代表社員の引っ越しや、オフィスの移転などで合同会社の本店所在地を変更するケースがありますが、合同会社の本店所在地は登記事項となっています(会社法(以下「法」)第914条第3号)。
そのため、本店所在地を変更する場合には、変更の日から2週間以内に変更登記が必要となります(法915条第1項)。
こうした変更登記には添付書類として同意書や決定書が必要となりますが、どのように書けば良いのか分らないという方もいらっしゃるかと思います。本記事では合同会社の本店移転の際の同意書・決定書のひな形やテンプレートについて解説します。
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合同会社における本店移転とは?
同意書や決定書について解説する前にまずは合同会社における本店移転とはどういったものなのかについて解説します。
法人(会社)の住所移転のことを指す
合同会社の本店移転とは、法人の本店の住所移転のことを指します。合同会社の本店所在地は定款に必ず記載される事項である絶対的記載事項とされています(法第576条第1項第3号)。
また、冒頭でも少し触れたように、本店所在地は登記事項のため、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)にも記載されます。
そのため、本店所在地を変更する場合には、
①定款への本店所在地の記載方法によっては定款変更の手続き
②登記の変更手続き
と二つの手続きが必要となるケースがあります。
では、①の定款変更が必要となるのはどのような場合でしょうか。
この点については、本店所在地の定款への記載方法には大きく分けて二つの記載方法があります。
一つ目は、住所の最小行政区画までを記載する方法です。具体的には、「当会社は、本店を東京都港区に置く。」といった定めをする方法です。
二つ目は、具体的な番地まで記載する方法です。具体的には、「当会社は、本店を東京都港区麻布台1丁目1番地に置く。」といったように番地まで記載する方法です。
一つ目の方法で記載している場合には、本店を港区内で変更する場合には定款変更の手続きは必要ありませんが、二つ目のように番地まで記載している場合には本店所在地を変更する際には必ず定款変更が必要となる点には注意が必要です。
なお、合同会社の場合、本店所在地は代表者の住所を本店の所在地としているケースが多いため、代表者が引っ越す場合には、こうした本店移転の問題が起きる点には留意しておきましょう。
合同会社の本店移転に必要な手続き
では本店移転の場合には具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか。前述の通り、本店所在地を変更すると①定款変更②変更登記の2つが必要となるケースがあります。そこで、それぞれについて解説します。
①定款変更の手続き
合同会社の定款変更は、原則として総社員の同意によってなされます(法第637条)。ただし、定款で別に定めがある場合であれば、業務執行社員や代表社員による決定も可能です。一般的な会社である株式会社の場合には、定款変更には株主総会の特別決議が必要となっています(法第466条、第309条第2項第11号)。これに対して、合同会社を含む持分会社は原則として総社員の同意とされており、株主総会のような招集手続きの規制などはありません。
これは、株式会社の場合には会社の経営は取締役が行い、株主は出資を行うという形式になっているため、会社の根幹に影響する定款の変更は会社の出資者であり所有者である株主が行うとされているのに対し、持分会社は出資と業務執行を行う者がいずれも社員であることから、このような違いがあります。株式会社と手続きが大きく違う点なので注意しておきましょう。
②変更登記申請
前述の通り、本店所在地は登記事項となっているため、変更登記の手続きも必要です。変更登記の手続きは、登記申請書を作成し、社内での同意を証する書類を添付して申請する必要があります。
登記手続きの期限は本店所在地を変更したときから2週間以内に法務局に申請しなければいけません。そのため、添付書類となる社内での同意を証する書面はスムーズに作成をしておく必要があります。
また、移転先住所が現在の法務局の管轄外か管轄内かによって申請書の提出先や登録免許税の金額が異なる点にも留意が必要です。管轄内での移転の場合には、現在の所在地を管轄する法務局へ申請書を提出すれば良いのに対し、管轄外への移転の場合には現在の所在地を管轄する法務局と移転先の法務局の2カ所へ申請書を提出する必要があります。なお、2カ所に提出することになる関係から管轄外への移転の場合には登録免許税の金額も2カ所分の6万円となります。
合同会社の本店移転における議事録(同意書・決定書)とは?
本店移転の手続きについて解説したところで、次は登記手続きの添付書類である議事録(同意書・決定書)について解説します。
本店移転の社内での決定を証する書面
前述の通り、合同会社の本店移転には定款変更が必要な場合があり、その場合には原則として総社員の同意が必要です。そのため、本店移転の登記にあたっては社内で適法に意思決定がなされたことを証する書面が添付書類となります。
株式会社の場合には、一般的な意思決定は株主総会または取締役会でなされるのが通常です。例えば役員の変更を登記する場合には、役員の選任に株主総会決議が必要(法第329条第1項)となるため、適法に意思決定がされたことを証するために株主総会の議事録が添付されます。
合同会社のような持分会社は株主総会や取締役会のような法定の合議体が無いため、総社員の同意書や業務執行社員の過半数により決定した決定書などが用いられるのです。
こうした同意書や決定書を作成したら登記申請書に添付して登記申請を行います。
定款変更に当たるかどうかで必要な書類が異なる
本店所在地は定款の絶対的記載事項となっています。ただし、前述の通り本店移転があれば必ず定款変更が必要という訳では無く、定款への記載方法によって要否が変わります。
定款に最小行政区画までしか記載していない場合で、その区域内での本店移転であれば定款の記載事項に変更は生じないため、定款変更の手続きは不要となります。
そして、定款変更の手続きが不要な場合には、定款変更のための総社員の同意が不要となるため、業務執行社員による決定書があれば足りることになります。
反対に、別の区域に移転する場合には、定款変更が必要となるため総社員の同意を証する同意書が必要となります。
このように、定款変更の有無によって添付する書類が異なる点は注意が必要です。
同意書(総社員の同意書)とは?
同意書とは、その合同会社の総社員の同意があったことを証する書面のことをいいます。合同会社においては定款の変更には総社員の同意が必要となるため、そうした手続きを会社が適法に行ったことを証明するための書面となります。
なお、必ずしも同意書という書面のタイトルである必要は無く、総社員の集会の議事録という体裁であっても総社員の同意が証されていれば問題ないとされています。
決定書(業務執行社員の決定書)とは?
決定書とは、合同会社の業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面のことをいいます。合同会社では、業務執行社員を定款で定めた場合で業務執行社員が二人以上いるときは、業務については業務執行社員の過半数をもって決定することになります(法第591条第1項)。
定款変更を伴わない、本店移転も合同会社の業務となるため、業務執行社員の過半数をもって決定することになるため、その決定があったことを証する書面として決定書が用いられるのです。
合同会社の本店移転の同意書・決定書のひな形
では、本店移転の際の同意書や決定書はどのように記載すれば良いのでしょうか。ここからは同意書や決定書のひな形をご紹介します。
同意書・決定書のひな形
同意書や決定書はこう書かなければならないという体裁や形式は特にありません。しかし、それではどう書けば良いかかえって分りにくいという方も多いでしょう。
そのような場合は、法務局のホームページ内にある合同会社の本店移転登記の登記申請書の記載例の中の同意書や決定書のテンプレートを参考にするのも良いでしょう。
社員の同意書のひな形

同意書は、定款変更を行う際に使用する書式です。そのため、総社員の同意があったことを証明する内容となっている必要がある点に注意しましょう。ひな形では、定款を変更することについて同意し、社員全員が署名することによって同意を証する書面としています。
業務執行社員の決定書のひな形

これに対して決定書は、定款変更を伴わない本店移転の場合に使用する書式です。書式内では全員一致で決定されていますが、会社法上は業務執行社員の過半数の一致で可能です。その場合には全員の一致を得たという記載ではなく、過半数の一致があったことを記載する必要があります。
なお、前述の通り移転先が法務局の管轄内であるか管轄外であるかによって手続きが異なるため、法務局のホームページ内でもそれぞれの場合毎に書式が用意されています。間違いの無いようにそれぞれの場合に合せて作成しましょう。
移転の内容によって書類が異なることに注意
本店移転は、合同会社の登記事項に変更を生じるものですが、それまでの定款での本店所在地の定め方によって、定款変更の有無や添付書類が異なる点で注意が必要な手続きです。
また、移転先が現在の法務局の管轄外であるか管轄内であるかも影響するなど、住所を変更するだけで簡単だろうと考えていると、思わぬミスをしかねません。本記事を参考に自社で本店移転をする場合には定款変更が必要な記載になっているかどうか確認しておき、実際に本店移転する際に誤った手続きをすることの無いように十分注意しましょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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