金銭を出資せずに資本金額を増やす方法について分かりやすく解説

募集株式の発行
投稿日:2024.02.08
金銭を出資せずに資本金額を増やす方法について分かりやすく解説

会社の資本金は、会社が投資家などから集めた金銭であり、資本金額が高い会社ほど投資対象として価値がある、つまり信用力の高い会社であるといえるかもしれません。


資本金の額を増加させる、いわゆる増資については金銭の払込みを必要とするのが一般的です。しかし、金銭の払込みによる増資は、時間も費用もかかるという問題があります。


増資において資金調達を目的とせず、帳簿上の資本金の増額や財務上の健全性向上を目的とする場合は、内部的に資金を移動するだけで資本金の額を増加させることができれば、この問題は解決します。


そこで、今回は金銭の払込みを必要としない増資方法であるDES(債務の株式化)や剰余金・準備金の資本組入れについて解説します。


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金銭の払込みを必要としない増資方法

デットエクイティスワップ(DES)による方法

金銭の払込みを必要としない増資方法の1つ目は、デットエクイティスワップ(Debt Equity Swap)と呼ばれる方法です。このデットエクイティスワップ(以下「DES」)は、会社の債務を株式に交換する方法で行われる増資方法です。


債務超過に陥っている会社の場合、銀行からの融資を受けることが難しく、そうなると新たな事業により収益力を向上させるといった解決も困難であることが多いです。


そこで、負債の一部についてDESを実施します。DESを実施すると負債の一部は資本(純資産)へ振替えられることになり、債務超過の解消、自己資本比率の上昇等の財務体質が改善される効果があります。


このように新たな払い込みを経ることなく債務を株式に変化させることができるのがDES最大の特徴です。


DESの詳細についてはこちらの記事をご参考ください。

DES(債務の株式化)とは?種類や単なる出資との違い、メリット・デメリットについて解説


剰余金・準備金の資本組入れによる方法

金銭の払込みを必要としない増資方法の2つ目は、剰余金・準備金の資本組入れによる方法です。


資本金は、許認可取得の要件であったり、大手との取引や融資にも影響したりする場合があります。その場合、剰余金や準備金があれば、早急に資本金を増加することが可能になります。


剰余金とは、貸借対照表の純資産の部に記載されます。剰余金は「資本剰余金」と「利益剰余金」で構成されています。


このうち、「資本剰余金」は「資本準備金」と「その他資本剰余金」に分けることができ、さらに「利益剰余金」は「利益準備金」と「その他利益剰余金」に分けられます。


剰余金の資本組み入れは、「その他資本剰余金」及び「その他利益剰余金」を資本金に組み入れることをいい、準備金の資本組み入れは、「資本準備金」及び「利益準備金」を資本金に組み入れる行為のことをいいます。


この剰余金・準備金の資本組入れはいずれも、もともと会社にあった資産を資本金へと変更する手続きのため、新たに金銭の払込みをすることなく、資本金の増加をすることができる点が特徴です。


なお、剰余金・準備金の資本組入れについての詳細は以下の記事をご参考ください。


剰余金・準備金の資本組入れとは?メリット・デメリットから手続き、登記申請方法を解説


金銭の払込みを必要としない増資方法に必要な手続き

金銭の払込みを必要としない増資方法に、DESと剰余金・準備金の資本組入れの2通りの方法があることについて解説してきました。


いずれの方法も会社の資産や既存株主へ影響を与えるため、実施に当たって会社法(以下「法」)に定められた手続きを踏む必要があります。


また、資本金の額は会社の登記事項です(法第911条第3項第5号)。そのため、いずれの方法によって増資を行った場合でも、手続きの後には変更登記が必要となります(法第915条第1項)。


登記手続きの際には株主総会議事録等が必要となるため、以下の手続きは確実に行う必要がある点には注意が必要です。


DESを行うために必要な手続き

DESは、金銭の払込みではなく現物出資による方法でなされる新株発行です。そのため、会社法で定められた新株発行手続きを行う必要があります。


新株発行手続きは、その会社の機関設計によって異なりますが、公開会社(株式について譲渡制限をしていない会社)の場合は以下のとおりです(法第201条第1項、法第199条参照)。


  1. 取締役会における募集事項の決定(法第201条第1項、法第199条第1項・第2項)
  2. 裁判所に対し検査役選任の申立てを行う(法207条第1項。同条第9項の場合は、検査役選任の申立てが不要)
  3. 現物出資者への通知(法203条第1項)
  4. 現物出資者からの申込み(法203条第2項)
  5. 取締役会による募集株式を割当てる者及び割当てる募集株式の数を決議と現物出資者への通知(法204条)
  6. 現物出資者からの財産の給付
  7. 発行済株式の総数及び資本金の額の変更登記(法第915条第1項、法911条第3項)


DESを行うに当たっては、公開会社では以上の手続きを踏む必要があります。


同じ取締役会設置会社における非公開会社の場合の手続きについては前述のDESに関する記事をご参照ください。


また、登記手続きに関する詳細や添付書類などについては以下の記事をご参照ください。


DES(債務の株式化)の登記申請書類(公開会社の場合)を解説

DES(債務の株式化)による増資の登記を自分でする方法

DES(債務の株式化)の登記申請書における別紙(登記すべき事項)について解説

DES(債務の株式化)の登記申請書類(非取締役会設置会社の場合)を解説

DES(債務の株式化)の登記申請書類(非公開会社かつ取締役会設置会社の場合)を解説


剰余金・準備金の資本組入れを行うために必要な手続き

剰余金を資本金へ組み入れる際には株主総会の普通決議が必要です(法第450条、第309条第1項)。


これに対して、準備金を資本金へ組み入れる場合には株主総会の普通決議に加えて、原則として債権者異議手続きが必要です(法第449条)。


剰余金・準備金の資本組入れを行うために必要な手続きは以下のとおりです。それぞれ、詳しい記事にもリンクしています。


1 資本に組み入れる科目を決める

2 株主総会議事録・株主リストの作成

3 減少にかかる剰余金・準備金の計上を証する書面の作成

4 登記申請書の作成


剰余金・準備金を資本金へ組み入れる手続きについて詳細は以下の記事をご参照ください。

剰余金・準備金の資本組入れとは?メリット・デメリットから手続き、登記申請方法を解説

株主資本の様々な変動パターンを解説します


また、その後の登記手続きについては以下の記事をご参照ください。

剰余金等の資本組入れを自分でする方法

剰余金等の資本組入れの登記申請に添付する書類のテンプレートを紹介

準備金・剰余金の額に関する証明書とは?

剰余金等の資本組入れの登記申請書と別紙(登記すべき事項)の書き方


それぞれの方法のメリット・デメリット

DESのメリット・デメリット

DESの最大のメリットは、負債を出資へと転換できるため、会社の財務状況を大きく改善するきっかけとなることです。


これに対して、デメリットとしては債権者が株主となるため、金額と発行する株式数によっては会社の経営権を失う可能性がある点が挙げられます。


経営者としては、債権者が経営に干渉してくるリスクとDESによって解消される財務状況を勘案する必要があります。


資本組み入れのメリット・デメリット

資本組み入れを利用するメリットはDESと異なり、会社の経営権を債権者に握られるリスクが生じるといったことなく、資本金額を増加させることができる点です。


デメリットとしては、DESと異なり、会社の財務状況を改善する効果は無いため、債務超過に陥っているような会社で利用しても根本的な解決にならない点が挙げられます。


まとめ

金銭の出資をすることなく資本金を増加させることはメリットもありますが、どのような方法を選択するかによりデメリットや必要な手続きが異なります。本記事を参考に適切な手続きとスムーズな登記手続きを行いましょう。


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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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