資本金を増資する方法を解説

募集株式の発行
投稿日:2024.04.17
資本金を増資する方法を解説

会社設立時に資本金が決定されますが、設立後も変更は可能です。資本金を増やすことを「増資」と呼び、これは追加の資金を調達する手段として利用されます。資金調達の上で、他には借入(融資)がよく用いられますが使われますが、この2つの資金調達方法はどのように異なるのでしょうか?

この記事では、増資の概要や借入との違い、メリット・デメリット、増資の方法などについて紹介します。


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資本金の増資とは?

資本金の増資とは具体的にどのようなものなのでしょうか。メリット・デメリットと合わせて解説します。 

株式会社における資金の調達方法

資本金の増資とは、企業が資本金を増加させることを指します。一般的な資金調達手段としてよく利用されるのが融資(借り入れ)ですが、それに加えて増資も一般的に広く使われています。

増資は会社が成長や新規事業展開、販路拡大などの目的で行う資金調達手段であり、融資とは異なり返済が必要ではないのが最大のポイントです。また、融資を受けると負債が増えるのに対し、増資では資本金が増加します。

この増資のプロセスでは、新たな株式を発行して、株主や投資家から出資を受けることが一般的です(有償増資)。企業が自社の株を新たに発行し、それを既存の株主や新たな株主が取得することを指して、「募集株式の発行」とも呼ばれています。また、株式の発行なしで準備金や剰余金を資本金に組み込む手法もあり、「剰余金や準備金の資本組み入れ」と呼ばれます(無償増資)。

有償増資では新しい資金が企業に投入されますが、無償増資の場合は純資産の構成が変更されるだけで、具体的に新しい資金を受け入れるわけではありません。

なお、合同会社においても増資の考え方は存在しますが、株式を発行することはできないので「持分」という概念を通じて行われます。

融資と増資の違い

融資とは、資金を借りて調達することを指します。つまり借金です。金融機関などから資金を借り受けると、企業の負債が増えます。企業の貸借対照表では、融資の増加が負債の増加として記録され、一方で増資は資本金(純資産)の増加として表れます。

増資による資金調達のメリット・デメリット

資本金を増資するメリットは以下の通りです。

⚫︎ 返済不要の資金調達ができる
資本金は借金ではないため、返済の必要がありません。新しい株式を発行して資金を調達でき、会社にとって返済の負担がないのが大きなメリットです。(厳密には、株主から将来のリターンを期待されることによる資本コストが生じますが、融資のような返済はありません)

また、誰に株主になってもらうかによって、協業先として強いパートナーシップを築ける可能性があります。

⚫︎ 会社の信用が高まる
資本金が多いほど、取引先や金融機関からの信用が高まります。これにより、取引や融資を受ける際に有利な条件を得ることができます。

一方で、資本金を増資する際のデメリットには以下の通りです。

⚫︎ 法人税などの税金が増える場合がある
資本金が増えると、法人税やその他の税金が増加する可能性があります。資本金が1,000万円以上になると、消費税の納税が発生し、法人住民税も増額されることがあります。

⚫︎ 増資の手続き費用がかかる
増資には法人登記の書き換えが必要であり、その際に登録免許税が発生します。また、登記手続きを専門家に依頼する場合は、その報酬もかかります。これらの手続き費用も考慮する必要があります。

⚫︎ 一度株主になったら変更は難しい
融資の場合は返済が終われば契約終了ですが、増資では会社の一部を他者に所有してもらうことになります。状況が変わったからといって簡単に取り消したり変更はできないので出資してもらう際は十分に検討しましょう。

減資という手続きもある

増資の反対語として「減資」も存在します。

減資は簡単に言えば資本金を減らす手続きのことです。減資を行う際の意義には、「欠損の補填による経営立て直し」「株主への財産の払い戻し」「節税」の3つがあります。有償減資と無償減資の2つがあり、それぞれの手続きやメリット・デメリットは異なります。



資本金を増資する方法とそれぞれのメリット・デメリット

資本金を増やす方法として、以下があげられます。

  • 第三者割当増資
  • 株主割当増資
  • 公募増資
  • 剰余金や準備金の資本組入れ
  • DES(債務の株式化)


以下にてそれぞれ詳しく解説します。

第三者割当増資

第三者割当増資は、自社や既存株主以外の外部の第三者に対して新株を発行する手法です。主な目的は、取引先やビジネスパートナーとの関係を強化したり、資金調達を行ったりすることです。

この手法では、比較的迅速に大規模な資金調達が可能であり、株式の割り当て先を特定できるメリットがあります。しかし、新株が第三者に譲渡されるため、オーナーや既存株主の持株比率が低下し、企業の意思決定に時間がかかる可能性や、配当金が減少するといったデメリットがあります。

株主割当増資

株主割当増資は、既存の株主に向けて、それぞれの持株比率に応じて有償で新株を発行する手法です。この方法は、株主構成を変えずに事業資金を調達するために利用されます。特に、創業初期や事業がまだ安定していない段階では、金融機関からの融資が難しいことがあり、有効な資金調達手段となります。

株主割当増資では、株主構成が大きく変動せず、既存株主のデメリットを最小限に抑えることができます。これにより、新株を時価よりも低い価格で発行できるメリットがあります。

ただし、既存株主が割り当てられた株式を購入するかどうかを選択できるため、株主間で有利不利が生じるデメリットもあります。

公募増資

公募増資は、上場企業が広く一般の投資家を対象にして新株を発行し、これによって資金を調達する手法です。この方法では、特定の投資家に限らず、多くの人々から出資を募ることができ、株主の層を広げたり、株の取引を活発化させたりするメリットがあります。

ただし株式の発行数が増えると、1株あたりの価値や株価が低下する可能性があることや少量の株を持つ株主が増え、対応コストが増加する可能性があることがデメリットになります。

剰余金や準備金の資本組入れ

資本金を増やす手段の一つとして、無償増資と呼ばれる方法があります。この方法では、剰余金や準備金を資本金に加えることで増資が行われます。

無償増資では、新たな出資者を募る手続きが不要であり、手間を省きながら増資が可能です。なお、この場合は既存の株式総数に変更はありません。

この手法を実施する場合、株主総会での普通決議が必要です。また、会計処理では、株主総会での決議が有効になる日に剰余金や準備金を資本金に振り替えて、資本金の増加を反映させるために登記変更手続きも必要です。

資本金額は、許認可の取得条件や大手企業との取引、融資に影響することがあります。剰余金や準備金の資本組入れは、剰余金や準備金の組み入れで新たな資金調達なしで迅速に資本金額を増やしたい場合に利用できます。

DES(債務の株式化)

お金を支払うことなく資本金を増やす方法の1つとして、「デットエクイティスワップ(DES)」と呼ばれる手法があります。DESは、企業が抱える債務を株式に変換する増資方法です。お金が増えるわけではなく、帳簿上の資本金が増加する手法です。

会社が多額の債務を抱えている場合、銀行からの融資を受けることが難しく、新しい事業で収益を上げるのも難しいことがよくあります。そこで、DESを利用して一部の債務を資本に変換します。DESを実施すると、債務の一部が資本に変換され、債務超過の解消や自己資本比率の向上など、財務体質が改善される効果があります。

DESの最大の特徴は、新しい資金を投入することなく債務を株式に変換できることです。

増資に必要な手続き

増資に必要な手続きについて、第三者割当増資を対象に解説します。

必要な手続きの流れ

1 募集事項の決議
まず、第三者割当増資を行うには、条件や第三者の選定基準など以下の条件を設定します。

  • 募集する株式の数量
  • 株式の金額と算出方法
  • 現物出資の内容または金額(現物出資の場合)
  • 振込期間と振込期日
  • 増加する資本金・準備金に関する事項


これに加えて、「申込の期日」や「振り込みの取扱場所」なども指定します。

取締役会設置会社における第三者割当増資では、取締役会が非常に重要であり、決議は取締役会で行う必要があります。上場している公開会社なら、第三者割当増資の募集要項を取締役会で決定できます。しかし、非公開会社で譲渡制限株式を発行している場合は、株主総会を開催する必要があります。公開会社では取締役会で募集要項を決定できるため、第三者割当増資を素早く実行できます。なお、一部の事項は株主総会の特別決議で決定し、具体的な内容は取締役会に委任することも認められています。

2 募集株式の引受けの申込み
次に、第三者割当増資の手続きのステップとして、ステップ1で決定した内容を通知するプロセスがあります。ここでは、通知される情報には以下の項目が含まれます。

  • 株式の商号
  • 申込期日
  • 振り込みの取扱場所


これらの事項が承認された企業や個人が、第三者割当増資の対象者となります。その後、対象者は期日までに株式の申込手続きを行います。具体的には、氏名、住居地、引き受ける予定の株式数などが記載された申込書を、第三者割当増資を実施する企業に提出することで、申し込みが完了します。

3 割当の決議
応募を受けた後、発行会社はどの相手にどれだけの新しい株式を発行するかを、取締役会または株主総会での決定によって確定します。

4 出資の履行(出資金の払込)
配分を受けた出資者は、指定された方法で全額を支払う期日までに支払います。

5 増資の登記申請
新株を発行し、資本金や発行株式数を増やすための登記変更手続きは、払込期日または払込期間の終了から2週間以内に行います。

6 その他の書類の更新
募集株式の割当の申し込みを証する書類が必要です。募集株式の申し込みに使用された申込書のコピーでよく、特別に新たに作成する必要はありません。もし通常の第三者割当増資ではなく、総数引受契約で進められている場合は、その代わりに総数引受契約書を添付します。

増資の登記における必要書類

増資(募集株式の発行登記)に必要な書類は次のとおりです。

  • 株式会社変更登記申請書

株式会社変更登記申請書の添付が必要になります。以下URLより法務局Webサイトから書式をダウンロードできますので記載例としてご参考ください。(書式内には登記申請書に加えて添付が必要な書類もセットになっています)

非公開会社かつ取締役会非設置会社
非公開会社かつ取締役会設置会社
公開会社

  • 株主総会議事録/取締締役会議事録(取締役会設置会社の場合)

株式の募集事項を決定した旨の記載が必要です。

  • 株式申込書

出資を希望する方が、募集されている株式を引き受けることを申し込んだことを示す書類として添付されます。

  • 払込があった通帳のコピー

出資金が払い込まれたことを証明する書類には、通帳のコピーなどが添付される必要があります。

  • 資本金の額が会社法及び会社会計規則の規定に従って計上されたことを証する書面

資本金の計上に関する証明書は、法律に基づき正確に資本金が計上されていることを示すために、法務局に提出される書類です。

資金調達の選択肢として増資を有効利用しましょう

本記事では増資について解説してきましたが、近年では大企業が税務上の優遇を受けるために減資を行うケースも見られるようになりました。しかし、資本金は企業の基本的な財産であり、経営の安全性を示す指標のひとつでもあります。とくに中小企業が事業を拡大する際には、信用力を向上させるために増資が有効となる場合は多いといえます。メリット・デメリットを理解しながら、自社の状況に応じて選択肢として考えておくと良いでしょう。

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  • 登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 払込証明書
  • 取締役会議事録
  • 総数引受契約書
  • 資本金の額の計上を証する書面
  • 会計帳簿(DESの場合)


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執筆者

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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