債権者保護手続きとは?必要な場合や方法、注意点をわかりやすく解説

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債権者保護手続きとは?必要な場合や方法、注意点をわかりやすく解説

資本金や準備金の減少、合併や分割など、会社にとって重要な変更が生じる場合には、株主の承認を得る手続きだけでなく、会社の債権者を保護するための手続き(債権者保護手続き)が必要になることがあります。


では、具体的には、どのような場合に、債権者保護手続きが必要になるのでしょうか。

また、債権者保護手続きは、どのように進めたら良いのでしょうか。


本記事では、債権者保護手続きについて、必要な場合や方法、注意点を解説していきます。

債権者保護手続きとは

債権者保護手続きとは、簡単にいえば、会社の債権者に対して「異議があったら一定期間内に述べてください」と伝える手続きです。


これは、会社の債権者にとって不利益を及ぼす可能性がある経営判断をする場合には、債権者にも異議を唱える機会を与えて債権者の利益を保護する必要があるためです。


そして、債権者が期間内に異議を述べないときには、その債権者は承認したものとみなされます。


一方、債権者が期間内に異議を述べた場合には、会社は、債権者に対して①弁済、②相当の担保を提供する、③信託銀行等に相当の財産を信託する、のいずれかの対応を取らなければならないとされています。ただし、十分な資産状況がある場合や既に担保を提供している場合など、債権者を害するおそれが無い場合には、異議に対する対応は必要ありません。


債権者保護手続きが必要なケース

債権者保護手続きは、主に減資や組織再編等のケースで必要になります。


資本金・準備金の減少

資本金の額を減少したとしても、直ちに会社の財産が減るものではないですが、減少した資本金を原資として、株主へ配当ができるようになります。


そのため、会社財産が流出する可能性があることから、債権者が債権を回収できなくなるリスクが高くなるため、債権者保護手続きが必要とされています。


なお、準備金を減少する場合にも、原則として債権者保護手続きが必要です。


ただし、例外的に「減少する準備金の額の全部を資本金とする場合」と「資本の欠損填補の範囲内で行われる場合」には、会社財産が流出するわけではないので、債権者手続きは必要ありません。


関連記事:減資とは?増資との違いやメリット・デメリットを解説します

会社の合併

合併は、契約によって、2つ以上の会社が1つの会社になる組織再編です。


合併には、吸収合併と新設合併の2種類の形があります。


吸収合併をする場合には、消滅会社の債権者と存続会社の債権者の双方に対して、債権者保護手続きが必要になります。


新設合併をする場合には、その段階では新設会社が存在しないため、新設会社側の債権者保護手続きは不要ですが、消滅会社の債権者には必要になります。


これは、消滅会社の債務は設立会社に引き継がれますが、債務が承継される存続会社・新設会社の財産状況等によっては、債権回収が困難になるリスクがあるためです。


関連記事:会社の合併とは?種類やメリット・デメリット、許認可の承継について解説します


会社分割 

会社分割とは、会社がある事業に関する権利義務の全部または一部を切り離して、他の会社に承継させる組織再編をいいます。


会社分割には、吸収分割と新設分割の2種類の形があります。


会社分割では、吸収合併と異なり吸収分割会社は消滅しないので、債権者は分割会社に請求することが可能です。


そのため、分割会社の債権者に対しては、常に債権者保護手続きが必要というわけではありませんが、分割会社の債権者のうち、債務の承継により、分割会社に債務の履行を請求できなくなる債権者に対しては、債権者保護手続きが必要です。


また、分割会社が分割対価を株主に交付する、いわゆる分割型分割(人的分割)の場合も、分割会社からの財産の流出となるため、分割会社の債権者に対して、債権者保護手続きが必要となります。


一方、承継会社に関しては、吸収分割の場合は、債務の承継により財産流出の可能性があるため、すべての債権者に対する債権者保護手続きが必要になります。


新設分割では、新設会社が存在しないため、新設会社側の債権者保護手続きは不要です。


関連記事:会社分割とは?分割の種類や事業譲渡との違い、メリット・デメリットについて解説

株式交換・株式移転

株式交換と株式移転は、完全親子会社関係を生じさせる組織再編です。


株式交換・株式移転では、株主が変わるだけであるため、原則として債権者に不利益は生じません。


そのため、債権者保護手続きは、原則として不要です。


ただし、新株予約権付社債の社債にかかる債務を株式交換完全親会社・株式移転設立完全親会社が承継する場合には、完全子会社の新株予約権付社債権者は、異議を述べることができます。


また「交換対価が完全親会社の株式等以外の場合」と「新株予約権付社債に関する債務を完全親会社が承継する場合」については、株式交換完全親会社の債権者も異議を述べることができます。


債権者保護手続きの方法

債権者保護手続きが必要になる場合には、具体的には、次のような方法で会社債権者に異議を述べる機会を設けることになります。


債権者保護手続きの方法

債権者保護手続きは、原則として「官報公告」と「知れたる債権者(会社が把握している債権者)への個別の催告」によって行わなければなりません。


「官報公告」には、組織再編等の内容や計算書類に関する事項、債権者が1か月以上の一定期間内に異議を述べることができる旨などを掲載します。


なお、「知れたる債権者への個別の催告」については、「官報公告」に加え、定款に定める公告方法に従って、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法または電子公告にも公告した場合には省略することもできます。


つまり①「官報+知れたる債権者への催告」または②「官報+日刊新聞紙または電子公告」の方法で債権者保護手続きを行うことになります。


もっとも②の方法が利用できるのは、定款で公告の方法を「日刊新聞紙」または「電子公告」と定めている会社に限られます。


定款で公告の方法を「官報」としている会社については、①の方法によることになるので注意が必要です。


関連記事:公告とは?基礎知識から公告の方法、変更手続きについて解説します

会社分割における特別の定め

吸収分割・新設分割においては、個別に催告を受けなかった債権者(個別の催告を省略できる場合を除く)を特に保護する規定があり、個別に催告を受けなかった分割会社の債権者については、分割会社に対しても、債務の履行を請求できるとするものです。


なお、保護される債権者は、分割会社が把握していない債権者も含まれる場合があります。


債権者保護手続きの注意点

債権者保護手続きは、公告または催告をしてから最低1か月以上は、異議を述べられる期間を確保する必要があります。


そのため、債権者保護手続きが必要なケースでは、あらかじめスケジュールをたてて、効力発生日よりも前に済ませることができるように注意しなければなりません。


なお、組織再編等の登記の申請では、債権者保護手続きを行ったことを証明する書面を提供する必要があります。


万が一、債権者保護手続きが完了していないにも関わらず登記を申請すれば、組織再編そのものがやり直しになる可能性があるので、十分注意する必要があります。


まとめ

本記事では、債権者保護手続きについて、必要な場合や方法、注意点を解説していきました。

会社の債権者にとって不利益を及ぼす可能性がある組織変更等を行う場合には、債権者保護手続きが必要かどうかも確認することが大切です。債権者保護手続きが必要な場合には、十分な期間を確保した上で、確実に効力発生日までに間に合うよう注意しましょう。


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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)

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