今この記事をご覧になっている方は、何かしらの理由で会社(法人)の目的変更(定款変更)について調べていることと思います。目的変更の必要性が直前に迫って困っている方や、今後何かしらの理由で目的変更が必要になる為、事前準備として目的変更の必要書類等、色々調べている方もいることでしょう。
本記事では目的変更の登記についての解説から、必要書類や申請方法を紹介しています。これから登記を予定されている方はぜひご参考ください。
目的変更登記とは?必要書類・申請方法を解説

- 事業目的変更・追加の登記を自分で申請
- 株式会社(法人)の定款の事業目的とは
- 定款に記載されている内容
- 絶対的記載事項は以下の6つ
- 相対的記載事項の例
- 任意的記載事項の例
- どんな時に目的(事業目的)の変更や追加が必要になるのか?
- 具体的なケース
- 定款や謄本の目的に記載されていない事業を営んだ場合、罰則はあるのか?
- 会社の目的(事業目的)は謄本などの事業内容と相違がないようにしましょう
- 定款の変更には株主総会での特別決議が必要になります
- 目的変更登記申請する際の登録免許税はいくら?
- どこの法務局に届け出ればいい?
- 目的変更登記の必要書類
- 事業目的変更登記の申請には期限があるのでお気をつけください
- 株式・合同会社の目的変更登記を自分で申請するなら
- 【本記事の内容は動画でも解説しています】
事業目的変更・追加の登記を自分で申請
会社の事業目的変更の手続きは、株主総会などの機関決定に関するものと、変更後の登記申請の2つに分かれます。株主総会の招集や開催、議事録作成、登記申請書の作成や法務局への提出といった手続きが必要になりますが、自分で手続きすることも可能です。
登記申請書や株主総会議事録などの申請書様式(テンプレート)を法務局ホームページからダウンロードして書類を作成したり、法務省のオンライン申請システムを利用して自分で申請することができます。また、それよりも手軽にできる方法として、GVA 法人登記などのサービスを利用してネット上で登記書類を作成し、法務局に郵送する方法もあります。
株式会社(法人)の定款の事業目的とは
会社(法人)の事業目的とは、読んで字のごとく会社を運営していく上での事業内容のことを指します。会社は定款に記載している事業目的の範囲内でのみ権利能力を有することとされています。
また、会社の目的(事業目的)は定款に記載すると共に、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)にも記載されます。会社の目的(事業目的)の記載は、自分の会社がどんな事業を展開しているかを取引先にアピールすることにもなり、非常に重要なものです。
例えば取引先の会社が、「どんな会社なんだろう」とあなたの会社を調べようとします。
そのときに明確な目的(事業目的)が記載されていることで、信頼や安心を与えることにも繋がります。このように、会社(法人)の目的(事業目的)は会社を運営していく上で大変重要なものとなります。とりあえず何でもいいからと適当に記載している場合は注意が必要です。
関連記事:会社の目的を適切に記載することで得られるメリット
定款に記載されている内容
会社の憲法といわれる定款ですが、会社設立時に作成した原子定款のまま保管され、その後一切の関わりがほとんどなく、どんな書類なのか記載内容は何なのかを忘れてしまったという方もいるのではないでしょうか。
定款には、必ず記載しなければならない必須事項である「絶対的記載事項」と記載がないとその事項に効力が生じない「相対的記載事項」、会社が任意で記載できる「任意的記載事項」の3つあります。
絶対的記載事項は以下の6つ
- 商号(会社名)
- 本店の所在地
- 目的
- 発行可能株式総数
- 資本金の額または準備金の額
- 発起人(代表取締役、取締役、会計参与等)の氏名又は名称及び住所
相対的記載事項の例
- 取締役設置会社または取締役会非設置会社か
- 監査役の設置
- 事業年度
- 決算月
- 役員報酬の決め方
- 株主総会に関する事項
任意的記載事項の例
- 定款の変更方法
- 取締役議事録の作成方法
- 役員の任期
- 役員の辞任・解任について
- 株主が会社の経営に対して行使できる議決権(議決権数も同様)
- 株主総会の欠席
絶対的記載事項の項目が変更になると法人変更登記が必要です。(代表取締役の氏名変更、商号変更、目的変更、役員の辞任による役員変更登記など)
どんな時に目的(事業目的)の変更や追加が必要になるのか?
定款の目的変更とは、絶対的記載事項の一つである会社の事業目的変更を決議および登記する手続きを指します。この変更は登記事項証明書にも反映され、取引先や金融機関など第三者が閲覧できるようになります。
会社設立時には定款や登記簿に目的(事業目的)を記載しますが、「設立後何十年も経つが目的(事業目的)の変更がない」というのは稀でしょう。設立時には考えていなかった新規事業の展開は意外と多いものです。
具体的なケース
・新規事業の開始
会社設立時に定款に記載した事業目的とは異なる事業を開始する、将来的に新規事業を考えている場合、定款を変更して事業目的を追加する必要があります。
定款追加(事業目的の追加)をするには、株主総会での承認が必要です。
・本店の移転先の地域で新規事業を開始する場合
本店所在地を変え、本店移転先(住所変更)で別の業種の事業を始めたり、既存事業を拡大する場合に事業目的を追加する必要があります。
・許認可の取得
飲食店や販売業(食品、医療品など)、不動産の仲介(宅地建物取引業、不動産賃貸業)介護事業(居宅介護支援事業や介護保険に伴う事業)などの特定の事業を行うためには許認可の取得が必要な場合があります。許認可を取得するためには、定款に事業目的を記載していることが条件となる場合があります。
関連記事:融資や資金調達の際には登記している目的にも注意が必要です
定款や謄本の目的に記載されていない事業を営んだ場合、罰則はあるのか?
会社の目的(事業目的)に記載されていない事業を営んだ場合、会社法などによる罰則はありません。
また、「本来の事業目的の達成の為に必要な行為」であれば定款や登記簿に記載されていない事業であってもある程度は認められています。
ある程度というのは、あくまでも「本来の事業目的達成のために付随された行為」ということです。
そのため、会社の目的(事業目的)に記載されていない事業の利益が全体の利益の多くの割合を占める場合は、会社の信頼性の為にも定款や登記簿に目的(事業目的)を追加する必要があります。
関連記事:定款・登記簿に記載の目的に違反したらどうなる?罰則やデメリットと合わせて解説します
会社の目的(事業目的)は謄本などの事業内容と相違がないようにしましょう
先ほどもお話しましたが、会社の目的(事業目的)は、その会社がどんな事業を展開しているのかを示す大事な指標となります。
その理由は、例えばあなたの会社と今後新たに取引をする会社がある場合、相手会社は登記簿謄本(履歴事項全部証明書など)を参考にあなたの会社を調べることになります。その際に取引内容が事業目的に記載されていない場合は不信感に繋がります。場合によっては取引中止という事態にもなりかねませんので、新規事業の展開をするときは定款や登記簿の目的(事業目的)の見直しをしておきましょう。
関連記事:目的変更の登記申請をしないとどうなる?問題やリスクを解説します
定款の変更には株主総会での特別決議が必要になります
一般的に新たな事業展開により定款に目的(事業目的)を追加するためには株主総会での特別決議が必要になります。そして、目的(事業目的)の変更時は登記変更の申請も必要になります。
株主総会により変更点について決定が下された議事録を法務局に提出し、登記申請をする必要があります。また、変更した定款や株主総会の議事録はしっかりと保存しておきましょう。
株主総会議事録や登記申請書の記載例は以下の記事で紹介しています。
関連記事:株主総会議事録の書き方、記載すべき事項、ひな形を紹介
目的変更登記申請する際の登録免許税はいくら?
登録免許税額は3万円です。
同時に管轄外本店移転をする際は、まとめて6万円です。
どこの法務局に届け出ればいい?
目的変更登記は、管轄の法務局に届け出る必要があります。
前述の管轄外本店移転と一緒に登記手続きする際は、引っ越し前の管轄法務局に登記申請書をまとめて書面の提出をする必要があります。(2箇所に分けての提出は不要)
目的変更登記の必要書類
株式会社の目的変更の登記申請では、変更登記申請書に加えて以下の添付書類が必要です。
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 委任状(司法書士など専門家に委任する場合)
上記書類が準備できたら登録免許税納付のための収入印紙を貼付して書類の準備が完了、法務局に持参するか郵送で申請します。比較的、書類点数は少ない登記なので、ポイントを押さえれば自分で申請することも十分可能です。
事業目的変更登記の申請には期限があるのでお気をつけください
会社法では会社の登記事項に変更があった場合、2週間以内に法務局で登記変更の申請をしなければならないと定められています。今回の場合は、株主総会で目的変更の決定が下され、目的が変更されてから2週間以内ということになります。
2週間を過ぎてからの登記変更の申請は「登記懈怠」と呼ばれ、会社の代表者個人に対して100万円以下の過料の制裁を受ける可能性があるので気を付けて下さい。
実際にSNSなどで調べてみると、登記懈怠を受けてしまった事例は多く見当たります。
会社にとっては無駄な費用となってしまいますので、くれぐれもお気をつけ下さい。
株式・合同会社の目的変更登記を自分で申請するなら
定款(ていかん)や登記簿の事業目的変更後に発生する目的変更登記では、登記申請書や株主総会議事録など、必要書類をミスなく準備するのは大変です。
GVA 法人登記なら、変更情報を入力するだけで株式・合同会社の目的変更登記に必要な書類を最短7分12,000円で作成ができます。
GVA 法人登記で作成される書類リストは以下です。
〈株式会社〉
- 登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
〈合同会社〉
- 登記申請書
- 総社員の同意書
目的変更以外の登記書類も同時に作成することも可能です。郵送申請をトータルサポートしているので法務局に行かずに手続きを完結させることができます。
詳細は以下をご確認ください。
⇒目的変更登記にオンラインサービスを活用する
【本記事の内容は動画でも解説しています】

執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
本Webサイト内のコンテンツはGVA 法律事務所の監修のもと、BtoBマーケティングおよび司法書士事務所勤務経験者が所属する編集部が企画・制作しています。
GVA TECH株式会社では、「GVA 法人登記」だけでなくAI契約書レビュー支援クラウド「GVA assist」などのリーガルテックサービスを提供しています。