新型コロナの影響やDX化の推進などから昨今では一定の場所に集まって会議や集会を行うことは可能な限り避け、Web会議やテレビ会議など参加者は遠隔地から会議に参加するという開催形式が一般的な流れとなりつつあります。
こうした流れを受け、会社における重要な会議体である取締役会においても同様にリモートでの開催を実施・検討する会社が増えています。
しかし、取締役会で決定される事項は内容によっては、決議後に登記手続きを行う必要のある事項も含まれます。
そのため、リモート開催に当たっては会社法の定めなどに配慮し適法に行うように配慮する必要があります。
そこで、今回は取締役会をリモートで開催する際の注意点やポイントについて解説します。
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取締役会をリモートで開催する方法
1.1取締役会のリモート開催の可否
会社法上、取締役会は3か月に1回以上は開催する必要があり、取締役の過半数が出席することが要件となっています(会社法(以下「法」)第363条第2項参照、法第369条第1項)。しかし、出席する取締役は現実の場所へ出席する義務を定めた条文はありません。
また、取締役会を開催した場合には取締役会議事録を作成する必要がありますが、取締役会議事録への記載内容を定める会社法施行規則(以下「規則」)においても、「当該場所に存しない取締役」という定めがあります。
このことから、法は取締役会のリモート開催はあらかじめ想定していたものと考えられています(法第369条第3項、規則第101条第3項第1号括弧書き参照)。
そのため、会社法において取締役会のリモート開催は禁止されておらず、実務においてもコロナ禍より以前からテレビ会議などによってリモートでの開催は行われてきました。
1.2取締役会をリモート開催する方法
取締役会をリモートで開催する方法はいくつか考えられますが、方法選択をする上で重要な考慮事項となるのが、法務省民事局の平成8年4月19日付見解です。
以下、見解の一部を抜粋します。
「取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応がよく分かるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時にほかの取締役に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる仕組みであれば、テレビ会議システムによる取締役会も認められる。」
したがって、方法選択をするにあたっては①即時性と②双方向性の2点が求められることになります。これらを満たす方法として考えられるものとして、以下が挙げられます。
・テレビ会議システムを利用する方法
・zoomなどのWeb会議システムを利用する方法
その他の方法としては、電話会議が考えられますがこれについては、例えばスピーカーフォンにして出席者が一堂に会するのと同等に適時的確に意見表明が互いにできる状態が、議決の間維持されていれば問題ないものと考えられています。
そのため、例えば出席していない取締役に対し出席している取締役や事務局が電話をかけ、その者とのみ通話をして決議に参加するという形式ではこれを満たさないものと考えられています。
1.3みなし取締役会との違い
取締役が出席しないで決議を行う方法としてはみなし取締役会(法第370条)が会社法に存在します。
しかし、このみなし取締役会は、取締役の開催自体を行うことなく書面やメールなどによって決議を行う方法です。
そのため、リモート開催とは取締役会自体の開催の有無という点で異なります。
取締役会のリモート開催をする場合の注意点
2.1開催に当たっての注意点
取締役会をリモート開催するにあたっては以下の点に注意が必要です。
①即時性と双方向性を満たす方法が取られていること
前述の通り、リモートでの開催にあたってはこの2つを満たしていることがリモート開催の要件となります。
即時性とは、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わるものとなっているかというものであり、双方向性は、自由に意見交換できる結果、適時的確な意見表明が互いにできることを意味します。
テレビ会議システムやWeb会議システムでは、画像や音声がリアルタイムで各取締役に届けられ、システムを通じて意見交換や協議が自由に可能です。
そのため、即時性も双方向性も満たしているため適切な方法と説明ができます。このような即時性と双方向性を満たす方法を取らなければ、取締役会の開催自体が無効となるリスクがあるため注意が必要です。
②通信不調の際の対応
Web会議システムを利用する際に想定されるリスクのうち最も起こる可能性が高いのがこの問題です。
先ほどご説明した通り、リモート開催には即時性と双方向性の二つを満たすことが必要であり、通信の不調によりこれらを満たさなかった場合には、一人または一部の取締役に生じた場合には、その時間帯について当該取締役は取締役会に出席していないことになります。
こうした場合には、回復した際にその間のやり取りの内容を伝えた上で意見を求める、または意見が無いか確認するなどの方法を取るか、あらかじめ別の方法も用意しておき、すぐにそちらに切り替えるなどの準備を事前にしておく必要があります。
③招集通知への記載
株主総会と異なり、取締役会の招集通知については特に法定された記載事項はありません(法第368条第1項参照)。
ですが、各取締役が出席の機会を失ってしまうことのないように日時・場所に加えて議題などについても通知を行うのが一般的です。
リモート開催の場合には以上に加えて、Web会議による場合にはどのシステムを使うのか、参加するためのURLやID、パスワードを通知する必要があります。
メールで以上の通知を行う場合には、開封確認をつけて送信することや、返信を求める一文を添えておくなどの配慮も実務をする上では重要となります。
2.2議事録作成の際の注意点
取締役会決議が完了したら次は議事録の作成です。リモート開催の場合には以下の点に注意して議事録を作成する必要があります。
①取締役会が開催された場所の記載
取締役会議事録には、「取締役会が開催された日時および場所」を記載する必要があります(規則第101条第3項第1号)。リモート開催の場合、特に全員がWeb会議などで参加した場合の場所はこの場合どこを記載することになるのでしょうか。
この点については、会社法上、必ずどこかの場所を設定する必要があり、完全なオンラインで取締役会を開催することは現状できません。そのため、実務的には議長の参加する場所を開催場所として記載するのが現実的な対応になります。
②リモート開催する事及び即時性と双方向性の確認の記載
リモート開催の要件として即時性と双方向性を満たしていることが必要であることはご説明してきましたが、この条件を満たしていることを確認したことは議事録に記載しておくことが望ましいでしょう。
記載内容としては、開会する際に議長がリモート開催であること、即時性と双方向性を満たす状態であったことを確認した旨を記載します。
2.3電子署名を利用する際の注意点
取締役会議事録には、出席取締役及び監査役が署名または記名押印する必要があります(法第369条第3項)。
これは紙も電磁的記録(データ)での作成も認められており、リモート開催の場合には電磁的記録で作成した上で、電子署名を用いることによって署名する方法が当然想定されます(法第369条第4項、規則第225条第1項第6号、同条第2項)。
この取締役会議事録への電子署名については、規則に定める電子署名の要件を満たす必要があります。電子署名については様々なサービスがありますが、現在の法務省は一定のクラウド型の電子署名サービスについても、この電子署名を満たすものとして取り扱っています。
今後電子署名サービスの形態が増えた場合には利用しようとするサービスがこれを満たすものかという点は確認しておいた方が良いでしょう。
取締役会のリモート開催の場合と登記手続き
取締役会をリモート開催した場合の登記手続きにおける注意点としては、添付書類となる取締役会議事録について登記手続きで用いるためには、使用可能な電子署名が限定されているという点です。
登記手続きで使用可能な電子契約サービスについてはこちらをご確認ください。
まとめ
取締役会をリモートで開催する場合には、開催にあたって注意すべき点のほか、議事録への記載についても注意すべきポイントがあります。本記事を参考に適法にリモートでの取締役会を開催しスムーズな登記手続きを行いましょう。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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