「株主総会」と「取締役会」の役割と法律上の違いについて解説

株式会社の基礎知識
「株主総会」と「取締役会」の役割と法律上の違いについて解説

株式会社の機関として「株主総会」と「取締役会」があることは知っていても、具体的にどう違うのかまで正確に説明できる方は、そう多くないかもしれません。

しかし、会社を適正に運営していくためには、「株主総会」と「取締役会」についての正確な知識を持っておくことが必要になります。

特に、「株主総会と取締役会では、どの事項を決議できるのか」を区別して押さえておくことは大切です。

本記事では、「株主総会」と「取締役会」の役割や法律上の違いについて、解説していきます。

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株主総会とは


1-1.株主総会とは

株主総会とは、株主によって構成される会社の意思決定機関です。

株主は、株式会社の実質的な所有者であるため、会社の重要な事項についての意思決定は基本的に株主の理解を得る必要があるとされています。

そのため、株主総会は、すべての株式会社における必置機関になっています。

1-2.株主総会の役割

株主総会の役割は、会社の意思決定といえます。

しかし、具体的な決議事項は、株式会社が取締役会を設置しているかどうかによって大きく異なります。

【取締役会非設置会社】
株式会社に関する一切の事項(会社法に規定する事項および株式会社の組織・運営・管理その他)について決議できます。

取締役会が設置されていない会社は、非公開会社であり、株主と会社との関係も濃いため、株主が決めることのできる事項が多いと考えることができます。

【取締役会設置会社】
会社法上定められた基礎的な重要事項と定款に定めた事項に限り決議できます。

株主総会決議によると定められているのは、次のような事項です。

  1. 取締役や監査役などの機関に関する事項(選任や解任など)
  2. 会社の基礎的な事項や組織に関する事項(定款変更、合併・解散など)
  3. 株主の重要な利益に関する事項(株式の併合や剰余金の配当など)
  4. 取締役が決議することがリスクになる事項(取締役の報酬)


取締役会が設置されている会社では、経営と所有の分離がはかられており、多数の株主がいるケースも少なくありません。

そのため、株主総会では、限定的な重要事項のみを決議することとし、その他の事項は経営陣に任せるという形をとっています。

取締役会とは


2-1.取締役会とは

取締役会とは、会社の業務執行の決定や取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定・解職を行う機関です。なお、取締役会は、公開会社では必置の機関とされています。

もっとも、非公開会社でも、取締役が3名以上・監査役が1名以上いれば、任意に設置することはできます。

2-2.取締役会の役割

取締役会の役割は、「業務執行の決定」「取締役の職務執行の監督」「代表取締役の選定・解職」です。

では、「業務執行の決定」と「取締役の職務執行の監督」について、具体的にみていきましょう。

【業務執行の決定】
取締役会では、上記の①~④のような法令や定款によって株主総会の権限とされた事項を除いて、業務執行の決定を行います。

取締役会から取締役に決定を委任できる事項もありますが、原則として、次の事項や重要な業務執行の決定については委任することはできません。

・重要な財産の処分・譲受け・多額の借財
・支配人などの重要な使用人の選任・解任
・支店などの重要な組織の設置・変更・廃止
・社債の募集に関する重要な事項
・内部統制システムの整備
・定款の定めに基づく役員等の責任の一部免除

【取締役の職務執行の監督】
取締役会で決定された業務執行の内容については、代表取締役などが実行することになります。取締役会には、この業務執行の実行について監督する役割があります。

そのため代表取締役などは、業務執行の状況を3か月に1回以上取締役会に報告しなければならないと決められています。

そして、この報告は取締役会の監督する役割に対する義務であり、たとえ代表取締役がすべての取締役に状況を報告したとしても、取締役会への報告の省略が認められるわけではありません。

株主総会と取締役会の法律上の違い

取締役会設置会社における株主総会と取締役会の違いについて、見ていきましょう。

3-1.決議事項の違い

これまでご説明してきたように、株主総会と取締役会では、決議事項が異なります。

取締役設置会社では、所有と経営の分離をはかるため、取締役会で業務執行に関する決議を行い、株主総会では上記①~④の事項のような基礎的な重要事項に関する決議を行うことになります。

3-2.決議要件の違い

株主総会と取締役会では、決議要件などが異なります。

株式総会では、決議事項の内容に応じて、要件の違う「普通決議」「特別決議」「特殊決議」のいずれかの種類の決議を行います。

一方、取締役会には、株主総会のような「特別決議」や「特殊決議」などの種類はなく、どのような事項でも、基本的に「過半数出席で出席取締役の過半数の賛成」が決議要件になります。

3-3.招集権者など招集手続きの違い

株主総会の招集は、取締役会設置会社では取締役会が決定し、代表取締役が招集します。例外的に、裁判所の許可を得た少数株主が招集権者になることもあります。

一方、取締役会の招集権者は、原則として各取締役ですが、定款等の規定により招集する取締役が定められていることが多いです。また、例外的に株主や監査役なども招集できるケースがあります。

また、招集通知に関しても、異なります。取締役会設置会社の株主総会は、非公開会社でも原則として1週間前までに書面を発送(公開会社や書面・電子投票を採用する非公開会社では2週間前まで)する必要があり、定款で短縮することはできません。

一方、取締役会は、1週間までに招集通知をすることとしているものの、定款で1週間より短い期間を定めることも可能で、招集通知の方法も書面に限られません。

このように、招集手続きに関しても、取締役会よりも株主総会の方が厳格な条件のもとで行われるという違いがあります。
もっとも、会社の根幹にかかわるような重要な事項については、株主総会で決議しなければならないと規定されているので、決議機関を十分に確認しながら手続きを進めることが大切です。

まとめ

本記事では、「株主総会」と「取締役会」の役割や法律上の違いについて、解説していきました。

取締役会設置会社においては、法令や定款によって株主総会で決議しなければならないと規定されている事項以外は、基本的に取締役会で決定することができます。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)

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