増資(募集株式の発行)登記手続きを自分で法務局に申請する方法

募集株式の発行
投稿日:2026.08.17
増資(募集株式の発行)の登記を自分で法務局に申請する方法

株式会社における資金調達手段として、融資と並んでよく検討されるのが「増資」です。会社が新たに株式を発行し、それを引き受けてもらう(株式を購入してもらう)ことで資金を調達する方法で、法律上の正式な名称は「募集株式の発行」といいます。

銀行融資などと異なり財務上は負債にならず返済不要であることが特徴で、事業開始直後でまだ経営や資金繰りが安定していないスタートアップ企業などにおいてよく用いられる資金調達方法です。

本記事では、この増資の登記手続きを自分で法務局に申請するための方法や、必要書類、会社の種類による注意点について詳細を解説します。

増資(募集株式の発行)の登記とは?

会社設立時には資本金が出資されます。増資とは、会社設立後に株式を既存株主や第三者へ割り当て、出資の履行を受けることで資本金を増額することを指します。増資にはいくつかの種類があり、既存株主への新株発行の場合は「株主割当増資」、特定の第三者に新株を引き受けてもらうことを「第三者割当増資」、不特定多数の投資家や出資者などの希望者を勧誘する場合は「公募増資」と、株式引受人が誰かによって呼び名が異なります。
 
「資本金の額」と「発行している株式の数(発行済株式の総数)」は会社の登記事項の1つですので、増資により資本金の金額や発行済株式総数が変更(増加)した場合は、管轄法務局でその旨登記しなければなりません。
  
増資に限らず、ほとんどの登記は変更の事実が生じてから2週間以内に登記をしないと過料が科されてしまう可能性があります(2週間を経過したとしても増資の登記を行うことは可能です)。
 
増資する場合は、増資した後に行うことになる変更登記も見据えて必要書類の準備をしておく必要があります。
 
また、登録免許税として3万円or増資額の1000分の7(例:1億円の場合は70万円)の高い方の金額を納税しなければなりません。高額な増資の登記を行う場合は登録免許税もその分高額になります。

増資の種類と手続きの違い

増資の手続きは、どの方法で新株を引き受けてもらうかによって、決議の内容や対象者、必要な準備が異なります。増資は大きく「有償増資」と「無償増資」に分けられ、資金調達を目的とする一般的な増資はほとんどが有償増資です。

有償増資はさらに、株式を引き受ける相手によって次の3種類に分かれます。

種類

概要

主な活用場面

公募増資

不特定多数の投資家に対して広く株式の引き受けを募る方法

上場企業の大規模な資金調達など

株主割当増資

既存株主に対し、持株比率に応じて新株を引き受ける権利を与える方法

既存株主の持株比率を維持したまま増資したい場合

第三者割当増資

特定の第三者(取引先、投資家、役員など)に新株を引き受けてもらう方法

スタートアップやベンチャー企業の資金調達で最も多く使われる方法

一方、無償増資は株主からの払い込みを伴わず、資本準備金や利益剰余金を資本金に振り替える方法です。会社に新たな資金が入るわけではないため、資金調達そのものを目的とする場合は有償増資、特に第三者割当増資が選ばれるケースが大半です。

増資の手続きの流れ

自分で増資の登記手続きを行うために、上記の手続きをよりシンプルにわかりやすく記載したのが以下になります。

  1. 株主総会で増資の決議を行う。
  2. 増資の申し込みを受け付ける。
  3. 株式の割当てを決定する。
  4. 出資者が出資金を払い込む。
  5. 新株が発行され、増資の登記をする。


増資により資本金の金額や発行済株式総数が変更(増加)した場合は、管轄法務局でその旨登記しなければなりません。登記事項に変更が生じた場合には、2週間以内に変更登記をしなければならない旨が定められています(会社法第911条1項)。

増資手続きにかかる期間・スケジュール

増資の手続きは、株主総会の招集から登記完了まで、法律上定められた期間や実務上の準備期間があるため、余裕を持ったスケジュールで進める必要があります。目安は以下のとおりです。

フェーズ

内容

期間の目安

株主総会の招集

招集通知を株主へ発送

開催日の原則2週間前まで

株主総会の開催・決議

募集事項(募集株式数、払込金額、払込期日など)の決議

1日

引き受けの申し込み〜割当ての決定

出資希望者からの申し込み受付、割当先・株数の決定

数日〜1週間程度

出資金の払い込み

払込期日までに指定口座へ入金

決議で定めた期日まで

登記申請

払込完了後、法務局へ変更登記を申請

払込期日から2週間以内(義務)

一般的には、準備開始から登記完了まで最短でも3週間〜1ヶ月程度を見込んでおくと安心です。特に非公開会社では株主総会の特別決議(後述)が必要なため、招集通知の発送タイミングを逃すとスケジュール全体が後ろ倒しになる点に注意してください。登記期限(払込期日から2週間以内)を過ぎると過料の対象となる可能性があるため、逆算してスケジュールを組むことが重要です。

増資登記を自分で法務局に申請する方法

増資を実施する場合、まずは自社の株式を発行することになります。株式を発行するためには、以下の手続きが必要です。

  1. 非公開会社であれば株主総会の特別決議、公開会社であれば取締役会の決議(原則)
  2. 株主総会(または取締役会)を開催して募集事項を決定
  3. 株主または第三者が株式を引き受け
  4. 出資の履行(金融機関などに払込期日までに払い込む。出資の対価は現金だけでなく現物出資の形を取ることも可能だが金銭出資が一般的)


上記がなされることで、増資の効果が発生します。増資後は2週間以内に、以下で紹介する必要書類を用意して法務局にて登記を行います。
なお、合同会社においても増資の概念はありますが、株主に対して株式を発行する方法ではなく、社員による持分出資として管理されます。

増資登記手続きの必要書類

増資の登記をするための必要書類は以下のとおりです。これら必要書類を用意し、押印および収入印紙を貼って法務局に持参もしくは郵送で提出します。増資の登記は本店移転など変更手続きに比べると複雑なので書類には不備がないよう注意しましょう。
 

  • 株主総会議事録(非公開会社の場合など)
  • 取締役会議事録(公開会社の場合や募集事項の決定を取締役会に委任した場合、割当てを取締役会で決定した場合など)
  • 株主リスト
  • 株式の引き受けの申し込みを書する書面 or 総数引受契約書
  • 出資金が払い込まれたことや払込み金額を証明できる書類(例:銀行口座の預金通帳の写しなど)
  • 資本金の額の計上に関する証明書


登記申請に必要な議事録のテンプレートはこちら(GVA 法人議事録 公式ホームページ)

自分で増資登記の手続きをする場合の変更登記申請書の記載例(非公開会社の場合)

増資の登記の際に法務局へ提出する申請書の記載例は、以下のとおりです。

 



 
資本金の額の計上に関する証明書の記載例は以下のとおりです。なお、以下の記載例は自己株式の処分を伴わないことを前提にしています。
 
 



その他の添付書類の記載例については、こちらをご覧ください。
関連記事:募集株式の発行(増資)の登記申請における必要書類とひな形(テンプレート)

増資手続きにかかる費用(登録免許税・司法書士報酬)

増資の登記には、法務局に納付する「登録免許税」がかかります。税額は次のいずれか高い方の金額です。

  • 増資額の1,000分の7(0.7%)
  • 3万円


例えば増資額が1,000万円の場合は登録免許税7万円、1億円の場合は70万円となり、増資額が大きいほど税額も高くなります。この記事の後半にて登録免許税の計算ツールも掲載していますのでご参考ください。

また、増資の手続きを司法書士に依頼する場合は、登録免許税とは別に司法書士報酬が発生します。報酬額は増資額や書類作成の難易度によって数万円〜十数万円程度が相場です。書類作成や法務局とのやり取りに不安がある場合は司法書士へ依頼する方法もありますが、GVA 法人登記のようなオンライン書類作成サービスを使えば、司法書士報酬をかけずに正確な書類を自分で作成し、法務局へ郵送申請することも可能です。

増資(募集株式の発行)の登記手続きを自分で申請する際の注意点

(非公開会社の場合)株主総会の決議は特別決議が必要(原則)

非公開会社(おもに中小企業)における増資(募集株式発行)は株主総会の決議により、増資の登記変更の際は法務局へ株主総会議事録を提出します。このとき、株主総会の決議は普通決議ではなく特別決議が必要です(会社法第199条第2項、第309条第2項第5号)。
 
定足数や賛成する議決権数が普通決議よりも加重されます。株主総会議事録の記載内容も普通決議とは異なってきますから、増資の登記において法務局へ提出する株主総会議事録の記載は、特別決議を行ったことが分かるよう記載する必要があります。
 

発行できる株式数には上限があります

会社は、あらかじめ定款にて自社が発行できる株式の最大数(発行可能株式総数)が定められています。増資の登記の際には超過がないか確認する必要があります。
 
また、株式発行にあたり1株あたりの金額を定めますが、この金額は原則として適正な額でなければなりません。
 
増資の登記それ自体は、書類さえ用意できればそれほど難しい作業ではありません。むしろ、増資そのものを行う方が、さまざまな手続が必要になり関係法令の規制を受けるため複雑で大量の作業が必要になります。
 

自己株式の処分を伴う場合は記載事項が増える

増資が自己株式の処分を伴っている場合、「資本金の額の計上に関する証明書」には株式発行割合や自己株式処分差額(会社計算規則第14条第1項第4号)、資本金等増加限度額を記載する必要があります。
  
増資(募集株式の発行)の登記申請の期限や注意点は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:増資の登記の期限や申請を怠った場合のリスク、登記懈怠による過料について解説

増資のメリット・デメリットを把握してから手続きを検討しましょう

増資の登記は、専門家でなくとも自分で行うことは可能です。しかし「企業価値や株価など条件決定をどうするか」「必要な決議は株主総会の決議と取締役会の決議のどちらなのか」「自己株式の処分を伴う場合は申請書類に何を記載すればよいのか」「発行可能株式総数の変更、定款変更を伴うのか」など、注意すべきポイントがあります。資金調達手段として、融資と比較したメリット・デメリットを押さえた上で、登記の手続きをどの方法でやるか検討しましょう。
 
そのため、増資の登記を申請する場合は事前に法務局で必要な手続きや書類、具体的なスケジュールを確認しておくとスムーズに増資の登記ができるでしょう。

増資の登録免許税 計算ツール

増資する金額を入力すると、登記申請に必要な登録免許税が計算できます。

📋 増資の登録免許税 計算ツール

募集株式の発行(増資)登記を自分でやるならGVA 法人登記|専門知識がなくても入力だけで書類が完成、法務局に行かず郵送申請

募集株式の発行(増資)登記は自分でも行えますが、専門知識の習得や書類作成に時間がかかり、記載ミスで補正を求められることもあります。GVA 法人登記なら、登記の知識がなくても画面の案内に沿って入力するだけで正確な書類が最短7分で完成。オプションの郵送パックを使えば、法務局に行かずに申請まで自分で完結できます。

GVA 法人登記

GVA 法人登記の詳細を見る →

【期間限定】1,000円OFFクーポン配布中!

クーポン利用手順

GVA 法人登記の会員登録(無料)
②購入前のクーポンコード入力画面で【 Ug3JNAS7sB 】を入力





\Webでカンタン自分で変更登記/

この記事の内容は動画でも解説しています

執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

本Webサイト内のコンテンツはGVA 法律事務所の監修のもと、BtoBマーケティングおよび司法書士事務所勤務経験者が所属する編集部が企画・制作しています。

GVA TECH株式会社では、「GVA 法人登記」だけでなく法務オートメーション「OLGA」などのリーガルテックサービスを提供しています。

今すぐ変更登記手続きを始める