本店所在地の住所の決め方、自宅や賃貸を使う場合の注意点を解説

会社設立
投稿日:2026.10.20
本店所在地の住所の決め方、自宅や賃貸を使う場合の注意点を解説

本店所在地は、自宅(持ち家)でも賃貸オフィスでも、条件を満たせば自由に決められます。判断材料になるのは、初期費用、住所の公開範囲、賃貸借契約や管理規約による制約の3点です。どれを選ぶかは、事業の内容や取引先、同居する家族の状況によって変わります。

注意しておきたいのが、本店所在地が登記簿に記載され、誰でも取得できる登記事項証明書で確認できる点です。また賃貸物件では、契約上の使用目的が居住に限られていると、本店に使えない場合もあります。定款に書く範囲と登記申請書に書く範囲が異なることも、書き方を迷いやすい点です。

この記事では、本店所在地の意味、選択肢ごとの比較、自宅と賃貸物件を使う場合の確認事項、定款と登記申請書での書き分け、設立後の本店移転に必要な費用を解説します。

本店所在地とは?定款・登記・実際の事務所の違い

本店所在地は、会社の住所として登記される場所です。定款の絶対的記載事項であり、登記事項でもあります。登記できる本店は1か所だけで、社員が実際に働く事務所や支店が他にあっても1か所を指定します。


同じ「本店所在地」でも、書類によって書く範囲が異なります。


書類

書く範囲

記載例

定款

市区町村まで、または番地まで

東京都新宿区

設立登記申請書

番地まで

東京都新宿区〇〇一丁目1番1号


定款に市区町村までしか書かない場合、番地以下の具体的な所在場所は、発起人の決定で定めます。この決定書が必要になるケースは本店所在地及び資本金決定書はいつ必要?記載例で解説で扱っています。

本店所在地の決め方と自宅・賃貸オフィス・バーチャルオフィスの比較

選択肢ごとの違いを、初期費用、登記される住所、事前に確認することの3点で並べます。


選択肢

初期費用

登記される住所

事前に確認すること

自宅(持ち家)

賃料は不要

自宅の住所が公開される

住宅ローンの契約条件、郵便物の受け取り方

自宅(賃貸)

賃料は不要

自宅の住所が公開される

契約・規約上の使用可否が必要(後述)

賃貸オフィス

敷金・礼金・賃料

事務所の住所

入居審査、契約期間と解約条件

シェア/バーチャルオフィス

月額の利用料

事業者の住所(複数社が共有する場合あり)

登記に使えるか、郵便物の転送方法


許認可が必要な事業では、事務所の独立性や広さが要件になることがあります。許認可の所管窓口の要件は、住所を決める前に確認しておくと、設立後の移転を避けられます。バーチャルオフィスの登記上の注意点はバーチャルオフィスで会社設立できる?登記の注意点で解説します。

自宅を本店所在地にする場合の注意点

自宅を本店にすると、新たな契約や賃料が不要で、すぐ登記の準備に入れます。一方で、次の点は事前に確認しておく必要があります。


  • 自宅の住所が公開される
    登記事項証明書は、手数料を納めれば誰でも取得できます。本店所在地として登記した住所は、この証明書に記載されます。
  • 住所の非表示措置は本店所在地には使えない
    2024年10月1日から、申出により、代表取締役の住所を登記事項証明書上は都道府県と市区町村までの表示にできる制度が始まりました。設立登記でも申出できますが、非表示になるのは代表取締役の住所の表示です。本店所在地として登記する住所は対象ではありません。申出の方法は代表取締役の住所を非表示にする方法、設立時の申出を解説で扱います。
  • 住所を示す場面が続く:取引先や金融機関に提出する書類、契約書、ウェブサイトなど、本店所在地を示す場面は設立後も続きます。

賃貸物件・分譲マンションを本店所在地にする場合の確認事項

賃貸住宅やマンションの一室を本店にする場合は、登記の前に次の3点を確認しておきましょう。


  • 賃貸借契約書の使用目的:「居住専用」「事務所使用不可」の条項や特約がないか。事業用の使用に貸主の承諾が必要となっていないか。
  • 管理規約(マンションの場合):事業利用や法人登記を制限する条項がないか。
  • 転貸借の場合の承諾:借りている部屋をさらに借りている形(又貸し)のとき、転貸が認められているか。


確認した内容は、貸主や管理会社から書面(メールを含む)で受け取っておくと、あとで認識が食い違ったときに見返せます。承諾が得られない場合は、賃貸オフィスやシェアオフィスなど、ほかの選択肢が候補になります。

定款と登記申請書での本店所在地の書き方

定款には、市区町村まで書く方法と、番地まで書く方法があります。この違いが影響するのは、将来の本店移転のときです。


定款の書き方

記載例

同じ市区町村内で移転する場合

市区町村まで

東京都新宿区

定款変更は不要(取締役会などの決定で足りる)

番地まで

東京都新宿区〇〇一丁目1番1号

定款変更が必要(株主総会の特別決議)


登記申請書には、どちらの場合も番地まで書きます。定款全体の作り方は株式会社の定款の作り方・記載事項の全項目とひな形を解説で、設立登記申請書の記載例は会社の設立登記申請書の書き方・法務局の記載例とひな形リンクを解説で扱っています。

設立後に本店を移転する場合の登記と費用

設立後に本店を移した場合は、変更が生じた日から2週間以内に、本店移転登記を申請します。期限を過ぎると、代表者が100万円以下の過料に処される可能性があります。申請は、実際に移転した日以降に行います。


移転先

登録免許税

申請先

同じ法務局の管轄内

3万円

管轄の法務局

別の法務局の管轄

6万円(旧本店所在地分3万円+新本店所在地分3万円)

旧本店所在地を管轄する法務局に、新旧2通の申請書を同時に提出


定款に番地まで書いている場合は、同じ市区町村内の移転でも定款変更が必要です。移転の可能性がある場合は、定款の書き方を設立前に決めておくと、手続きを減らせます。

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まとめ

会社設立時の本店所在地は、初期費用、住所の公開範囲、契約や規約上の制約を並べて決める項目です。自宅を本店にする場合、賃料がかからない一方で住所が公開され、賃貸物件は使用目的の確認が欠かせません。(ただし、代表取締役の住所自体は本店所在地とは別に登記されます)


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執筆者

執筆者:GVA 会社設立 編集部(GVA TECH株式会社)/ 監修:GVA 法律事務所 コーポレートチーム

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