持株会社とは?事例や種類、メリット・デメリットを解説

株式会社の基礎知識
投稿日:2024.02.15
持株会社とは?事例や種類、メリット・デメリットを解説

企業グループの形成においては、様々な方法が考えられます。会社同士がお互いの株式を保有する資本提携などがその一例ですが、近年ではこれらの方法に代わり、持株会社制度が採用されるケースも増えています。

本記事では、企業グループを形成するための効果的な手段の一つである持株会社制度の特徴、メリット、デメリットなどについて詳細に解説していきます。


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持株会社とは?

近年「○○ホールディングス」といった企業名がよく見られるようになりました。「ホールディングス」という名称は、一般的には「持株会社」を指すものです。この章で概要を説明します。
 

会社の支配や所有を目的として株式を保有する会社

持株会社は他の株式会社を統括し、特定の企業の株式を所有する企業のことです。複数の子会社を所有することが一般的で、通常は株式会社ですが、親会社については別の会社形態である場合もあります。

持株会社のうち、「純粋持株会社」や「金融持株会社」は、他社を支配することを主要な事業とする企業です。子会社の統括管理が主な事業で、子会社は通常、事業運営よりも管理に専念します。

一方、事業を行いながら他社も支配する持株会社である事業持株会社も存在します。上場企業の多くではこの形態が見られます。

持株会社の種類については後ほど詳しく説明します。

一般的には純粋持株会社を指すことが多い

通常、持株会社といえば自身では事業を行わず、複数の子会社の株式を所有し、それらを管理するために存在する会社である純粋持株会社のことを指します。純粋持株会社はグループ全体の統括的な管理機能を持ち、収益の主要な源泉は子会社からの配当金です。

純粋持株会社は子会社株式やグループ全体の時価総額を活用して、M&Aや資金調達をしやすくするといったメリットも得られます。

持株会社とカンパニー制の違い

持株会社はカンパニー制とよく比較されます。

カンパニー制とは、企業内で事業部門ごとに独立採算制度を採用し、それぞれの部門を疑似的な独立法人のように扱う社内の組織体制のことです。各事業部門は、経営方針の策定や収益計算を独自に行い、部門の権限と責任を強化するために、権限の範囲や役員体制を工夫した上で、一法人の中で独立して運営されます。ただしカンパニー制における事業部門はあくまで法的に同じ法人内の別部門であるため、法的に別々の法人として構成される持株会社制とは異なります。

一方、持株会社の場合、各企業は法的に独立しており、規模が小さくてもグループ内の各会社は法的には独立した法人です。そのため、一つの企業で大きな損失や経営リスクが生じても、他の企業には影響を及ぼしにくいという特徴があります。対照的に、カンパニー制の場合、法的に同じ法人内であるため、一つの部門の損失は会社全体の損失となります。

持株会社を選ぶか、カンパニー制を選ぶかは、M&Aの対象となった会社を独立法人にするか、吸収合併するかなどに依存します。シナジー効果やM&A前に持っている元の文化の相性などによって、最適な選択肢が変わってくるといえます。

持株会社のメリット・デメリット

それでは、持株会社のメリット・デメリットについて説明しましょう。持株会社化して企業グループを構築することのメリット・デメリットは、主に以下の通りです。

業務の効率化

企業が大きくなると、通常、意思決定に時間がかかるようになります。しかし、持株会社制を採用すると、持株会社がグループ戦略の立案や管理機能を集約して担当し、子会社は実行に専念することで、スピーディーな意思決定やグループ経営が可能になります。

グループ拡大や再構成のしやすさ

持株会社制を採用していると外部から企業を買収した場合、その企業をグループ会社の一つとしてスムーズに組み込むことができます。このため、買収手続きが迅速かつ円滑に進行できます。

また、企業を吸収合併する場合と比べて、別企業として持株会社の傘下に入る場合は、企業文化の相性が大きな問題となってしまうという可能性を小さくすることができます。仮に新たに買収した企業と他の子会社との間で文化や慣習に関する衝突が発生しても、持株会社が調整役を果たすことができるため、企業間の対立を回避しやすくなります。

さらに、子会社は別法人であるため、売却やM&Aなども実施しやすいのも特徴です。

リソース配分のしやすさ

持株会社では子会社と親会社は、各々の役割が明確であるため、リソースの配分を実施しやすいと言えます。
親会社の役割を事前に定めておくことで、指示と実行が円滑に行えます。一定の共通ルールを適用しながら、子会社に権限を与えることも可能で、柔軟な対応ができます。

戦略面に注力できる

持株会社は自身で事業を運営しないため、余分なコストがかからない上、全体視点で客観的に自社の状況や市場を見据えながら戦略の立案に集中できます。

経営リスクの分散

持株会社制は、各事業を独立した会社として運営するため、事業のリスクを分散できます。各事業が法人単位で独立しているため、1つの事業が大きな損失を被った場合でも、他の企業にその影響が波及しにくくなります。

デメリットはメリットの裏返しが多い

持株会社のデメリットとして一つ目はコングロマリット・ディスカウントが挙げられます。これは、企業グループ(コングロマリット)の企業価値が、各事業の単独企業価値の合計よりも小さい状態を指します。最近の例としては株式会社東芝の例があります。

グループ経営による多角化戦略にはリスク分散などの利点がありますが、事業全体の統一感や相乗効果が見えにくい場合には、市場評価が低下する可能性があります。この現象は、経営効率が低下する懸念に基づいています。例えば、多角化戦略においては高収益事業で得た利益が低収益事業に振り向けられることがあるため、市場が不安を抱くことで企業価値に影響が出てしまうのです。

二つ目のデメリットとして、親子上場による問題があります。親会社と子会社の関係で「利益相反」と呼ばれる利害対立の懸念があり、これはガバナンスの問題とされています。

子会社の株主から見れば、親会社が自身の利益を優先することによって、子会社株主の利益が損なわれることが懸念されます。親会社株主にとってもグループ企業が稼いだ利益の一部を「非支配株主持分」としてグループ外に流出させることになるというデメリットが存在します。

他にも、親会社と子会社の数が増えると、管理が複雑になり、会社の機能が重複するリスクが生じることや親会社の統制力が低下する可能性があるというデメリットが考えられます。

持株会社の種類や企業例

持株会社はグループ企業全体の経営指導と統治を担うために存在しますが、以下の3つに区分できます。

純粋持株会社

純粋持株会社は、他の企業をグループの一員として統括することを目的とします。これを実現するために、支配対象の会社の株式を50%超(多くの場合は100%)所有し、彼らを傘下に置いて、その事業活動を管理・コントロールします。これはグループの管理に焦点を当てたシンプルな企業形態です。

純粋持株会社自体は、製品の製造や販売などの実際の事業を行いません。以前は自身が商品を製造・販売していたかもしれませんが、純粋持株会社となったら、それらの事業を他の企業に移転し、グループ全体の統括に専念します。

純粋持株会社の主要な収益源は、傘下企業からの配当です。子会社の株を所有しているため、これらの企業が利益を上げるように管理し、その結果として配当を受け取ります。したがって、純粋持株会社は、グループの形成と管理に特化した企業形態と言えます。

有名企業における純粋持株会社の例として、ソフトバンクグループ株式会社や日本マクドナルドホールディングス株式会社があります。

事業持株会社

事業持株会社とは、株式の所有により企業の支配だけでなく、他の事業も主体的に行う持株会社のことです。株式交換のスキームによって持株会社となった場合、通常は以前の事業を継続しつつ、グループ企業を統治することとなり、事業持株会社が誕生します。
国内の事業持株会社の例としては東急、帝人、新日本製鐵などがあげられます。

金融持株会社

金融持株会社は、銀行、証券会社、保険会社などの金融機関の株式を所有し、それによって各子会社を統制する企業を指します。このタイプの持株会社は、事業活動(製造や販売など)を直接行いません。広義には純粋持株会社の一種といえますが、子会社のほとんどが金融関連企業であるため各業法による制約が強いという特徴があります。

たとえば、日本郵政株式会社は「株式会社ゆうちょ銀行」や「株式会社かんぽ生命」を子会社とし、株式会社みずほフィナンシャルグループは「株式会社みずほ銀行」や「みずほ信託銀行株式会社」を子会社とする金融持株会社です。

持株会社の歴史

この章では持株会社の歴史についてご紹介します。以前は禁止されていた持株会社はいつ解禁になったのでしょうか。

1997年の独禁法改正以降解禁された

戦前に存在した、三井・三菱・住友などの企業グループは財閥と呼ばれ、持株会社と同じような仕組みで運営されていました。戦後はGHQにより財閥は解体され、その後も独占禁止法により持株会社を設立することは長らく禁止されてきました。市場競争を妨げる可能性があるという理由からでした。

しかし、経済のグローバル化や規制緩和が広がるにつれて、組織の再編を進め、効率的な経営を行うためには持株会社が必要だという観点から、1997年に独占禁止法が改正され、持株会社の設立が許可されるようになりました。解禁後、上場企業における純粋持株会社の第1号は大和証券グループ本社でした。

メリットと留意点を把握した上で持株会社の設立を考えましょう

事業を多角化し発展させたい場合には、持株会社制度は有効な手段となり得ます。異なる事業分野や業種に進出し、リスクを分散させることができ、市場の変動や競争に強い企業グループを築くことに繋がります。

ただし、持株会社を活用した経営は、様々なメリットとデメリットが存在するのはもちろん、資本政策にも関わるためやり直しや修正が難しい手法です。事業間のシナジー効果はもちろんですが、株主や金融機関など多面的な検討が必要になるでしょう。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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