会社(法人)の解散と清算の違い

株式会社の基礎知識
投稿日:2024.11.12
会社(法人)の解散と清算の違い

会社は法人ですから、人のように寿命があるわけではありませんが、もちろん終わることもあります。会社を終わらせる手続きを「解散」と言いますが、一方で「清算」するという言葉も聞いたことがあるかもしれません。ここでは、株式会社の解散とは何か、清算とは何か、またこの2つにはどのような違いがあるのかなどをご説明します。

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株式会社の解散とは?

解散とは、会社を消滅させる状態に入ることを指します。そのため、解散しただけでは会社は消滅しません。

解散は、以下のようなケースに行われることがあります。

  • 既に営業活動を行っていない、営業活動を終了する。
  • 会社の実績が悪化しており、回復の見込みが低い。
  • 経営者が高齢や病気だが、後継者がいない。
  • 事業規模も縮小し、納税や決算報告の煩雑さから解放されたい。


以上のように、会社としての意義が無くなったり、継続させることが困難となったりした場合に、会社の経営判断として会社を消滅させようとする状態にすることがあります。これが「解散」です。ただし、あくまでも消滅させる状態になっただけなので、解散しても直ぐに消滅するわけではありません。資産の換価手続きや負債の弁済などの債権・債務を整理する必要があります。

株式会社が解散するためには?

株式会社が解散する原因は、以下のようなものがあります。

①定款で定めた存続期間の満了
定款に「当社の存続期間は30年間とする」と規定した場合、会社を設立して30年後に自 動的に解散となります。

②定款で定めた解散事由
定款に「●●ダムが竣工したときは解散する」などと規定した場合、その目的が達成さ れることで自動的にに解散となります。

③株主総会の決議
株主総会は、株式会社の最高意思決定機関ですので、解散を決議するには、株主総会の 特別決議が必要となります。

④合併
他の会社と合併し、消滅する場合は、当該合併により解散することになります。

⑤破産手続開始の決定
破産手続きとは、会社の経営が困難になった場合に、裁判所に破産の申し立てを行い、裁判所の監督のもとで清算を行うことです。この手続きの開始が決定すると解散することになります。

⑥裁判所の解散命令
裁判所は、公益を確保するために会社の存立を容認できない場合には、解散を命じることができます。解散命令により、解散することになります。

⑦休眠会社のみなし解散
休眠会社とは、最後の登記から12年経過した株式会社をいいます。休眠会社は一定期間内に事業を廃止していない旨の届出や必要な登記をしない限り、解散したものとみなされます。


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株式会社の清算とは?

株式会社は、解散したからといって直ぐに消滅するわけではありません。まだ会社には、資産や負債が残っているからです。会社が消滅するには、資産や負債といった債権・債務を整理し、残った財産を分配する手続きが必要です。これを「清算」といいます。

株式会社清算の手続きとしては、会社の状況に応じて2つの方法があります。

通常は、会社が自ら清算手続きを行いますが、債務超過の恐れなどがある場合には、裁判所の監督の下で行われる「特別清算」の手続きが行われます。

解散から清算結了までの流れとは?

①解散~清算人の選任

株式会社の解散は、一般的に株主総会の決議によって決定します。この場合の決議は、特別決議で行わなければなりません。特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成をもってする決議のことです。

また、解散の決議と同時に、清算人の選任も決議する場合があります。清算人とは、実際に清算事務を執行していく人のことです。定款で定めた者や取締役がそのまま清算人となる場合もありますが、通常は株主総会で選任された者が清算人となることが多いです。

株主総会が終了したら、解散から2週間以内に、法務局で「解散と清算人選任」の登記を行います。

②財産の調査~債権者の把握

解散後は、清算人が清算事務を行っていきます。会社の財産を調査し、財産目録と貸借対照表を作成します。

また、官報公告と知れたる債権者に対する催告を行い、債権者からその債権を申し出てもらい、債権・債務の状況を把握していきます。この期間内に申出のなかったものについては清算から除斥されます。

なお、この申出期間は2か月を下回ることはできず、この期間内には債務を弁済することはできません。どうしても弁済する必要があるときは、裁判所の許可を得た上で弁済することになります。

③財産の清算~手続きの完了

財産や債権者が確定したら、清算人は、残っている業務があれば完了させ、不動産等の財産があれば売却などの換価処分を行い、未回収の債権(売掛金など)があればそれを回収します。

一方で、債務(借入金、買掛金など)があれば弁済をしていき、債務をゼロにします。債務がゼロとなって状態で残っているプラスの財産は、残余財産と言われ、最終的には株主に分配されることになります。

以上の手順で、プラスの財産もマイナスの財産もゼロとなったら、清算事務が完了です。最後に、清算人は決算報告書を作成し、株式総会で承認を受けます。

承認を受けて2週間以内に、清算結了の登記申請を行います。これで、会社の登記記録が閉鎖されます。

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清算の注意点とは?

清算手続きの最大のポイントは、清算人の選定です。

定款で定めた人、株主総会で選任された人が清算人となりますが、会社の関係者(取締役など)がそのまま清算人に就任される場合が少なくありません。しかし、清算人には専門的な知識が必要な上に、清算手続きはとても煩雑です。

清算手続きの段階で、債権者や債権・債務の清算について漏れなどがあれば、後々トラブルに発展します。できれば、清算手続きを専門にしている弁護士などに依頼するようにしましょう。報酬はかかりますが、不慣れな清算人の不手際で、後でトラブルになるよりも良いはずです。

まとめ

株式会社の解散とは、今までの営業活動を終わらせて会社を消滅させる状態に入ることで、清算とは、解散後に会社が所有している財産、借金等を整理する手続きのことを指します。

清算事務を行う清算人は、通常、会社の関係者(取締役など)がそのまま就任することも少なくありません。しかしながら、清算手続きは、会社の規模や財産、債権債務の状況から、専門的で煩雑な手続きが必要となる場合があります。

そのため、必要に応じて、弁護士や公認会計士、税理士などに相談しながら進めるようにしましょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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