株主総会で計算書類の承認が必要な企業は?報告事項の流れや提出先を解説

株式会社の基礎知識
投稿日:2024.08.23
株主総会で計算書類の承認が必要な企業は?報告事項の流れや提出先を解説

株主総会は企業の重要な意思決定が行われる場としての役割が非常に大きい機関です。また計算書類の承認は、企業の財政状態や経営の透明性を確認し、株主の信頼を確保するための重要なプロセスです。 

日本においては会社法に基づき、条件を満たす企業は株主総会で計算書類の承認を受けることが義務付けられています。そこで本記事では、計算書類の承認が必要な企業の条件、その背景、承認プロセスの流れについて詳しく解説します。

自分で変更登記をするなら司法書士監修のGVA 法人登記が便利です

必要情報をフォームに入力するだけでかんたん書類作成
費用と時間を抑えて変更登記申請したい方におススメです

【各リンクからお進みください】
①会員登録前に利用方法を確認できる無料体験実施中
②GVA 法人登記の料金案内(専門家に依頼する場合と比較できます)
③オンラインサービスを利用して登記手続きを検討されている方はこちら

計算書類とは?

計算書類は会社の財政状態や経営成績などを明確にするための重要な資料です。具体的には貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4種類のことです(会社法第435条2項、会社計算規則第59条1項)。
これらは会社法の規定に従って、株式会社に対して作成が義務付けられています。

計算書類と附属明細書との違い

一方、計算書類に係る附属明細書は計算書類の内容を補足する重要な事項を記載する書類のことです(会社法第435条2項、会社法施行規則第118条1号参照)。

計算書類に係る附属明細書の記載事項は、株式会社の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表の内容を補足する重要な事項を記載しなければならないとされています(会社計算規則117条)。

具体的には、有形固定資産および無形固定資産の明細、引当金の明細、販売費及び一般管理費の明細、関連当事者との取引の注記について、省略した事項があるときはその事項(会社計算規則112条1項但書)についての記載が必要です。

関連当事者との取引の注記について、省略した事項があるときはその事項については「公開会社以外の会社は記載が不要」とされています。つまり、記載が求められるのは公開会社です。さらに言うと、会計監査人を設置していない公開会社の中で、関連当事者との取引に関する注記事項を一部省略している会社に限られます。

計算書類と事業報告との違い

事業報告書は決算期ごとに会社の現状を記録し、文書としてまとめたものです。この報告書には、貸借対照表や損益計算書などの数値的な情報では表現できない会社の概要なども含まれています。

事業報告書は、決算書だけでは把握しづらい会社の事業内容や役員・従業員に関する情報を補足説明するために作成される文書です。会社法では、いくつかの会社区分を設けており、それぞれの区分ごとに必要な記載内容が定められています。

計算書類の提出先と提出期限と保存期間

計算書類は、監査役による監査を受け(会社法第436条1項、2項)、取締役会による承認を経た後(会社法第436条3項)、定時株主総会に提出する必要があります(会社法第438条1項)。

取締役会設置会社の場合、定時株主総会の招集通知と同時に計算書類および事業報告を株主に送付することが求められます(会社法第437条)。

計算書類と附属明細書は、定時株主総会の1週間前(取締役会設置会社の場合は2週間前)から5年間、本店に保管する必要があります(会社法第442条1項1号)。また、3年間、コピーを支店にも保管しなければなりません(会社法第442条2項1号)。

計算書類を4つに分類できる

計算書類は上記のように4つに分類でき、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表のことです。この章ではそれぞれについて詳しく解説します。

貸借対照表とは

貸借対照表とはある時点における企業の財政状態を示す書類です。企業の資産・負債・純資産が表形式で示されています。企業の財政状態に関する内訳を詳細に確認できるため、財務上の安定性や課題、経営リスクなどを知るうえで重要な役割を果たします。

損益計算書とは

損益計算書は、一定期間における会社の経営成果を示す書類です。この書類には、収益(売上など)、費用(コスト)、利益(収益-費用)が記載されており、利益計算の過程でどこにどれだけの支出があったかを把握することができます。

そのため、会社が「どれほどの利益を上げ、どの程度の損失が発生したか」を知ることができ、会社の「収益性」を分析するのに役立ちます。

株主資本等変動計算書とは

株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産部分で一会計期間中に見られる変動のうち、主に株主資本に帰属する項目の変動理由を報告するために作成される決算書です。

具体的には、「株主資本が増加または減少した理由」「その変動がどの項目に反映されたか」といった変動の詳細が記載されます。経営分析においてはあまり使われませんが、各数字が何を示すのかを理解しておくと良いでしょう。

この書類は、売上高や販売費などを経て利益を計算する損益計算書とは異なり、株主資本の変動を一覧で示すものです。

個別注記表とは

個別注記表とは、貸借対照表に関する注記、損益計算書に関する注記など、これまで各計算書類において記載のなされていた注記を一覧表示する決算書です。記載項目には「重要な会計方針に関する注記」や「貸借対照表に関する注記」などがありますが、会社によって必須となる記載項目は異なっています。

決算書の内容を詳しく補足した上で、株主・取引先などの利害関係者に、より詳しく経営の状況を報告するために作成されるものです。

特に株式会社では通常、所有と経営が分離しているため、株主などの利害関係者に対する詳細な経営状況の報告が必要です。

貸借対照表や損益計算書では会社の経済状況に関するデータを公開できますが、会社方針などの細かな情報までは伝えきれません。そのため、個別注記表を活用して会社の細かな経営状況を公開し、利害関係者が状況を明確に把握できるようにすることが重要です。

株主総会で計算書類の承認が必要な企業は

株式会社は各事業年度の計算書類・事業報告・これらの付属明細書の作成が必要です(会社法435条2項)。この章で詳しく解説します。

計算書類の承認の流れ

会社法第436条に基づき、株式会社は計算書類、事業報告、および付属明細書を作成した後、これらは会計監査人設置会社を除く監査役設置会社において、監査役による監査が必要です。その後、決算を承認する取締役会の承認を得ることになります。

一方、会計監査人設置会社では、計算書類およびその付属明細書は監査役と会計監査人の監査を受け、事業報告およびその付属明細書は監査役の監査を受けることになります。

取締役は定時株主総会の招集通知の際に、計算書類および事業報告を株主に提供する必要があります(会社法第437条)。計算書類は、原則として会社法第438条第2項により、株主総会で普通決議によって承認を受けなければなりません。

一方、会計監査人設置会社においては、会社法第439条および会社法施行規則第116条第5項に基づき、会社計算規則第135条の要件を満たす場合、計算書類の内容は株主総会の承認ではなく定時株主総会への報告で済むことになります。次の節で詳しく解説します。

計算書類の承認が必要な企業は「大会社」

資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の会社は、会社法上「大会社」として分類されます。 

これらの会社は、定時株主総会に提出する計算書類について、監査役の監査に加えて会計監査人の監査も受ける必要があります。取締役会設置会社において、会計監査人および監査役の監査報告において適正である旨の記載がされている場合、計算書類は定時株主総会の承認は必要ではなく、その内容を同総会に報告すれば足りるとされています。

なお、大会社にあたるかの判定は、最終事業年度に係る貸借対照表を基準に行われます。次節で詳しく解説します。

大会社とは?

会社法上の大会社とは、最終事業年度に係る貸借対照表で資本金が5億円以上、または負債総額が200億円以上の会社を指します(会社法第2条第6号・第24号)。

ここでいう最終事業年度に係る貸借対照表とは、会計監査人設置会社で定時株主総会の承認を要さない場合、その定時株主総会に報告されたものを指します。また、会社の成立後最初の定時株主総会までの間では、その成立時の貸借対照表を指します(会社法第2条第6号イ)。

なお、期の途中で資本金が5億円以上に増加した場合でも、定時株主総会で承認または報告される貸借対照表で5億円以上となったことが確定して初めて大会社として判断されます。

したがって、資本金や負債の額が増加して大会社となるのは、定時株主総会の終結時であることに注意が必要です。

計算書類の承認が不要な企業

取締役会設置会社かつ会計監査人設置会社の場合、取締役会で承認された計算書類が法令および定款に従って会社の財産および損益の状況を正確に表示しているとされ、法務省令で定める要件を満たす場合には、定時株主総会の承認は不要となります。

その際、取締役は当該計算書類の内容を定時株主総会で報告する必要があります。

一方、会計監査人を設置していない場合は、従来通り会社法第438条の規定に従い、計算書類については定時株主総会で承認を受ける必要があります。

株主総会において計算書類の承認が必要な条件を理解しておきましょう

株主総会における計算書類の承認は、企業の透明性と信頼性を確保するために欠かせないプロセスです。ここまで説明してきた通り、日本の会社法に基づき、一定の条件を満たす企業は株主総会で計算書類の承認を得る義務があります。

この承認プロセスを通じて、株主は企業の財政状態を把握し、適切な経営判断を下すための重要な情報を得ることができます。株主総会での計算書類の承認は、企業と株主の間の信頼関係を強化し、持続的な成長と健全な経営を支える重要な柱となるといえます。

今回の記事が皆様の株主総会における計算書類の承認についての理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

【最短7分5000円~】法人の変更登記の必要書類をカンタン作成できます

法人の変更登記は、手続きごとに必要書類が異なるため、どの申請に何の書類が必要なのかを探すだけでも多くの時間が取られてしまいます。GVA 法人登記なら、変更情報を入力するだけで最短7分・5000円から、オンラインで変更登記に必要な書類の作成ができます。

GVA 法人登記は、株式、合同、有限会社の役員変更や本店移転登記など、10種類以上の変更登記に対応しており、複数の書類作成も可能です。



GVA 法人登記が対応している登記種類

・本店移転(管轄内移転・管轄外移転)
・役員変更(新任、辞任、重任、退任)
・役員の住所変更
・募集株式の発行
・商号変更
・目的変更
・株式分割
・剰余金等の資本組入れ
・ストックオプション

各登記種類の料金は、以下で説明しています。

\ 最短7分5000円~必要書類を作成 /





ステップに沿って入力するだけで必要書類の作成ができます

登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。

本来であれば、法務局にて有料で書類を取得し確認する必要がありますが、GVA 法人登記の、「登記情報自動反映サービス」をご利用いただきますと、システム内で現在の登記情報を無料で取得し、会社基本情報が書類作成画面に自動反映されます。登記知識のない方でもステップに沿って変更情報を入力するだけで簡単に登記書類の作成ができます。



GVA 法人登記で作成できる変更登記書類(例)

・登記申請書
・株主総会議事録
・株主リスト
・印鑑届出書
・就任承諾書(役員就任・重任)
・辞任届(役員辞任)
・準備金・剰余金の額に関する証明書(剰余金の資本組み入れ)
・総社員の同意書(合同会社)
・業務執行社員の同意書(合同会社)

さらにGVA 法人登記で登記書類を作成していただいた方全員に「登記申請手続きマニュアル」をお渡ししております。作成した登記書類の製版方法や、押印する場所についてすべてまとめておりますので、流れの通りに進めるだけで手続きを終えることができます。

オプションのかんたん郵送パックを利用すれば、書類作成後、押印し郵送するだけで登記申請ができるため、法務局に行かずに登記申請が可能です。仕事が忙しく法務局に行く時間がない方や、効率的に手続きを進めたい方におすすめです。

【期間限定】1,000円OFFクーポン配布中!

クーポン利用手順

GVA 法人登記の会員登録(無料)
②購入前のクーポンコード入力画面で【 Ug3JNAS7sB 】を入力





\Webでカンタン自分で変更登記/

執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

本Webサイト内のコンテンツはGVA 法律事務所の監修のもと、BtoBマーケティングおよび司法書士事務所勤務経験者が所属する編集部が企画・制作しています。

GVA TECH株式会社では、「GVA 法人登記」だけでなくAI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist」などのリーガルテックサービスを提供しています。

サービス詳細を見る