合同会社の増資において登記申請が不要なケース

募集株式の発行
投稿日:2024.02.20
合同会社の増資において登記申請が不要なケース

本記事では、合同会社の増資において登記申請が不要なケースについて解説します。

会社の資本金は、その具体的な金額が登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されていますので、増資を行い資本金額に変更が生じる場合には、原則として変更登記の申請が必要となります。しかしながら、合同会社が増資を行う場合には、株式会社の場合とは異なり、一定の条件の下で登記申請が不要となるケースがあります。

そこで、本記事では、まず、合同会社における増資(資本の増加)がどのようなものであるかを概説した上で、株式会社における手続とも比較しつつ、どのような場合に登記申請が不要となるのかについて、解説します。

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合同会社の増資とは?

合同会社における増資(資本の増加)とは、具体的にはどのような手続きを指すのでしょうか。

合同会社における資金の調達方法

会社が資金調達を行う場合、融資(銀行等からの借入れ)が用いられることが通常ですが、それと並ぶポピュラーな調達方法として「増資」があります。「増資」とは、一般的には、会社が資金調達の一環として株式を発行し、これを引き受ける既存又は新規の株主が会社に金銭を払い込むことにより、会社の資本金を増加させることをいい、会社法上は「募集株式の発行」とも呼ばれます。

このように、「株式」の発行による増資は株式会社を対象とする手続きですが、合同会社においても、社員が新規・追加の出資を行って「持分」を増加させることにより、資本金を増加させることが可能です。

合同会社においては、株式会社とは異なり、会社の所有と経営が厳格には分離しておらず、出資により合同会社の社員になった者は、原則として会社の業務を執行する権限を取得するともに、会社の「持分」(合同会社における社員たる地位)を取得します。したがって、社員は、会社の所有者であるとともに、会社の業務を執行する権限を有することとなりますので、合同会社においては、社外から出資のみを行う存在(例えば、ベンチャーキャピタルなど)は、原則として想定されません。

増資と融資との違い

融資とは、いわば借金であり、銀行等の第三者から金銭を借り入れた後、一定の期限までに利息とともに元本を返済・償還する必要があります。

これに対して、増資の場合には、会社は、株主や社員から払い込まれた金銭を返還する義務を負いません。ただし、その一方で、株主や社員は、払込金額に応じて株式や持分を取得することとなり、その会社の割合的な支配権などを取得することとなります。

合同会社において増資が行われる理由や背景

合同会社において増資が行われるケースとしては、まず、会社自身に資金需要が存在する場合が挙げられます。特に、前述のとおり、増資の方法によれば返済が不要となりますので、資金繰りが苦しい場合にも利用されることがあります。

また、その他の場合として、許認可を取得したり、新規取引先との取引を開始するにあたり、一定の資本金要件(資本金が〇〇円以上の会社であること)が求められるケースがあります。このようなケースでその会社の資本金の額が当該要件を下回っている場合には、当該要件をクリアするために、増資により資本金の額を増加させることがあります。

さらに、資金提供者の側から会社に対して何らか関与することを求めて、出資の受入れを求めるケースも考えられます。

合同会社に増資を行った場合には、出資者が社員となり、会社の持分及び業務執行権限を取得することになります。したがって、事業が成長する見込みのある合同会社である場合には、資金提供者の側から、当該会社を支配したり、その業務に関与すること等を目的として、出資を希望する者も出てくるかもしれません。ただし、前述のとおり、合同会社においては、出資者が社員として会社の業務執行権限をも取得するのが原則ですので、株式会社におけるベンチャーキャピタルのように社外から出資のみを行う存在は、基本的に想定されません。

合同会社における増資と登記申請

合同会社における増資に際しては、登記申請が必要となる場合とそうでない場合が存在します。

増資により資本金額が増える場合は登記申請が必要

合同会社の資本金の額は、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されています。したがって、増資により資本金の額が変更される場合には、2週間以内に変更登記の申請が必要となります。

合同会社における増資は、主として、新しく加入する社員が新たに、または既存の社員が追加で出資を行うことにより行われますが、一般的には、後者のケースが多く見受けられます。もっとも、増資に際して新規社員が加入したり、既存社員が退社する場合には、資本金の額の変更に係る登記に加えて、別の変更登記も必要になる可能性があります。

すなわち、合同会社の代表社員と業務執行社員については、その氏名が登記簿(登記事項証明書)に記載されていますので、増資に伴い代表社員や業務執行社員に変更(入退社)がある場合には、それに関する変更登記の申請も必要となりますので、注意が必要です。

増資しても登記が不要なケースもある

株式会社における増資の場合には、増資に係る金額の「2分の1を超えない範囲」で資本準備金に計上することが可能と規定されているため、少なくとも出資金の2分の1は資本金として計上する必要があります。

他方で、合同会社に新たに出資があった場合には、出資された金銭等を資本金又は資本剰余金に計上することができるとされています(合同会社には資本準備金という概念はありません)。

ここでは、株式会社におけるような「少なくとも出資金の2分の1は資本金に計上する」といった制限がありませんので、例えば、出資の全額を資本金ではなく資本剰余金に計上することも可能です。そして、この場合には、資本金の額は一切変動しませんので、資本金の額に関する変更登記の申請は不要となります。なお、合同会社に対する出資として払い込まれた金額のうち、いくらを資本金として計上するかは、原則として業務執行社員の過半数の一致により決定します。

ただし、前述のとおり、出資した社員が新たに代表社員や業務執行社員となる場合など、出資に伴い代表社員や業務執行社員に変更がある場合には、出資とは別に社員変更に関する登記申請が別途必要となります。

資本金でなく資本剰余金に計上する理由や背景

出資の全部又は一部を資本金でなく資本剰余金に計上する理由や背景としては、様々なものが考えられますが、そのひとつとして、増資に伴う資本金を増加させないことにより、資本金の額の変更登記にかかる登録免許税を節約できることが挙げられます。

また、資本金が一定の金額を超えると適用される法規制(例えば、外形標準課税や下請法規制など)がある場合に、当該規制が適用されないことを確保する目的で、出資に伴う資本金を増加させないために、出資金の全額を資本剰余金に計上することも想定されます。

合同会社の増資において登記不要となるケース

以上を踏まえて、合同会社の増資において登記不要となるケースについて、場合分けして確認しましょう。

出資金を資本剰余金に計上するケースでは登記が不要

前述のとおり、出資の全額を資本金ではなく資本剰余金に計上することにする場合には、資本金の額が変動しませんので、資本金の額の変更に関する登記申請は不要となります。

ただし、出資した社員が新たに代表社員や業務執行社員となる場合など、出資に伴い代表社員や業務執行社員に変更がある場合には、それに関する登記申請が必要となります。

したがって、資本金の額の変更に係る登記と、代表社員や業務執行社員の変更に係る登記のいずれもが不要となるのは、大別して、出資の全額を資本剰余金に計上する場合のうち、

①出資をするのが既存の社員であり、当該社員が新たに業務執行社員や代表社員にならないとき

②新たな社員が出資をして新規加入するが、当該社員が業務執行社員や代表社員でなく普通の社員となるとき

のいずれかとなります。

既存社員が出資し、資本剰余金に計上する

上記のとおり、この場合には、資本金の額は変動せず、代表社員や業務執行社員にも変更は生じませんので、資本金の額の変更に係る登記も、代表社員や業務執行社員の変更に係る登記も不要となります。

ただし、出資を機に、既存の社員が業務執行社員や代表社員となる場合は代表社員や業務執行社員の変更に係る登記が必要となります

また、いったん出資の全額を資本金ではなく資本剰余金に計上した場合であっても、その後に資本剰余金を資本金に振り替える場合には、結果的に資本金の額が変動しますので、やはり登記申請が必要となります。

外部から社員が加入・出資し、資本剰余金に計上する

この場合には、資本金の額は変動しませんので、資本金の額の変更に係る登記は不要ですが、代表社員や業務執行社員に変更が生じるか否かによって、代表社員や業務執行社員の変更に係る登記の要否が異なります。

すなわち、新たに出資をして新規加入する社員が、当該合同会社の代表社員や業務執行社員となる場合には、代表社員や業務執行社員の変更に係る登記が必要です。他方で、新たに出資をして新規加入する社員が、代表社員や業務執行社員ではない普通の社員となる場合には、社員変更に係る登記は不要となります(代表社員・業務執行社員以外の社員の変更については、変更登記は不要とされています)。

登記申請が不要とはいえ、手続きが全く不要というわけではないことに注意

前述のとおり、出資の全額を資本剰余金に計上する場合のうち、

①出資をするのが既存の社員であり、当該社員が新たに業務執行社員や代表社員にならないとき

②新たな社員が出資をして新規加入するが、当該社員が業務執行社員や代表社員でなく普通の社員となるとき

は、資本金の額の変更に係る登記も、代表社員や業務執行社員の変更に係る登記申請いずれも不要となります。

ただし、この場合であっても、社内の手続きが全く不要というわけではありません。例えば、合同会社の定款には、社員の氏名・住所や出資額等について記載がされていますので、合同会社に対する出資が行われる場合には、新たに社員が加入するときであっても既存社員が出資額を増加するときであっても、原則として定款の変更が必要になります。

なお、合同会社の定款を変更するためには総社員の同意が必要となりますが、登記申請が必要になる場合には、添付書類として当該総社員の同意を証する書類を求められる場合もありますので、増資の手続きを行う際には、これらの書類も忘れずに準備しましょう。

合同会社の増資の手続き

上述のとおり、増資により資本金額の変更を伴う場合は登記申請が必要です。
合同会社の増資に関する手続は、概ね、①総社員の同意、②出資の履行、③社員の決定、④登記申請の4つのステップに分けることができます。

必要な手続きの流れ

①総社員の同意
合同会社の定款には、社員の氏名・住所や出資額等について記載がされていますので、資本金の額を増加する場合には、原則として定款の変更に係る総社員の同意とそれを証する書類が必要となります。

②出資の履行(出資金の払込)
出資の履行については、出資を行う社員が、合同会社が指定する銀行口座に所定の出資金額を振り込む方法によることが一般的です。なお、資本金の額の増加に係る登記申請を行うにあたっては、後述のとおり、振込みが行われた払込取扱機関(銀行など)が作成した払込金受入証明書か、預金通帳の写し又は取引明細表を合綴して代表社員が作成した払込金額に係る証明書、または出資金領収書のいずれかが必要となります。

③社員の決定(業務執行社員や代表社員)
合同会社に対して出資が行われた場合には、原則として業務執行社員の過半数の一致により、払い込まれた金額のうち、いくらを資本金として計上するかを決定します。

④登記申請
新たに加入する社員又は既存の社員による出資等に伴い、資本金の額が増加した場合(や、代表社員や業務執行社員に変更が生じた場合)には、2週間以内に変更登記の申請が必要となります。もし期限を徒過してしまった場合には、過料の制裁の対象となる可能性もあります。

増資の登記における必要書類

合同会社の増資(資本金の額の増加)に係る登記申請に必要となる書類は、大要以下のとおりです。なお、司法書士等の第三者に登記申請を依頼する場合には、当該第三者に対する委任状も必要となります。また、下記のとおり、資本金が増加することとなった事由等の個別事情に応じて、必要となる書類の内容が異なり得る点にはご留意ください。

<社員の加入に伴う資本金の額の増加>
(1)加入の事実を証する書面
   ・ 具体的には、定款の変更に係る総社員の同意を証する書面がこれに該当します。

(2)出資に係る払込み又は給付があったことを証する書面
   ・ 具体的には、例えば次のような書面がこれに該当するものとされています。

    (ⅰ)払込取扱機関(銀行等)の作成した払込金受入証明書面
  
    (ⅱ)代表社員の作成に係る払込取扱機関に払い込まれた金額を証明する書面に、次の書面
       のいずれか合綴したもの
      ○ 払込取扱機関における口座の預金通帳の写し(表紙と該当頁)
      ○ 取引明細表その他の払込取扱機関が作成した書面

    (ⅲ)代表社員の作成に係る出資金領収書払

(3)増加すべき資本金の額につき業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面

(4)資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面
   ・ ただし、出資に係る財産が金銭のみである場合には、上記(4)の書面は不要です。

<社員の出資の価額の増加に伴う資本金の額の増加>
1.出資の価額を増加した定款の変更に係る総社員の同意を証する書面

2.上記(2)〜(4)と同じ

なお、合同会社における資本金の額の増加に関する登記申請書の様式とその記載例については、法務局のWebサイトでも配布されています。様式内には、申請書に加えてその他の添付書類の書式も含まれていますので、適宜ご参照ください。

専門家によるアドバイスも参考にしながら検討しましょう

このように、合同会社における増資に際しては、登記申請が必要となる場合とそうでない場合が存在し、それに加えて定款変更等の社内手続も必要になるほか、個別の事情によって必要となる手続・書類が異なり得るなど、やや複雑なケースもあることは否定できません。

また、株式会社とは異なり、合同会社に関する手続については、あまり馴染みがない方も多いのではないでしょうか。ご自身で必要書類を作成して手続を行うことももちろん可能ですが、スムーズかつ確実な手続きの実施をご希望の場合には、弁護士や司法書士等の専門家にアドバイスを求めることも有用ですので、ぜひご検討ください。

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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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