資本剰余金とは?利益剰余金の違いをわかりやすく解説

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投稿日:2024.10.18
資本剰余金とは?利益剰余金の違いをわかりやすく解説

起業には資金が必要です。起業時には運転資金などに回すため出資がなされますが、会社法上、その出資金の全額を必ず法人の資本金として計上しなければならないわけではありません。一部を資本剰余金にすることもできます。
資本金は開業時に準備する会社設立のためのお金です。会社の規模や事業内容によって金額は大きく異なります。起業前で今後会社設立を考えている方であれば、資本金の金額の設定の仕方やいくらが適切な金額なのか知っておく必要があります。

株主資本は資本金・資本準備金・その他資本剰余金等から構成されていますが、それらの違いに戸惑ったり、混乱したりしている方もいらっしゃるかと思います。この記事では資本剰余金だけでなく資本金についても説明しますので是非ご参考にして下さい。

また剰余金には資本剰余金だけでなく利益剰余金もあります。名称は似ていますが性質や用途が異なりますので、その点についても触れていきます。

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資本金とは

資本金とは、法人を設立する時の元手として、発起人が出資した資金です。以前は、最低資本金制度により、株式会社を設立する場合には1,000万円以上の資本金が必要でしたが、会社法の施行により現在は1円でも株式会社が設立できるようになりました。

関連記事:資本金とは?基礎知識からルール、金額によるメリット・デメリットを解説します

事業を行うための元手である

資本金とは、事業を円滑に進めるために、株主が会社に出資した金額のことです。貸借対照表(バランスシート)の純資産の部に記載される株主資本の一部です。

会社設立時の出資だけでなく、新規事業を立ち上げる際に資金が必要になったときなどに、株主から払込みを受けた資金も基本的には資本金になり、設備投資等に回されます。資本金は融資とは異なり返済する義務はありません。また資本取引(株主との直接的な取引)については、基本的に消費税は不課税です。

2006年の会社法の施行前は「株式会社なら資本金1,000万円以上、有限会社なら資本金300万円以上」が必要でした。しかし会社法施行後は、資本金が1円の会社も手続き上は設立可能になりました。ただし、資本金は会社の財務力や信用力の指標として見られることがあるため、事業によっては一定の金額が必要となる場合はあります。

一方で、税務上は資本金が大きいほど税率が高くなる税金も存在するため、税負担の面などで不利な部分もあります。資本金による信用力や税負担を考慮して、資本金を決めましょう。

資本金を減らすこともある

会社を経営していく中で資本金を減らすこともあり、これを「減資」と言います。会社法によると、減資を行うには債権者保護手続きが必要であり、通常株主総会の特別決議を経る必要があります。ただし、欠損補填に充てる、かつ、定時株主総会にて決議する場合で、減資する資本金額が欠損金の額を超えないケースの株主総会決議は普通決議でよいとされています。

なお、債権者保護手続きとは、債権者に対して、減資することを官報公告や個別通知で知らせる手続きで、債権者が一定期間、異議を唱えることができる制度のことです。

資本剰余金とは

この章では資本剰余金について説明します。資本剰余金には資本準備金とその他資本剰余金がありますので、それぞれについてご理解ください。

資本剰余金は会社が資本取引を行った際に発生する剰余金のことです。具体的には会社設立時などに出資者から集めた資金のうち、資本金にはしなかった部分などが当てはまります。

資本準備金とその他資本剰余金に分けられる

資本準備金とは

資本準備金とは法定準備金のひとつで、株主から払い込まれた金額のうち、資本金に組み入れなかった金額などから構成されます。資本準備金は株主への配当原資に回せないため、配当金にはできません。

資本金も資本準備金も、基本的には株主から出資を受けた額ですが、資本金額は登記簿に登記されるのに対して、資本準備金は登記されません。また出資を受けた際に資本準備金として計上できる金額には制限があり、出資を受けた金額の2分の1を超えて計上できません。

その他資本剰余金とは

その他資本剰余金は資本剰余金のうち資本準備金以外の項目であり、株主への配当等に当てることができます。

その他資本剰余金は、①資本金や資本準備金を減少した額や②自己株式の処分や組織再編の際の差益などが計上されます。

資本剰余金と利益剰余金の違いについて

純資産のうち株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式に区分されます。

基本的に、資本剰余金は資本取引において資本金に計上されなかった金額のことで、利益剰余金は損益取引(利益を獲得するための取引)において、配当せずに会社内部に残した金額です。ポイントとして、資本剰余金と利益剰余金では出どころが違うことをご理解ください。

株式公開や増資で株主資本を増やした会社と、利益を上げてその利益を内部に蓄積して株主資本を大きくした会社では、同じ株主資本が仮に同じ金額でもその中身が違います。会社の株式価値を高めるという点では、一般的には利益剰余金が大きいほうが望ましいと考えられます。

利益剰余金とは

利益剰余金は、資本金・資本剰余金と同じく、貸借対照表の純資産の部に記載される株主資本の一部です。会社が稼いだ利益は基本的に配当という形で株主に還元されますが、すべての利益が配当として分配されるわけではありません。配当されない利益は会社に残ります。利益剰余金は基本的に配当されなかった利益の累積です。

利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金で構成されています。利益が増えれば利益剰余金は順調に増えますが、赤字であったり、利益が出る前の投資段階だったりすると、利益剰余金は減少し、マイナスとして計上されていきます。

出資金を資本金と資本剰余金のどちらとすべきか適切な判断を

資本剰余金という言葉は難しい専門用語ではありますが、会社を立ち上げ、運営する上で理解しておくべき用語です。事業を始める際や出資を受けた際には、資本金の額の目安や資本剰余金の役割を考えた上で、それぞれを計上することが重要です。

金額の内訳を判断するにあたっては、税理士等の専門家が提供している相談サービス等をご利用いただくことも有用でしょう。

今回の記事が皆様の理解を深めるきっかけとなれば幸いです。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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