起業してから発生する変更登記の1つに目的変更登記があります。よくある例としては、新規で事業を展開することになった場合の目的の追加や、業績不振により事業から撤退する場合の目的の削除など、目的変更の理由は様々です。
本記事では、この目的変更登記を司法書士に依頼した場合の報酬額をはじめとした費用面について解説していますので、これから目的変更を考えている代表取締役の方は、目的変更登記の予算の把握にお役立てください。
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定款とは?
まず、会社の目的が記載されている「定款(ていかん)」について理解しておきましょう。
会社設立時に作成する定款(原子定款)ですが、会社の憲法の意味を持ちます。前述の通り、会社の目的は絶対的記載事項ですが、本事項が一部でも定款変更になりますと必ず商業登記(会社登記)の変更をする必要があります。定款には、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つの事項から成っています。
なお、電子文書形式(PDF)で作成された電子定款として保管している企業もあります。
絶対的記載事項
こちらは、定款に必ず記載しなければならない重要な項目です。記載内容は主に以下の6つが挙げられます。
- 商号(会社名)
- 本店所在地(本店の所在場所)
- 目的(事業内容)←本記事に該当する登記事項
- 発行可能株式総数
- 資本金の額または準備金の額
- 発起人(代表取締役、取締役、監査役等)の氏名又は名称及び住所
相対的記載事項
こちらは、定款に記載しなくてもよい項目ですが、記載した場合に効力が発生する事項です。主に以下が挙げられます。
- 株式の種類や株数
- 株式の払い込み金額
- 取締役会の設置
- 監査役会の設置
- 株主総会の設置
- 株主名簿の管理人
など
任意的記載事項
定款に記載してもよい事項ですが、相対的記載事項とは違い、記載しなくても効力が発生する事項です。以下に事項が挙げられます。
- 事業年度
- 決算月
- 株主総会の記載規定
- 株式の譲渡制限
- 代表取締役の選任方法
- 取締役・監査役会の決議の条件
- 剰余金の配当
- 役員報酬に関する事項
など
絶対的記載事項が変更になった際は、変更登記手続きが必要です
- 商号(会社名)を変更した場合:商号変更登記
- 本店の所在地変更した場合:本店移転登記
- 役員(代表取締役・取締役・監査役)を変更した場合:役員変更登記
- 代表取締役の住所が変更になった場合:代表取締役の住所変更登記
- 事業の目的を変更した場合:目的変更登記←本記事に該当する登記事項
- 会社の資本金を増加、または減少した場合:増資登記、減資登記
上記のうち、代表取締役の住所変更登記以外の変更登記は全て株主総会が必要です。
取締役会の設置会社は株主総会の前に取締役会を開催し、取締役半数以上の出席し、出席取締役の半数以上の賛成を得る必要があります。株主総会では、議決権を行使することができる株主の半数以上の出席、出席株主の3分の2以上の賛成を得る必要があります。
そのため、株主総会の議事録や取締役会の議事録作成も必要になります。
株主総会議事録の書き方は以下の記事で説明しています。
関連記事:株主総会議事録の書き方、記載すべき事項、ひな形を紹介
変更登記の手続きをしないとどうなる?
大きく3つのデメリットがあります。詳細のケースを説明します。
・過料の制裁を受ける可能性がある
目的変更登記を怠った場合、会社法により、代表者等が100万円以下の過料に処される可能性がありますので注意ください。
・融資や取引の際に信用を失う可能性がある
登記簿は、会社の最新の状態を保っている必要があります。そのメンテナンスを怠っていると信用面で影響が出る可能性があり、融資や取引時への影響が考えられます。
・特定業界への許認可や補助金の申請が受理されない可能性がある
特に事業活動に許認可が必要な業界では、目的の記載方法にルールが定められており、ルールに基づいていないと許認可の申請が受理されない可能性があります。
目的変更・追加の登記申請にかかる費用の内訳
目的変更登記を司法書士に依頼する際にかかる費用の内訳は以下のようになっています。
①司法書士への専門家報酬
登記申請するために必要な変更登記申請書類の作成を司法書士に依頼するための費用です。
登記申請するために必要な変更登記申請書類の作成を司法書士に依頼するための費用です。
この他の方法として、自分で調べて書類を作成したり、ネット上の書類作成支援サービスを利用する方法もあります。これらの方法では手間がかかったりWebサイトでの入力が必要な分、司法書士に依頼するよりは安価になります。
②申請に必要な登録免許税(3万円)
登録免許税は登記申請において、必ず納付する必要のある税金です。
目的変更登記の場合は、一律で3万円です。
なお、登録免許税は申請書類の作成方法に関わらず必ず発生します。司法書士に依頼しても、自分で書類を作成しても同じ3万円です。
③法務局に申請するためにかかる郵送費や交通費:数百円
ほとんど気にしなくて良いくらいの金額ですが、郵送費や交通費も必要です。法務局から遠ければ意外に高くなる場合もあります。依頼する司法書士によっては郵送費などは報酬に含まれている場合もありますが、念のため確認しておきましょう。
以上を合計すると、総額で数万円程度はかかると理解しておきましょう。
目的変更や追加の登記を司法書士に依頼する場合の司法書士への報酬額
では、目的変更登記の申請を司法書士に依頼する場合、いくらの報酬がかかるのでしょうか?
これは一律に決まっているわけではなく、依頼する司法書士事務所ごとに金額が異なります。
正確な料金形態が公開されているわけではないのですが、目的変更はおおよそ20,000円~30,000円前後になります。
この報酬に登録免許税や諸費用を合計すると、目的変更を司法書士に依頼する費用の総額としては50,000円前後となるのが一般的です。
※なお、登録免許税は本人申請など司法書士に依頼しない場合でも登記を申請すれば必ず発生します。
目的の変更が発生したら2週間以内に登記手続きが必要です
変更登記申請には「変更があったタイミング(株主総会後、定款変更決議した日)から2週間以内」という期限があります。
期限を過ぎた場合でも申請は受理されますが、登記懈怠扱いとなり100万円の過料が発生する可能性がありますので速やかに登記手続きしましょう。(会社法第976条1号)
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ステップに沿って入力するだけで株式・合同会社の目的変更登記に必要な書類の作成ができます
登記書類を作成する為には、現在の登記情報を確認し正確に入力する必要があります。
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執筆者:GVA 法人登記 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム
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