介護・医療・飲食業の本店移転登記 あわせて必要な許認可変更届をまとめて解説

本店移転
投稿日:2026.08.04
介護・医療・飲食業の本店移転登記 あわせて必要な許認可変更届をまとめて解説

会社の拠点を移す本店移転。会社の住所が変わる際は、法務局で「本店移転登記」を行う必要がありますが、「介護・医療・飲食業といった「許認可」が必要な業種の場合、法人変更登記だけで一安心というわけにはいきません。

これらの業種は、移転にともなって行政機関への許認可の変更手続き(変更届や再申請など)が必須となります。手続きを怠ったり、スケジュールを間違えたりすると、最悪のケースとして「移転先で一時的に営業ができない」という事態に陥るリスクもあります。

本記事では、介護・医療・飲食業が本店移転をする際に必要な「登記」と「許認可変更」の手続きについて、注意点とあわせて分かりやすく解説します。

まずはここから!本店移転登記の基本(全業種共通)

どのような業種であっても、会社の住所(本店所在地)を変更した場合は、移転した日から2週間以内に法務局で本店移転登記をする義務があります(会社法第915条第1項)。
本店移転登記には、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

移転のパターン

概要

登録免許税(税金)

管轄内移転

これまでと同じ法務局の管轄エリア内での移転

3万円

管轄外移転

別の法務局の管轄エリアへの移転(例:東京都港区から横浜市へ移転など)

6万円(3万円×2枚)

登記が完了して新しい「履歴事項全部証明書(登記事項証明書)」が発行されて初めて、各種許認可の変更手続きに進むことができます。そのため、「まずは登記を最優先で終わらせる」のが鉄則です。

【業種別】本店移転にともなう許認可変更手続き

ここからは、本題である「介護」「医療」「飲食」の各業種で必要となる、具体的な許認可手続きを見ていきましょう。

① 介護業(訪問介護、通所介護など)

介護ビジネス(介護保険事業)は、都道府県や市区町村などの「指定権者」から事業者指定を受けています。そのため、本店移転(特に事業所の移転をともなう場合)には厳格な手続きが必要です。

  • 主な提出先: 指定権者(都道府県の介護保険課、または市区町村の高齢者福祉課など)
  • 必要手続き: 変更届出書(変更届)の提出
  • 提出期限: 変更があった日から10日以内(※自治体によっては事前の相談・申請が必要な場合もあります)

💡 介護業の注意点
介護事業所は、人員基準や設備基準(事務室の広さや鍵付き書庫の有無など)が細かく定められています。物件を契約した後に「基準を満たしていないから移転できない」というトラブルを防ぐため、必ず物件契約前に指定権者へ図面等を持って事前相談を行ってください。

② 医療業(医療法人、クリニックなど)

医療法人やクリニックの移転は、人の生命・健康に関わるため、行政の手続きが最も複雑な業種の一つです。

  • 主な提出先: 保健所、地方厚生局
  • 必要手続き: * 【医療法人】定款変更認可申請、役員変更届など
    • 【診療所・クリニック】診療所開設届出事項変更届(または一度「廃止」して新住所で「開設届」を出し直すケースもあります)
    • 【共通】保険医療機関指定申請(地方厚生局)
  • 提出期限: 保健所への変更届は一般的に10日以内。ただし、保険診療を行うための「保険医療機関」の指定は、月単位でのスケジュール管理(例:前月○日までに申請など)が必要になります。

💡 医療業の注意点
同一の市区町村内での移転であっても、保健所の管轄が変わる場合(政令指定都市の区をまたぐ移転など)は、手続きが「変更」ではなく「旧法人の廃止・新法人の開設」扱いになり、必要書類が激増することがあります。

③ 飲食業(レストラン、居酒屋、カフェなど)

飲食店は「食品衛生法」に基づく営業許可を受けています。店舗(本店)を移転する場合の手続きは、移転先がどこかによって大きく変わります。

  • 主な提出先: 移転先を管轄する保健所
  • 必要手続き: * 同じ保健所の管轄内での移転: 営業許可書換交付申請
    • 異なる保健所の管轄外への移転: 旧店舗の廃止届 + 新店舗での営業許可の新規取得
  • 提出期限: 移転(オープン)前、または移転後速やかに

💡 飲食業の注意点
異なる保健所のエリアへ移転する場合、実質「新規オープン」と同じ扱いになります。物件の内装工事が終わった後に、**保健所の食品衛生監視員による実地検査(施設検査)**をクリアしなければ営業許可書が発行されません。また、深夜0時以降もお酒を提供する場合は、別途警察署(公安委員会)への「深夜酒類提供飲食店営業の届出」も再提出が必要です。

許認可のある業種が本店移転で失敗しないためのスケジュール

介護・医療・飲食業の本店移転をスムーズに進めるための理想的なスケジュール感は以下の通りです。

【移転の数ヶ月前】 移転先候補の選定・図面を持って行政(保健所・指定権者など)へ事前相談
     ↓
【物件契約・工事】 物件の契約、必要に応じた内装工事の実施
     ↓
【移転完了(引越し)】 新オフィス・店舗での業務開始
     ↓
【2週間以内】      法務局へ「本店移転登記」を申請(★最優先)
     ↓
【登記完了後】     新しい登記事項証明書を取得し、各行政機関へ「許認可の変更・申請」

一番の罠は、「登記が終わらないと、許認可の正式な変更手続きが進まない」という点です。登記の手続きに手間取って1ヶ月近く経過してしまうと、その後の許認可手続きも後ろ倒しになり、営業活動に深刻な影響を与えてしまいます。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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