会社の定款および登記簿に記載される目的は、会社設立後ずっと同じというわけではありません。会社の状況に応じて変更が発生します。
会社が目的を変更する場合、一般的には「定款変更」という呼ぶことが多いようですが、実際は定款を変更した上で登記簿上の目的も同じように変更する必要があります。
これまで「会社の目的を適切に記載することで得られるメリット」「定款・登記簿に記載の目的に違反したらどうなる?」といった記事を紹介してきました。では、実際の会社運営の中ではどんな背景や理由で発生するのでしょうか?本記事では大きく分けて4つのパターンと実際にあった例から紹介したいと思います。
目的変更の登記が必要になるシーンを実例から紹介します
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会社の目的変更(定款の目的変更)が発生する4つの背景
①金融機関での口座開設や融資などのタイミング
銀行口座やクレジットカード作成時の審査、融資や第三者からの出資を受ける際に、目的をチェックされる場合があります。資金調達は、事業の目的を果たすために行うことなので、不要な目的があると審査に不利になる可能性があります。
自治体の制度融資などでも信用保証対象外業種が定められていますので、特に創業直後で融資を予定している場合はあらかじめ確認しておきましょう。
②出資による資金調達や資本提携、合併やM&Aのタイミング
外部からの出資を受ける場合は、出資を受ける前だけでなく、出資後にも役員変更登記や株主名簿のアップデートが必要になる場合があります。これらについても忘れずに確認しておきましょう。
また、会社合併やM&Aのタイミングで事業整理のために変更が必要になるタイミングがあります。グループ入りする場合は親会社が記載している目的とそろえるケースもあります。
参考記事:らでぃっしゅぼーや吸収合併…新社名は「オイシックス・ラ・大地」(通販通信)
③新規事業の開始
許認可が必要な業界や、自治体などへの申請を行う場合に、申請と関連の強い目的を記載する。特定の業種(飲食、介護、労働者派遣、古物商)では目的の記載がないと許認可が受けられないので正しく設定しましょう。
また、事業の多角化や、今まで進出していなかった領域での新規事業開始のために目的を記載することもあります。スタートアップなどで多いパターンです。
以下はDeNAの変更例で、おそらくモビリティ、タクシー関連の事業開始を想定したものとも思われます。他にもスタートアップや新興市場の企業では決済事業や仮想通貨・ブロックチェーン関連などが記載されることが多いようです。
参考記事:DeNA、今後の事業展開と事業内容の多様化に向けた定款変更を実施 「旅客自動車運送事業」「貨物自動車運送事業」などを追加(Social Game Info)
④与信上の効果
新規の取引を開始するときに、会社によっては登記簿の確認を行う場合があります。
必要な目的を適切に記載しておくことで、取引先企業内における稟議プロセスや与信チェックといった手続きが効率化できる可能性があります。
特に、今は事業を運営していないがかつて記載していた事業で第三者から見て要注意とされがちなものは削除しておいたほうがよいでしょう。(例えば、出会い系サイト運営や一部の風俗営業など)
⑤事業内容の再編
創業時はシンプルな目的で始まった会社が、時間が経ってM&Aや事業多角化などで拡大した目的を整理するというケースです。変更前の目的に問題があるわけではありませんが、現状を鑑みると、よりシンプルかつ適切な内容にしたほうがわかりやすいという理由が多いようです。
参考記事:株式会社エアトリへの社名変更および事業ドメインの再整理に関するお知らせ(PR TIMES)
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おわりに
会社の目的変更はまだやったことのない方から見ると「目的変更ってどんなときに発生するんだろう?」と疑問に思われることも多いかと思います。本記事で紹介した背景と事例を理解し、貴社に置いても必要なタイミングで適切な目的変更を行うヒントになりましたら幸いです。
目的は「その会社が何をするために存在しているのか」を対外的に示し社会と接点を持ち、責任を果たすための共通の仕組みです。誰でも閲覧できる登記情報だからこそ、会社の状態を適切に伝えられるようににメンテナンスしておきましょう。
目的変更の登記の流れについては以下の記事もご参考ください。
関連記事:株式会社(法人)の目的変更に必要な準備から書類申請までをご紹介
執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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