を提出しますが、省略も可能です。ここでは、インボイス登録と本堤所在地の変更について解説します。
会社の本店所在地が変わったら異動届出書の提出が必要
会社がオフィス移転などで本店所在地を変更する際には、国税、都道府県税、市区町村税それぞれについて、異動届出書の提出が必要です。提出先や提出書類、提出期限は次のとおりです。
| 国税 | 都道府県税 | 市区町村税 |
提出先 | 所轄の税務署 | 都道府県税事務所 | 市区町村の税務担当窓口 |
提出書類 | 法人異動届出書 | 法人県民税・事業税異動届出書 | 法人市町村民税異動届出書 |
提出期限 | 移転後速やかに | 移転後速やかに | 変更日から10日以内(※) |
※自治体によって異なります。
※詳しくは、各関係窓口にお問い合わせください。
これらの届出書は、郵送での提出に加えて、e-Taxを利用したオンライン提出も可能です。オンライン提出の場合、24時間いつでも提出できるため、時間が空いたときに手続きを行うことができます。
インボイス制度開始後の変更時に必要な手続き
2023年10月1日からインボイス制度が開始されたことに伴い、適格請求書発行事業者として登録している会社には、新たな手続きが必要になりました。
会社がインボイス発行事業者であり、本店所在地や社名などに変更があった場合、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」の提出が必要です。この届出書は、所轄のインボイス登録センターに提出します。(各局のインボイス登録センターはこちら)
本店所在地の変更など、登録内容に変更があった場合は、速やかに「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を提出するようにしましょう。
異動届出書にチェックすれば登載事項変更届出書の提出は不要
会社の本店所在地変更など、登録内容に変更があった場合、異動届出書を提出します。この届出書には、消費税に関する欄(および法人税の欄)があり(下記参照)、ここにチェックを入れることで、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」の提出を省略することができます。
<異動届出書>
インボイス制度開始前より、本店所在地の変更時には異動届出書の提出が必要でした。そのため、異動届出書を提出する際に、消費税欄にもチェックを入れるようにすれば、新たに「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を作成・提出する手間を省くことができます。
この点は、ホームページに案内されてはいますが、異動届出書にはチェック欄しかないため、気づかずに提出する恐れがありますので、注意しておきましょう。
本店移転時の税金関連の手続きに必要な書類テンプレート
インボイス発行事業者が本店移転する際には、税務署や都道府県税事務所、市区町村の税務担当窓口への届出が必要です。ここでは、各機関に提出する際に必要な書類のテンプレートのダウンロード先をご紹介します。
適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書
インボイス発行事業者の登録内容に変更があった場合、個別に「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を提出する必要があります。この届出書は、国税庁のWebサイトからダウンロードすることができます。
下記の国税庁のページ「D1-66 適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更手続」では、「申請書様式」「提出方法」「提出先」などがまとめられていますので、あわせてご確認ください。
届出書のダウンロード
・ダウンロードページ
・適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書
国税庁に提出する異動届出書
事業年度の変更や商号・名称の変更、納税地等の異動などがあった場合、「異動届出書」を提出します。この届出書も、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。
下記の国税庁のページ「C1-8 異動事項に関する届出」では、「申請書様式」「提出方法」「提出先」などがまとめられていますので、あわせてご確認ください。
届出書のダウンロード
・ダウンロードページ
・異動届出書
都道府県税事務所に提出する異動届書
本店所在地の移転や商号・名称の変更などがあった場合、都道府県税の「異動届出書」や「法人異動事項申告書」の提出が必要です。同一都道府県内での移転の場合は、移転後の都道府県税事務所に、別の都道府県への移転の場合は、移転前と移転後の両方の都道府県税事務所に提出します。
届出書は、各都道府県の税務関連のWebサイトから入手できます。たとえば、東京都の場合、東京都主税局のホームページ「法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税・法人都民税 申請様式」からダウンロードできます。次のURLからアクセスしてください。
届出書のダウンロード
・ダウンロードページ
・異動届出書(2枚目)
市区町村に提出する異動届書
法人住民税に関する異動届出書は、市区町村の税務担当窓口に提出する必要があります。本店所在地の移転や商号・名称の変更などがあった場合、速やかに異動届出書を提出しましょう。
移転前と移転後の両方の市区町村に異動届出書の提出が必要ですが、東京23区内の移転の場合は、23区内で統一された手続きにより、移転前の区への提出は不要です。
東京都の場合、法人住民税の異動届出書は、東京都主税局のホームページからダウンロードできます。以下のURLから、該当の様式をダウンロードしてください。
届出書のダウンロード
・ダウンロードページ
・異動届出書(3枚目)
<各書類の届出先と届出方法 まとめ>
書類 | 各書類の届出先 | おもな届出方法 |
適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書 | インボイス登録センター | 郵送 e-Tax |
国税庁の異動届出書 | 所轄の税務署 | 郵送 e-Tax |
都道府県税の「異動届出書」 | 都道府県税事務所 | 郵送 |
法人住民税に関する異動届出書 | 市区町村の税務担当窓口 | 郵送 |
※詳しくは、各関係窓口にお問い合わせください。
インボイス発行事業者の本店移転以外の変更で手続きが必要なケース
インボイス発行事業者にとって、本店所在地の変更以外にも、登録内容に変更があった場合は手続きが必要になるケースがあります。ここでは、適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書の提出が必要となる、本店移転以外の変更ケースについて解説します。
本店所在地以外の変更でも手続きは必要
インボイス発行事業者にとって、本店所在地の変更以外にも、登録内容に変更があった場合は、適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書の提出が必要になります。納税地を管轄するインボイス登録センターへ速やかに送付しなければなりません。
「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」にに記載されている「変更の内容」に該当する項目が変更となる場合に手続きが必要となります。以下の資料が、実際の書面の一部です。
<適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書 変更の内容>
※出典:国税庁「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」
どのような項目が変更対象となるか、具体的に見ていきましょう。
変更対象として記入が必要な項目
適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書を提出する際には、変更があった項目を正確に記入する必要があります。変更内容として記入が必要な項目は次のとおりです。
<変更の内容>
変更年月日 | 変更があった年月日を記入します。 |
変更事項 | 変更があった項目をチェックします。 □ 氏名または名称 :個人事業主は氏名、法人は名称の変更の場合 □ 本店又は主たる事務所の所在地 :本店所在地や主たる事務所の所在地に変更があった場合 □ 国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地(国外事業者の場合) :国外事業者が国内で行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所等の所在地に変更があった場合 |
変更事項を見ると、インボイス発行事業者において、本店所在地や商号・名称に変更があった場合は、必ず適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書を提出する必要があることがわかります。
なお、この登載事項変更届出書には、納税地、氏名・名称、法人番号、登録番号などの届出者情報を記入する必要があります。
本店所在地が変わったら異動届出書を速やかに提出しよう
インボイス制度が始まり、適格請求書発行事業者として登録している会社は、本店所在地や商号・名称に変更があった場合、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」の提出も必要になりました。ただし、異動届出書の消費税欄にチェックを入れることで、この変更届出書の提出を省略できます。
提出する異動届出書等の書類は、各税務機関のWebサイトからダウンロードできます。本店所在地の変更以外にも、登録内容に変更があった場合は、変更届出書の提出が必要になるケースがあります。所定の変更をする場合は、速やかに書類を提出しましょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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