本店移転における取締役決定書とは?書き方・テンプレートも紹介

本店移転
投稿日:2024.11.14
本店移転における取締役決定書とは?書き方・テンプレートも紹介

本記事では、会社の本店移転において必要になる取締役決定書について解説します。

「取締役決定書」とは、取締役が業務の執行等に関する重要事項について決定したことを証するために作成される文書です。また「本店移転」とは、会社の本店所在地を変更することをいいますが、会社が本店を移転した場合には、所定の期間内に変更登記を申請する必要があり、その際の添付書類として、「取締役決定書」の提出を求められる場合があります。

一般的な取締役会設置会社における「取締役会議事録」は知っているけど「取締役決定書」については、あまり耳にしたことのない方や、具体的にどのような書面を作成すべきか悩まれる方も多いかもしれません。

そこで、本記事では、まず、「取締役決定書」がどのような書類かについて概説した上で、本店移転にあたり必要となる社内手続や、本店移転に関する登記申請の方法・必要書類について解説します。

自分で変更登記をするなら司法書士監修のGVA 法人登記が便利です

必要情報をフォームに入力するだけでかんたん書類作成
費用と時間を抑えて変更登記申請したい方におススメです

【各リンクからお進みください】
①会員登録前に利用方法を確認できる無料体験実施中
②GVA 法人登記の料金案内(専門家に依頼する場合と比較できます)
③オンラインサービスを利用して登記手続きを検討されている方はこちら

取締役決定書とは?

まず、「取締役決定書」がどのような場合に作成されるのか、また、「取締役決定書」にはどのような事項を記載しなければならないのかについて、みていきましょう。

取締役会を設置していない会社における議事録に相当する書類

取締役会を設置している株式会社における業務の執行等に関する重要事項は、基本的に取締役会の決議により決定されます。これに対して、取締役会を設置していない会社においては、取締役が1名の場合にはその取締役が単独で決定し、取締役が2名以上の場合には取締役の過半数の一致をもって決定することとなります。

取締役決定書は、このような場合に、取締役会を設置していない会社(取締役会非設置会社)において、業務の執行等に関する重要事項について取締役が決定したことを証する文書であり、取締役会を設置している会社(取締役会設置会社)における取締役会議事録に相当するものです。

取締役会非設置会社における取締役の決定については、取締役会のような会議体によることは要件とされていませんので、具体的な会議を開催することなく、持ち回りで決定することも可能とされています。

取締役会設置会社における取締役会議事録については、会社法上、取締役会決議がなされた際に作成が義務付けられており、また、議事録に記載すべき事項も細かく定められています。他方で、取締役会非設置会社における取締役決定書については、取締役が業務の執行について決定した際に作成が義務付けられているわけではなく、また、記載すべき事項に関する定めも特に設けられていません。

もっとも、登記しなければならない事項につき、ある取締役の一致(例えば、取締役の全員又は過半数の一致)による決定が必要とされている場合には、登記申請に際してその一致を証する書面の提出が求められますので、その手続のために取締役決定書を作成しておくことが考えられます。

また、登記が必要とはならない場合や取締役が1名だけの場合であっても、会社において取締役が決定したことの証拠となりますので、その日付や決定した事実を明確にするために、取締役決定書を作成しておくことが望ましいといえます。

本店移転の登記申請時に提出を求められることがある

前述のとおり、取締役決定書については、会社法上の作成義務はありませんが、登記申請の際に「取締役の一致を証する書面」として提出が必要となる場合があります。例えば、本店移転の登記申請の際には、その他の必要書類と合わせて、取締役会議事録又は取締役決定書(取締役の過半数の一致を証する書面)の提出が必要となります。

本店移転に関する登記申請において必要となる書類の詳細は後述しますが、本店移転の手続としては、本店所在地である最小行政区画が変更になる場合には、株主総会の特別決議により定款を変更した上で、取締役会の決議(取締役会設置会社の場合)又は取締役の過半数の一致(取締役会非設置会社の場合)により、具体的な移転の時期及び場所を定めることとなります。

他方で、本店所在地である最小行政区画が変更にならない場合(最小行政区画内で本店を移転する場合)には、定款変更は不要となるため株主総会特別決議も不要となりますが、本店移転に関する取締役会の決議又は取締役の過半数の一致は必要です。

例えば、定款において本店所在地を「東京都千代田区」と定めている取締役会非設置会社が、千代田区内で本店を移転する場合には、定款変更の必要がないため株主総会特別決議は不要となりますが、この場合であっても、本店移転について取締役の過半数の一致が必要となりますので、その旨を証する取締役決定書を作成することが求められます。

なお、本店所在地は、定款には「東京都〇〇区」としか定められていない場合であっても、登記簿(登記事項証明書)上は「東京都〇〇区△△□丁目□番□号」等と定められていますので、最小行政区画内で本店を移転する場合にも、登記申請は必要となります。

合同会社の本店移転で必要になる書類

合同会社における本店移転については、最小行政区画外への移転など定款変更を要する場合には、(定款に別段の定めがない限り)総社員の同意により定款を変更する必要があります。また、最小行政区画外への移転であるか、最小行政区画内での移転であるかを問わず、(定款に別段の定めがない限り)業務執行社員の過半数による決定が必要です。

したがって、合同会社の本店移転に関する登記申請にあたっては、業務執行社員の過半数の一致を証する書面(同意書等)のほかに、本店移転に伴い定款変更を要する場合には、定款変更に係る総社員の同意書が必要となります。

本店移転における取締役決定書とは

本店移転に際しては、様々な書類を準備する必要がありますが、取締役会非設置会社が本店を移転する場合には、登記申請の添付書類として取締役決定書が求められることが一般的です。

本店移転などの登記申請時に提出する

本店を移転した場合には、2週間以内に変更登記の申請が必要となります。もし申請を怠った場合には、過料の制裁の対象となる可能性もありますので、注意が必要です。

取締役会非設置会社においては、この登記申請の際に、取締役の過半数の一致を証する書面として、取締役決定書を提出することとなります。

なお、本店移転の他にも、支店の設置、支配人の選定、代表取締役の選定等において取締役決定書が必要になることがあります。各種手続において、登記申請の要否や、取締役決定書の要否、その他にどのような書類が必要となるか等について、事前によく確認しておきましょう。

本店移転の登記申請において取締役決定書の他に必要な書類

本店移転に関する登記申請に必要となる書類は、大要以下のとおりです。なお、下記のとおり、定款変更の要否等の個別事情に応じて、必要となる書類の内容が異なる場合があります。

  • 登記申請書


  • 取締役会議事録(取締役会設置会社の場合)又は取締役の過半数の一致を証する取締役決定書(取締役会非設置会社の場合)


  • 本店移転に伴い定款変更が必要となる場合

上記に加えて、

▪ 変更に係る株主総会議事録

▪ 株主リスト…登記する会社の株主の情報を記載した法務局所定の書面


  • 登記所の管轄区域外に本店を移転する場合

上記に加えて、

▪ 印鑑届出書…会社代表印を法務局に届け出る書面

▪ 印鑑カード交付申請書…会社代表印に係る印鑑証明書の発行のために必要となる「印鑑カード」を取得するための書類


  • 登記手続を司法書士等の代理人に依頼する場合

上記に加えて、

▪ 委任状


登記申請書や取締役決定書を含めた各書類のテンプレート・書式は、法務局Webサイトからダウンロードできますので、書類の準備にあたって参考にするのがよいでしょう。

本店移転の取締役決定書の書き方・テンプレート

前述のとおり、取締役決定書については、法令上特に記載すべき事項に関する規定は設けられていませんが、本店移転に関する登記申請の添付書類として取締役決定書を作成する場合には、具体的にどのような書面を作成すればよいのでしょうか。

本店移転の取締役決定書の記載事項

取締役会非設置会社の本店移転に関する取締役決定書は、前述のとおり登記申請にあたって提出が必要となる書類の一つです。

取締役決定書の記載事項は、特に法令等では定められていませんが、本店移転に関する登記事項は、移転後の本店の所在場所及び移転年月日とされていますので、取締役決定書にも、それらの内容を決定事項として含める必要があります。また、取締役決定書は、ある取締役の一致(取締役の全員又は過半数の一致)を証する書面として提出するものであることから、決定した取締役の氏名や決定のための協議の結果についても記載することとなります。

本店移転に関する取締役決定書には、一般的には以下のような事項が含まれています。

  • 決定の日付

※後掲テンプレート内の「令和○年○月○日」

  • 決定のための協議の結果(全員一致、過半数一致など)

※後掲テンプレート内の「当会社取締役の全員一致(又は過半数)をもって」

  • 決定事項

▪ 移転日

※後掲テンプレート内の「移転の時期は、令和○年○月○日とする」

▪ 移転先の住所

※後掲テンプレート内の「本店を○県○市○町○丁目○番○号に移転する」


  • 決定した取締役の氏名

※後掲テンプレート内の「取締役○○○○ 同○○○○ 同○○○○」

  • 押印(代表取締役は法務局に届け出た会社代表印、それ以外の取締役は認印を用いて捺印することが一般的)


取締役決定書のテンプレート・書式

取締役決定書のテンプレート・書式は、法務局Webサイトからダウンロードすることができます。
なお、登記所の管轄区域外に本店を移転する場合でも、管轄区域内で本店を移転する場合でも、一般的に記載すべき事項は同様です。

ご自身で取締役決定書を準備される場合には、この法務局Webサイトで公開されている以下のひな形を参考にしつつ、会社の実情に合わせて必要な修正を加えて、Word等のワープロソフトで作成するのがスムーズでしょう。

【無料】本店移転の取締役決定書のテンプレートを今すぐダウンロードできます

「今後、会社の移転を予定していて、取締役決定書のテンプレートを探している」
「取締役決定書を自分で作成しようと調べてみたけど、決まったフォーマットがなくてどのように書けばいいのかよくわからない」
「取締役決定書の作成のためだけに司法書士などの専門家に相談したくない」

このような方のために、今すぐ使える決算期変更の株主総会議事録のテンプレートを用意しました。

司法書士が監修しているテンプレートなので、安心してお使いいただけます。



本店移転の取締役決定書のテンプレートはこちら
本店移転の取締役決定書のテンプレート

専門家への依頼も合わせて検討することがおすすめ

このように、本店移転における必要書類については、法務局Webサイトでテンプレートも公開されており、取締役決定書を含めてご自身で各書類を準備することも可能です。

もっとも、取締役決定書に記載すべき内容は法令等でも定められておらず、各会社の実情に応じてテンプレートの内容を調整することが必要になるほか、前述のとおり、移転先の新本店所在地によっては定款変更や印鑑届出の手続も必要となり得るなど、複雑な側面があることも否定できません。したがって、もし手続に不安がある場合や、迅速かつ確実な手続の実施を希望される場合には、信頼できる専門家への依頼もご検討いただければと思います。

【最短7分10,000円】本店移転登記の書類を自分で作成、法務局に行かずに申請できます

オフィス移転で必要になる登記変更は、自分でやるにしても書類作成方法など調べる対象が多岐にわたります。

とはいえ士業など専門家にお願いするとしてもやりとりには意外に手間がかかるもの・・・でも社内では自分(=代表者や役員)が対応するしかない、という方も多いのではないでしょうか?

GVA 法人登記なら、申請する登記に合わせた変更情報を入力すれば手続きに必要な書類を最短7分10,000円で自動作成。法務局に行かずに申請できます。本店移転と同時に代表者の住所変更が生じるケースなど、複数種類の申請にも対応しています。

株式、合同、有限会社それぞれの本店移転に対応。書類作成だけでなく、印刷や製本、登記反映後の登記簿謄本(登記事項証明書)の取得をサポートするオプションプランも充実。申請に必要な収入印紙もセットで購入できます。


ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます

登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。

本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。


GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(本店移転の場合)

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 取締役決定書
  • 取締役会議事録
  • 登記申請書
  • 登記申請書(管轄外用)
  • 印鑑届書


さらにGVA 法人登記で登記書類を作成していただいた方全員に「登記申請手続きマニュアル」をお渡ししております。作成した登記書類の製版方法や、押印する場所についてすべてまとめておりますので、流れの通りに進めるだけで手続きを終えることができます。

オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、書類作成後、押印し郵送するだけで登記申請ができるため、法務局に行かずに登記申請が可能です。仕事が忙しく法務局に行く時間がない方や、効率的に手続きを進めたい方におすすめです。

【期間限定】1,000円OFFクーポン配布中!

クーポン利用手順
GVA 法人登記の会員登録(無料)
②購入前のクーポンコード入力画面で【 Ug3JNAS7sB 】を入力


\Webでカンタン自分で変更登記/


執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

本Webサイト内のコンテンツはGVA 法律事務所の監修のもと、BtoBマーケティングおよび司法書士事務所勤務経験者が所属する編集部が企画・制作しています。

GVA TECH株式会社では、「GVA 法人登記」だけでなくAI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist」などのリーガルテックサービスを提供しています。

サービス詳細を見る