本記事では、株式会社の株式実務で採用されている「単元株」について知りたいと考えている方に、単元株のメリット・デメリットや登記の必要性などについて詳しく解説します。
特に上場を考えている会社の経営者にとっては、資金調達において必要な知識です。単元株についての正確な知識を身に付けて会社経営の役に立てていただきたいと思います。
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単元株とは?ルールやメリット・デメリット、登記の流れを解説します

単元株とは?
株式会社の実質的な所有者を株主といい、株式会社の経営権は本来株主にあります。
しかし、株主は経営の素人であることが多いので、株主が経営のプロである取締役を選任して会社の経営を委任しています。
その株主の意思決定の場が株主総会です。株主総会では会社の経営に関する重要な事項の決議がなされ、株主は1株につき1議決権を持つのが原則です。
その例外の1つが単元株です。単元株とは、一定数の株式を1つにまとめたものを1単元として定款に規定することで、1単元につき1議決権とすることができます。(会社法第188条第1項、第189条第1項)
単元株制度のルール
株式会社が一定の数の株式を1単元として定款に定め、株主総会における議決権を1単元につき1議決権とすることを単元株制度といいます。
この制度を採用すると単元未満の株式には、議決権が認められなくなります。
しかし株主にとって株主総会の議決権はたいへん重要な権利ですので、議決権を制限することになる単元株制度の採用には以下のような厳格なルールが定められています。
1単元の株式数の制限
1単元とすることのできる株式数には、1,000株以下及び発行済株式の総数の200分の1以下という上限が定められています。
これは、株主にとって大切な権利である株主総会での議決権の過度の制限とならないように、一定の歯止めを設ける趣旨です。(会社法第188条第2項、会社法施行規則第34条)
議決権以外の権利の制限も可能
単元株制度は議決権の制約を主な目的とする制度ですが、議決権以外にも、単元未満株主の権利は制限することができます。
しかし、「剰余金の配当」「残余財産の分配」などの一定の権利については制限することはできません。これらは、株主の権利の根幹として保護される必要があるからです。(会社法第189条第2項、会社法施行規則第35条)
単元未満株式の買取請求権
単元未満株主は、所有する単元未満株式の買い取りを当該株式会社に請求することができる「買取請求権」を有します。(会社法第192条)
単元未満株式の場合、第三者へ譲渡することが困難な場合もあり、投下資本の回収の機会を確保するため、買取請求権が与えられています。
単元未満株主の売渡請求権
株式会社は、「単元未満株主が当該株式会社に対して、単元株となる数の単元未満株式の売渡請求をすることができる旨」を定款で定めることができるとしています。(会社法第194条)
これによって単元未満株主は、自分の保有する単元未満株式と会社から買い取った単元未満株式とを合わせて1単元とすることができます。
単元株制度のメリット・デメリット
単元株制度には採用する企業・株主から見て以下のようなメリット・デメリットがあります。
単元株制度のメリット
単元株制度を採用する会社側のメリットとしては、株主管理コストが削減できるという点があります。
株式会社は1年に1度は必ず株主総会を開催する必要があります。
株式会社の実質的な所有者は株主になるので、1年の事業報告を行い、決算の承認を受けます。
株主総会へ出席し議決権を行使することは、株主にとって重要な権利です。
しかし、多数の株主が存在する場合、少数の株しか保有していない株主にまで株主総会の招集通知を発送しなくてはならないとなると、会社の経済的なコストが増えてしまいます。
その点、単元株制度を採用し、単元未満株主の株主総会での議決権を制限できることとすれば、会社にとっての経済的な負担は軽減されます。
株主管理コストだけを考えれば、1株当たりの出資金の割合を大きくすることで、全体としての株式数を少なくすることでも同じ目的は果たすことができるとも考えられます。
しかし1株当たりの出資金の金額が大きくなると、株主にとっては出資しづらくなるというデメリットにつながります。出資する株主の数が減れば、会社にとっては必要な資金調達ができない可能性もあります。
単元未満株主でも配当請求権や残余財産分配請求権などの権利は制限できないので、経済的な権利さえ得られれば出資してもよいと考える株主にとっては、議決権はなくても出資単元は小さい方がメリットがあるとも考えられます。
つまり単元株制度を採用することで、会社にとっては株主管理コストの削減になり、株主にとっては出資金額の最低単位が小さくなり出資しやすくなるという両者にとってメリットが得られることになります。
単元株制度のデメリット
会社側にとって、単元株制度を取ることのデメリットは、制度の準備作業などの工数を除くとほとんどありません。
一方、株主からみると「議決権などの株主権の一部が制限されることになる単元を会社側が自由に変えられること」は重要な株主の権利の制限となるため、デメリットになり得ます。そのため、会社側の一存だけでこのような不都合が生じないように、単元株制度を新設したり、単元株式数を増加するには株主総会での特別決議が必要とされ、簡単には変更できない仕組みとされています。
単元株の設定・変更に必要な手続き
単元株の設定や変更は株主にとって重要な意味を持ちますので、登記事項とされています。では、これらはどのような流れで行われるのでしょうか?
単元株の設定・変更の決議
単元株制度を採用するには、定款にその旨を規定する必要があり、定款変更には、株主総会の特別決議が必要となります。
定款とは会社にとって重要な根本規則が定められたものですので、定款変更には「株主総会の特別決議」という株式会社で特に厳格な手続きが必要とされています。
単元株制度を採用している会社が、1単元の株式数を増やす場合にも同様の手続きが必要になります。
例外として、単元株制度の変更に関わる場合でも、次の場合には取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって行えることとされています。
- 単元株式数を減少するとき(会社法第195条)
- 単元株式数についての定款の定めを廃止するとき(会社法第195条)
- 株式の分割と同時に単元株式数を増加するか、単元株式数について定款に定める場合で、かつ単元株式数変更後の各株主の議決権数が変更前の議決権数以上であるとき(会社法第191条)
以上の場合には、株主の権利の制限を緩和する方向への変更となるため取締役の決定または取締役会の決議によって行えるようになっています。
決議後は変更の登記申請が必要
単元株の設定や変更を行う際には、定款変更とともに登記が必要となります。
単元株式数について定款に定めがあるとき(単元株制度を採用しているとき)は、登記事項とされて(会社法第911条第3項第8号)、単元株の設定や変更の際には定款変更とともに登記が必要となります。
登記事項は、効力が発生した時から本店所在地において2週間以内に法務局で登記の手続きをしなくてはならないと定められています。(会社法第915条)
まとめ
株主の重要な権利として以下があります。
- 剰余金の配当を受ける権利
- 残余財産の分配を受ける権利
- 株主総会における議決権
単元株制度はこのうちの株主総会の議決権が制限されるという制度です。
議決権を行使できる株主の数を制限することで会社は株主管理コストの削減ができ、利益の分配を受けられれば議決権は不要と考える株主にとっては、少ない資金で投資ができるメリットが得られます。
結果として会社の資金調達がしやすくなる単元株制度は、会社にとっても株主にとってもメリットが大きい制度といえるでしょう。
会社の経営にとって資金調達は非常に重要な意味を持ちます。
単元株についての正確な知識を持つことで、今後の経営に役立てていただければ幸いです。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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