現物出資とは?検査役の調査を省略できる場合についても解説

募集株式の発行
投稿日:2024.02.01
現物出資とは?検査役の調査を省略できる場合についても解説

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現物出資とは?


現物出資とは何かを解説する前に、そもそも現物出資が登場する場面についても解説したいと思います。


株式会社は、その発行する株式を引き受ける者(引受人)を募集して、新株の発行(いわゆる増資)を行うことができます。


そして、引受人は、新株の発行を受ける対価として金銭での出資を行うことが通常ですが、金銭以外の財産での出資も行うことができます。


このように、金銭以外の財産での出資のことを現物出資(会社法199条1項3号)といいます。


まとめると、現物出資は、株式会社が増資を行う場合において、引受人(新しく株主になる者)が出資する方法の一つであり、その出資の方法が金銭以外の財産である場合のことを指します。


引受人が現物出資を行うメリットとしては、手元に金銭がなくても出資でき、新しく株主になることができる点が挙げられます。


他方、引受人が現物出資を行うデメリットとしては、以下のような現物出資に対する規制があるため、その手続が煩雑である点が挙げられます。


現物出資に対する規制の理由について


金銭以外の財産での出資である現物出資については、金銭での出資と異なり、会社法上の規制がなされています。


なぜならば、仮に現物出資の財産の価額が、その客観的な価値と比較して過剰に評価された場合には、過剰に多くの株式が発行されることとなるため、既存株主の利益が損なわれたり、それだけの金額の財産が会社に出資されたと信じて会社と取引を行った会社債権者の利益が害されたりする可能性があるからです。


たとえば、現物出資の財産の客観的な価値が500万円であるにもかかわらず、現物出資の財産の価額(株式の価額)が2000万円であるとされた場合には、1500万円分多くの株式が発行されることとなるため、既存株主・会社債権者の利益が害されることとなります。


そこで、現物出資に対する規制として、以下のような検査役の調査が必要とされています。


検査役の調査について


まず、株式会社は、裁判所に対し、現物出資財産の価額を調査させるため、検査役の選任を申し立てなければなりません(会社法207条1項〜3項)。次に、検査役は、必要な調査を行って、その結果を裁判所に報告します(会社法207条4項〜6項)。


そして、裁判所が、会社の定めた現物出資財産の評価額(会社法199条1項3号)を不当と認めた場合は、これを変更する決定をしなければなりません(会社法207条7項)。


このように、現物出資財産の価額が変更されれば、新しく株主になる者に割り当てられる株式数も連動して変更されることとなり、新しく株主になる者に不意打ち的な不利益となる可能性があります。


そこで、新しく株主になる者は、裁判所による変更の決定後1週間以内に限り、出資自体の意思表示を取り消すことができます(会社法207条8項)。


検査役の調査の免除について


現物出資の場合、原則として、以上のような検査役の調査が行われます。


しかし、以下の5つの場合においては、検査役の調査が免除されています。以下の5つの場合には、現物出資に対する規制の理由がほとんどない、すなわち既存株主や会社債権者の利益が害されないと考えられているためです。


現物出資をする新しい株主に対して割り当てる株式の総数が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合(会社法207条9項1号)


たとえば、発行済株式の総数が100株である場合においては、現物出資をする新しい株主に対して割り当てる株式の総数が10株までであれば、検査役の調査は不要となります。


この場合には、仮に不当な現物出資が行われたとしても、既存株主・会社債権者に対して与える影響が少ないため、検査役の調査が不要とされています。


現物出資財産について会社が定めた価額(会社法199条1項3号)が500万円を超えない場合(会社法207条9項2号)


たとえば、現物出資財産について会社が定めた価額が500万円以下であれば、どのような内容の現物出資であっても、検査役の調査は不要となります。


この場合にも、仮に不当な現物出資が行われたとしても、既存株主・会社債権者に与える影響が少ないため、検査役の調査が不要とされています。


市場価格のある有価証券(株式や社債など)の市場価格を超えない価額で出資する場合(会社法207条9項3号)


たとえば、上場している会社の株式(1株1000円)を現物出資財産とする場合においては、新しく株主になる会社について、1株1000円として出資するのであれば、検査役の調査は不要となります。


この場合には、現物出資財産の客観的な価値が明らかであり、価額が不足するということが考えにくいため、検査役の調査が不要とされています。


現物出資財産について会社が定めた価額が相当であることについて弁護士等の証明がある場合(会社法207条9項4号)


たとえば、市場価格のない株式(非上場会社の株式)を現物出資財産とする場合においては、そのままでは客観的な価値が明らかではないため、検査役の調査が必要となります。


ただし、価額が相当であると弁護士や公認会計士、税理士等が証明した場合には、弁護士等の職務上の職責等に鑑み、例外的に検査役の調査が不要とされています。


なお、現物出資財産が不動産の場合、弁護士等の証明のほかに、不動産鑑定士の鑑定評価も必要となります。


会社に対するすでに弁済期が到来した金銭債権を、当該債権の帳簿価額を超えない価額で出資する場合(会社法207条9項5号)


たとえば、ある債権者から会社に対して2000万円を貸付け、すでに弁済期が到来している場合において、この債権者の会社に対する債権の帳簿価額を超えない価額で現物出資財産とする場合においては、検査役の調査は不要となります。


いわゆるデット・エクイティ・スワップ(DES)と言われるものであり、会社の帳簿に基づくものから、現物出資財産の客観的な価値が明らかであり、価額が不足するということが考えにくいため、検査役の調査が不要とされています。


まとめ


現物出資の概要について説明しました。


このように、現物出資という方法によって手元に金銭がなくても会社の株主になることが可能ですが、原則として検査役の調査という非常に煩雑な手続を経る必要があります。しかし、最後に見たような5つの例外的な場合に当たれば、検査役の調査が不要になります。


そこで、現物出資を検討される際は、検査役の調査が不要になる場合に当たらないかどうか(場合によっては検査役の調査が不要になるような範囲で現物出資を行うこと)を検討するといいでしょう。


加えて、一般的に検査役の調査よりも弁護士等の証明の方が早く現物出資を行うことができるというメリットがあるため、弁護士等の証明を受けることも事前に検討するといいでしょう。


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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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